歩き比較 図

歩き比較


歩き比較1.gif
(クリックすると大きな図となります)


理想的な中心軸が通っている人の歩き姿が左側。
スカイフックとして頭の向きや高さが一定です。
体の胴体が前後左右にブレる量が少ないのです。



理想的な中心軸が通っていない人の歩き姿が右側。
頭が前後している。
足をあげるときに片側の膝が特に高く持ち上がる。


比較的垂直に体を立てている姿勢で表現している。
ですから、それほど徹底した不良姿勢ではない。


町中で歩く方々の中には、
想像以上に前傾であったり足指の方へ力がかかったり、
膝の向きが進行方向からあらぬ方向へと向いていたり。
様々な独特なパターンを観察することができます。


デスクワークをしていて発生するような腰痛や肩こりは、
歩くという体をゆるめ揺する動作でリセットされるものです。
左の理想的な歩きでは呼吸や血行代謝がより深く順調となります。
ただ右の不良した歩きでは頭が前後等、ブレがでてそれを支えるための首に緊張が強いられていて、
歩いても気持ちがいいとかいう生理的成果が目減りするか、
かえって歩くことに疲労感を感じるようになります。



後者の中心軸が通らない人は、
体を左右分けて均等な動きができないため、ブレが大きい。
足裏の指の状態などが外反母趾や内反母趾状態に変異する。
靴底に顕著にかかと側やエッジなどが片側または両側の削れがひどくなるでしょう。
そのようなところをチェックするだけで、
その方の体の歪みのパターンもおおよそ見て取れます。



このような体の動かし方は、運動神経系が覚えた記憶の中にあるものです。
具体的に言えば小脳という、繰り返し行なう動作を手続きとして記憶する、
特別な記憶機能により一度覚えたものはなかなか手放しにくいものです。


小脳.png



施術を受けて楽になったとしましょう。


窮屈だった体がのびのびして気分が改善してくれるようですね。


ですが小脳の、長年つくりだして構築してきた体の使い方を規定している小脳は、
依然として体の軸を歪める様子がかききえているわけではありません。
別段、小脳の手続き記憶を書き換えられたわけではないのです。


だから単純に施術を受けたとしても、
運動神経系で体の歪んだまま使い続けることを良しとしている。


体の中の神経系もいつも使い続けているところの電圧は強くて、
パッと光が当たるように見えてくるのですが、
理想的な軸が整えられた立ち方をしたり歩き方をする経験が乏しいため、
そうするため仕込む神経は暗がりになって細っている状態です。




その人に取りまして、いつもの状態のままでいようとする恒常性が働いているのです。


さっきまで長い間、軸がぶれた動きをしていれば、それがその人の慣れ親しんだ動きです。


さっきからずっと軸が整えられていた人は、それがその人の慣れ親しんだ動きです。


ただそれだけ、なのです。




更に言及すれば、
軸がぶれた動きをし続けた人が、
軸を整えられた動きをすれば窮屈だったり息苦しさや不安定で居心地が悪く感じる。
だからバランスをとれるような理想姿勢をとらないように、一生懸命に抵抗してしまうのです。
歪みはそうやって継続し、そして膨らもうとしていきます。


軸が整えられた方が軸が歪むような使い方をすれば、
同様に窮屈や不安定感や痛みを感じて、悪い状態にいくことを避けるようにしている。
だから健康状態が保てるのです。




慣れ親しんでいる動きを再現し続けるクセが小脳にありますから、
それが便利な機能であると同時に、
一度深く轍のように道をそれるような動きグセを持てば、
その体を歪め続けるために小脳が働き続けてしまいます。


長い年月が経過するとどうなるでしょう。
その整体のままでバランスを取ろうとする人と、歪みをさらに強め続けるようになる人と。





慣れ親しんでいる動きを再現し続けるクセが小脳にありますから、
それが便利な機能であると同時に、
一度深く轍のように道をそれるような動きグセを持てば、
その体を歪め続けるために小脳が働き続けてしまいます。



そうやって、体がまた元の歪んだ状態に引き戻されます。


だから整体を一度受ければそれで一生大丈夫だというのは、
小脳の恒常性をもリセットできているというような、
脳内の大改造をするようなプログラムのインストールをすることになりますよね。


それは映画のマトリックスの中での世界です。
キアヌ・リーブスが演じたネオ(トーマス・アンダーソン) が
空手のような武道を脳へインストールをしていたようなものです。


現状ではそれはできませんから、
ダンスでも武道でも自分の動き方を再認識して修正を繰り返していく。
積み重ねられた良質な動きの追求と深化をする修行をしていくのです。


筋膜を緩めるだけでは元通りの状態に、
小脳が引っ張っていくことになるため、
強い歪みを持った方は特にそれだけでは十分癒えることはない。
だから修練を積んで学んでいく過程が必要なのです。
そのような成長路線に乗るきっかけがある方は幸い。



ただ、視点を変えれば、
左図の軸が整えられた状態で立ち居振る舞いができるように、
自分の運動神経系を教えていきますと、
筋肉はその神経により最適化した負担が少ないバランスの整えられた動きをしようとします。


そこへ、しっかりとたどり着くことが出来れば、
確かに施術を受けてもすぐにまた元に戻っちゃったというものでもなくなる。
むしろ、筋肉の疲労をリセットするような施術など受けなくとも、
楽しく理想的な歩き方で歩いていれば、
勝手に体が整体していくような仕組みが体内には仕込まれています。


アクティブ・レストですね。



そういったところが、着地地点として考えられれば、
よりすてきな人生になりそうです。