股関節をはめる方向は?

下図をご覧ください。


どの矢印方向で圧をかけると、
股関節の大腿骨骨頭の凸と腸骨窩の凹が密着するでしょうか?


大腿骨をどう押し込めればいいのか.png


実際に(1)(2)(3)の矢印方向で、大転子というちょっと出っ張った部分を押してみてください。
やり方は左右同時に自身の手をグーにするか、たなごころ部分で圧をかけてみましょう。


そうすると
(1)の上から斜め下に押さえこむのは違うような気がしますよね。
体が全体的に鈍重な感じになってしまいます。
抑えこまれている嫌な感じですね。


(2)の大転子を地面に対して水平に押すとき。
こちらのほうが、(1)よりもいい感じでしょう。


ただ(3)の矢印方向で圧をかけたときに、
ある程度の体の整われている方は、
体全体が軽くなって上方に引き上げられている感じを受けるかもしれません。


私が(3)のような圧を自分にかけると、
ふんわり上空に吸い上げられていく感じが体感されることも。
ただ調子がいいときは、別に(3)のような圧をことさらにかけなくとも、
そうしているかのような体の軽さや清々しさを感じます。



つまり(3)の矢印方向で圧をかけたときが、
もっとも股関節の大腿骨と腸骨との密着度が増して安定している状態を作り出せるのでしょう。


だから施術のやり方のひとつに、
(3)の矢印方向で10Kg前後の圧を90秒かけ続けて置くと、
股関節の接触面が正されて関連筋がリラックス。
それにより中殿筋や小殿筋、大腿筋膜張筋などが、
大胆に緩められてしまうようなテクニックがあります。
(体の左右差の微調整を見ることができない方が不用意にやると体バランスを壊すので、ほどほどに。自己責任の原則で試すのでしたらやってみてくださいね。)



人とチンパンジーでは股関節以下の脚部に特徴的な違いがあります。
これから観察していくのも、理解を助けてくれそうです。


人間とチンパンジーの大腿骨の違いは3.png


まずは、
図の右側のチンパンジーの大腿骨を観てください。
脛骨の延長線上に大腿骨があるのがわかりますか?
みてみると大腿骨の上端の骨盤に接する部分はほぼ直角ぎみに入ります。
すると骨盤と大腿骨の交わりでは(2)のような圧をかけると安定します。



つぎに、
図の左側の脛骨の上の大腿骨を観てください。
脛骨がまっすぐ垂直になっているのに対して、
大腿骨は上に行くに従い外側にそれるように
斜めに積まれていますね。
腸骨面は斜めぎみになるよう設置されており、
ちょうど大腿骨と腸骨が噛みあうようになる。


二足での直立を楽に可能とするような進化が、
この骨格の物理構造学的な仕組みにあります。
人間は脊椎の鉛直線上に補助線を下に引けば、
その近くに脛骨が設置されています。
左右の脛骨は互いに近づくことで、
それにより上の重みが容易に支えられ、
これは二足歩行をするときの振り子運動をするのに役立ちます。



ただここでひとつ、問題が出てきます。


先日、大腿直筋や外側広筋が硬化萎縮、
それにより腸骨が前傾したりすることがあると申しました。
外側広筋が硬くなれば、骨盤が外側に開いていっちゃいますよね。


そうなると大腿骨と腸骨の凸凹となりしソケット部分が、
密着してくれないようになります。


側弯傾向があったり、
骨盤の開き具合が開きすぎたり閉じすぎていたり、
何らかの問題があれば、
人間の骨盤の斜めから大腿骨を押しこめば楽になるような矢印方向が見当たりづらくなるのです。


そうなると、
繊細に脊椎の鉛直線上に大腿骨の大転子部分でL字に曲がり物理構造学的な芯を内転筋と共に通し、
その力は脛骨に渡されて、地面に垂直に力が抜けるように設置される工夫がされて楽に効率的に
二足直立や二足歩行ができるような仕組みであったのが、
微妙に狂いを生じだしてしまいます。


そのような股関節部分の密着度が低下して狂いを生じた状態となれば、
その股関節という大腿骨と骨盤との接合部の不安定さを取り除くため
つねにことさらに利き足側の大腿直筋や外側広筋に過剰な力を加えて、
それに利き足の反対側の足のハムストリング筋にも支え足として余計に力を入れ続けて
体を支えようとする。


骨で体を支えることが出来れば楽チンで、
その象徴的な関節が股関節です。


ですがひとたびその股関節面の接触面の交わり具合が悪いと、
立位で(3)のようにして体を支えようとする自然良能的な作用を感じられなくなり、
体が重くなってきます。
そして疲れがたまりやすくもなりますし、
歪みの助長がなされて年々積み重ねられていきます。


私のような施術をするものには、
ほんの数度の股関節の角度の違いで、
そこにどのようなことが起きているかわかっています。


本当に、股関節を取り巻く深層部の筋肉および靭帯は、
強烈な硬さを蓄積しやすい部分です。
関節リリースや深層筋まで達していないリリースだけでは、
効果持続時間が短いという人が年々増えてきていると言います。


そういった場合には、
本当に深層部の問題箇所まで対応してくれるところでなければ、
上向きに調子よくステップアップできるような成果がでません。


そこが施術院選びの、
大変なところですね。