腕の凝りをゆるめるときに、「尺骨」がキーに

施術をさせていただくとき。
腕の骨を体幹部との関係からみると。

胸骨⇒(胸鎖関節)⇒鎖骨⇒(肩鎖関節)⇒上腕骨⇒(肘関節)⇒前腕「橈骨・尺骨」⇒(手首関節)⇒手の骨

と関節をつなぎ目として骨が連携を取り腕の機能が発揮されます。

このとき。

お客様が仰向け寝になり、施術者がお客様の腕の状態をみるとき。
各腕の関節を別々に、
またはいくつかまとめた単位で、
可動の様子を動かしながら確認していきます。
筋骨格系の触診として、筋の正しさ加減を診ることになります。


たとえば、そのときに肩が高い位置で固定されているようなとき、
詳細を観察すれば、
たとえば胸鎖関節・肩鎖関節などの関節や
鎖骨下の鎖骨下筋・小胸筋の詰まりなどにより肩を持ち上げ続けるような凝り方をしているときがある。

すると。

腕の上記挙げた胸鎖関節、肩鎖関節、肘関節、手首関節などが各々に独自のずれ方で固定されたバリヤーが張られることがある。

そのときは、それら関節のずれや固定などの変位状況を見て、
それぞれの関節ごとにまたは連携させつつ正しい関節のはまる位置に持っていく。
そうすることで正しい腕関節の位置に移行して一定時間、一定の力で関節面のはまりをしっかりとカチッとはめていくと。
その関節をまたいだ筋があきらかに「ゆるゆるっ」と緩みだす現象が起きます。

つまり腕の関節をずらしつづけるのが通常仕様になったと体が判断すると、
正常な筋を無理やり凝りを創りだして固め続けていただけの部分が出てくる。
そこが正しい関節のはまりを体験させられたことで硬く張った関連筋が
「あっ、もう関節は待ってるから緩んでいいじゃん!」
となったときに「ゆるっ」とゆるんでくれるのです。



ただこのとき。
テクニックとして注意が必要なときがあります。
お客様の手を取るときに腕の「橈骨」をとると、
なかなかお客様の肩関節が緩んでくれないのです。。

理由はあるのですが、複雑なもので割愛しますが、
お客様の手を取るときに腕の「尺骨」をとります。
そして尺骨を動かすことで肘関節を遠位に引き連れていくと、
なかなか緩んでくれなかったお客様の肩関節が緩んでくれるときがあります。

肩関節の固定バリヤーを
橈骨でコントロールしようと持つとお客様に抵抗され、
尺骨でコントロールしようと持つとお客様が無抵抗にすることでクリアーができます。


施術者がお客様のカラダに手を添えてリリースを図るとき、
様々なお客様の関節のずれをつなぐテクニックや抵抗をクリアーする方法などを使う。

そこに触れた本を私はあまり見た記憶はないのですが、
ですがうまく手を取れている先生方は一様にお客様のダメージを補修しやすい手を知っているんですね。
それは私が見たことがない資料があるのか、
その先生にいい師匠がいるのか、
それとも私のように経験則で発見したのか。
そこはわかりません。。

あまりそこを根掘り葉掘り聞くことはありません。
ことさらにその様子をみて「いいね!」とは叫びませんが、
「この人、できる人だな」と短時間で力量を認め合うことになります。


お客様の手を取って腕の関節をつなぐ手、そのひとつもこだわります。

そうした小さなこだわるといい点もやっていくうちに工夫を重ねると、
「あれ?こうすると、前回やったときよりうまくリリースが進んだな」
という一瞬に差異があることに気づきます。


十人十色の一律に語れないカラダの違いはあるものの、
十人ともここを取るとうまくいく定番もあります。

定番のノウハウをストックすると、安定した成果が現れだします。
他の先生がする施術の手を観察しても、そこにはかつての独自のノウハウの蓄積から生まれたもので、
自身にとって暗黙知が折り重なって構成されたようなもの。
すると適切な言語化が難しいこともあるので。
解説が思うように期待できないことが大半です。。


カチャカチャと智慧の輪を解くようなもので、
小さな何気ない手の置き方一つでも、
深みに入ると悩みがつきないですね。