骨間膜は詰まらせないようにして、ちょっと開く感じで活かすといい

骨間膜の使いよう


人間の身体操作のルールとして。
脳が自身のボディパーツをどうイメージ認識しているか。
そこに誤認があれば正常に動かない仕組みとなっている。


たとえば自分が体が硬くてしょうがないと嘆く人がいて、
自分の中に現存している関節があるのに気づかないため
そちらを曲げなければしなやかな動きができないのだが
必死に運動生理学的にムリ!という動きをしているとき。


これは意外に見受けられるものです。


体の使い方は、幼いころに強烈な観察力で学び取ってた。
脳がなんら「自分は記憶力が悪いから」とか悲観せずに
現状の私どもでは想像できないほどの集中力で動き方を
周りの大人や動物から見習い、それを自分のものとした。


それがいまだにずっと体の使い方のパターンとして定着。
動き方の癖が含まれた独特の動きを誰もがしているもの。


そしてそんな自動化された動作パターンの制御地図には、
脳内に自分の体を具体的な把握をし3次元的にイメージ。
それに基づき関節をまたいだ筋肉が骨を動かし動作する。


つまり脳内に描いた体の動作を決める制御プロトコル
現実の体の仕組みとはかけ離れれば、
本来できるはずの動作ができなくなるのは自明の理です。


そのことがわかっているから、
武道の動きでもバレエの動作でも、
身体操作上の動きの質がいいかどうか
身体部分の繊細な分析と大胆な統合が
しっかりできるよう自分の身体に問いかけ気づきを深めているか。


そんなところが見えるような気がする。


だから書籍を読んだりセミナーに出て知識を他から得るのもいい。
それは大事だが、それは受け売りの学問でしかなくて。
それだけを語られるのでは面白くはない。
自分の身で何かをつかみとったものを披露してくれる。
そこに学問として閉じこもるばかりではなく、
生命力のあふれるような存在の冴えが見えてきて美しい。



だから動き方の良し悪しを学んで観察眼がついてくると、
外形上その人の動きを観ると、
どこの筋肉を認識していないとか、
どこの関節を認識していないとか。


私は、自分を棚に上げて、
他人の動きは、よ〜く観ています。


ただ自分自身の動きを客観的に見る気づきの力をえることはかなり難しい。


そのことがわかっているので、
下手に突っ込みすぎると逆襲されるおそれがある。
他の人の動きでおかしいと思うところに気づけば、
それは私自身にその動きができているかどうかと
問題提起してくれているのだと思うようにしてる。
何度も問題提起をされたものについては、
最重要事項として優先的に自分も改善するようにしています。



と、かなり言いたかったことから道が脱線しました。 ^-^;



たとえば、
なかでも意識されない体の部分の一つが『骨間膜』なのかもしれない。


一般の方では骨間膜って聞きなれないなぁと感じ、
想起しづらいかもしれません。


骨間膜は、下図のように手と足にあります。


骨間膜図.png
(巨大な絵になったのでサムネイルにしました。全体を見たい方はクリックしてください)


前腕の橈骨と尺骨を結ぶ前腕骨間膜と、
脛骨と腓骨を結ぶ下腿骨間膜があります。
それぞれ薄いが丈夫な結合組織性の膜です。


たとえば前腕骨間膜を見てみましょう。



前腕骨間膜.png


橈骨と尺骨の2つに前腕部が分かれています。
その前腕の橈骨と尺骨の間に、
白っぽい繊維状のシートのようなものがありますね。


こちらが前腕骨間膜と呼ばれているものです。


橈骨と尺骨の間を伸筋支帯と屈筋支帯のふたつのリストバンドでまとめ上げるだけでは不安定です。
それに支帯というリストバンドが強烈に手首を締め付ければ、
手の指や手のひらが伸び縮みする時引っかかって動きがギクシャクするし可動範囲が狭くなる。
だから適切な具合だけ2つの骨をまとめ上げるように仕組まれています。


この支帯を窮屈に締め付け過ぎないようにすることというのは、
手を自在に使う基本です。


ただそれと同時に前腕骨間膜の周囲の筋肉群を緊張させ詰まらせないようにする必要があります。
前腕骨間膜がぴーんと伸び橈骨と尺骨の間を十分に開かせることで呼吸がしやすくなります。


多くの腱鞘炎のような不具合を感じている方々は、
同時に呼吸がしづらくなってしまうものです。
私の身体感覚的な物言いで恐縮ですが、
前腕骨間膜(下腿骨間膜も含む)が緊張萎縮すると横隔膜が同時に緊張して上下動しづらくなる。
それが腹式呼吸の質を落とさせることとなり、
いつしか肩で息をしていくしかなくなり肩が上がりだして降りてこようとしなくなります。


この骨間膜が開かないと横隔膜が作動制限を受けて、
常日頃から重心が上へとあがり不安定な体の支えに。
それでは肉体的なグラつきが強くなり筋緊張を無理やりにでも創りだして支えねばなりません。


そして呼吸の質と精神の安定性はリンクしています。
だから骨間膜が詰まるようにしかつかえないという
体の動き方のパターンを覚えこんでしまうときつい。
精神的な落ち着きが保ちづらく緊張してしまいます。




そして私の知る合気道の達人や他、素晴らしい武道家などは、
多くは腕の骨間膜を開かねば体幹が萎えて脊椎に芯が消えることを知ってか、
自在にその骨間膜を開いて強力な腕力を取り出しやすいような腕に進化している。



とにかく、前腕部分が丸太ん棒のようにぶっといが、
さわってみるとこれが不思議としなやか極まりない。
そんな様子を観察させていただいたことがあります。



明らかに、普通に、ご存知なのですよね。
骨間膜をつまらせず開くことで体躯が強靭となり、
優れた身体能力を発揮させるための基礎だということを。




骨間膜というものを見てみますと、
意外に身体操作状も健康維持のためにも重要度が高いものです。
(だから支帯と骨間膜は、必須リリース靭帯ポイントですから)



ですが、残念ながらあまりそのようなことについて、
詳細に語られる書籍等はないように見受けられます。


そしてこの骨間膜の知識は、
数ある書籍等であまり語られないものの一部にすぎないのです。


ですから本に書いていなければ、学べない受け身ではいけません。


結局は体の使い方を知る手立ては、
良書からならば受け売り学問を期待できるところは大きいものの、
自分が今まで自らの感覚のズレや脳の認識の甘さを排除修正させ
本に語られることのない何をつかんで語るのかが勝負になるはず。


いろいろ視点を変えたり深めたりして分析的に体を観て感じれば、
感知力が自然にアップし、自立促進されていくはずです。
最初は、どんなに些細なことでつまらないと思うことも、
素人目線でなければ見えてこないものも多いのです。
そんな方々が「自分は今はこう考えている」と教えていただくと、
目から鱗が落ちることも、実に多いのです。



そんな常識はずれな面白い見方をする人は、好きですね。
尊敬します。