屈筋主体だと亀さんになるからね!

体捌きのひとつの試みとして、
膝や肘の使い方の精査がある。


膝より下は、腓骨と脛骨やいくつにも分割された足首以下の関節が複雑に構成され
肘より先は、橈骨と尺骨やいくつにも分割された手首以下の関節が複雑に構成されている


膝より下、肘より先、
そこの使い方は意外なほど難しい。
そこをうまく捌きにくいのにもかかわらず、
その先端に近い方ばかりに気が持っていかれる。


圧倒的に神經の分岐して感じ取れる量が手先や足先のほうが多いから、
致し方ないところがありますが。


関節がいくつも割れていいるというところは、
ともすると関節のずれを用意に生み出します。


まっすぐでしっかりした一本の丸太なら、
ちょっとやそっとじゃそのストレートな形状を崩しません。
ですが複雑に分割された関節部分は荒く使えば関節のずれ、詰まり、ねじれなどがおきます。
そのような際には、「力み」「重心が上滑りする」「呼吸が浅くなる・気づかぬうちに息を止める」など、
こちらの負担を強いた時間が長期継続すると自律神経系が興奮状態に陥り、
無駄にエネルギーロスをし続ける。
いざがんばろうというときに、ガス欠症状が起きて、
それを自分の根性の足りなさと思い違いをして、
自分を責めて精神的なストレスを蓄積していく。
これまた、やっかいです。


そして、傾いた母屋はつっかえ棒や包帯でグルグルに巻いて、
どうにか倒れないようにしたりまとめあげようと苦心します。


たとえばずれた骨格系の構造体を補正しようとするときには、
不本意なところでつっかえ棒のようなしこりを作り出します。


つっかえ棒として緊急避難的に利用した筋肉が三角筋や大胸筋や呼吸関係の筋肉なら、
肋骨や肩甲骨などを動かす呼吸筋まわり全体が張りが強くなることもあります。



そのようなとき。


本来は手先や足先の使い方を、
再教育のようにしていけばいいのです。
それが一番いいので、そのような学習を促すところへご縁がある方は幸いです。


ただそのようなところが見つからない、
通う時間もないということもあるかもしれませんね。


そのようなときには自分の体の状態をつぶさに観察。



膝上の大腿骨や、肘上の上腕骨は一本の骨ですから、
この骨が崩れたり伸びたり縮んだりねじれることは、
まずもってありません。


それが気づかないうちに無意識でも手先を中心に、足先を中心に動かしていると、
膝や肘の地面の垂直下方向へのたれていく重みが、まったく感じ取れない状態に。




たとえば右の肘部分内側を左手で握り右肘を下方に垂れ落ちるように重さをかけてみてください
条件として背筋が伸びるような状態で。
聴覚を発揮させて周囲の僅かな音を逃さずに聞くようにしてもいいでしょう。
目線を5度上に向けてみてもいいでしょう。


そうやりつつ右肘に重りが付いた感じを意識して。
するとある程度の肩周辺の柔軟性がある方ならば、
右肘がずりずりずりっと下方に延びていく状態を
観察できると思います。


その状態にして上腕筋を触ってみてください。
いつもより柔軟度を増してませんか?


右手の指先も軽い感じで関節の根元部分も末端も動かしやすくはないですか?



比較するために、わざと右側の肩や首筋を緊張させて肘を持ち上げるようにしてから、
右手の手のひらを動かすとゴワつくような不自由さを感じられませんか?



肘の下がり具合を調整して、一番、手先や指先に力みがはいらない状態を見つけます。


もちろん、左肘も。
同様に調整を加えてください。




そしてそれとにたような感じで、膝も。。。
膝はやり方が工夫が必要になると思いますが、
たとえば電話帳のようなものに片足を乗せて、
もう一方を宙ぶらりんにする。
そして誰かに膝部分を軽く下方向に引き下ろしてもらう。


すると腰の高い位置、
腎臓部分辺りからずりずりずりっと膝の重さが抜けるのに影響して伸びる感じがあるはずです。


その状態ではパンパンになって気になってしまう脚のむくみも引っ込みますし、
膝下の脛骨や腓骨の膝につく関節部も、足首以下の関節たちも動きの自在度が
増していることが解るでしょう。



気づかないうちにでも
屈筋群を主体にして生活する癖がつくと、
亀のように手足、そして首、それにしっぽも、
体の奥にしまいこもうとしてしまうのですね。


そんなことをしたら息苦しくなるのは、当然
でもそれに気づかないという慣れは恐ろしい


屈筋主体だと亀さんになるからね!.jpg


ここはまず、自分に問いかけて、
「肘は重さを感じていますか?膝はどうですか?」
そうである必要を自分に納得させられるほど説得。
この説得があまいから、体がまたいつもの状態へ、
引き戻されてしまうところがあるのです。


無理しない程度に、
気にかけて定期的に見なおしてください。


それで肩こりや首こり、骨盤のズレや膝痛や体のむくみなど、
改善に向かっていった、頑張り屋さんもおられますから。
やってみて、損はないでしょう。






武術家の中には、背後の筋肉がしっかりと隆起していき、
首が短く見えて、という人もいるのだが、それは別格で。
首のレントゲンを撮れば、頚椎椎間板がボリューミーだ。
質のいい動きをできつつ筋肉をつけると、そうなります。
ただ質の悪い使い方をしてしまうと頚椎の弯曲や椎間板の狭窄が著しい。


そのように、見た目ではわかりづらいときもありますが、
首の頚椎椎間板の伸びがあると精力も著しくよくなって、
魅力的に見えるというところは本能的に見抜く判断基準。
そう判断できるには理由がありまして、
間違いはないでしょう。


そうなれば体だけの話しでもなくなってくるのです。




先日、渋谷で金王八幡宮に足を伸ばしたとき。
たんとう功をしている、若い青年がおられた。


感心。


伸筋へのレッスン.jpg


この馬にがに股で乗っているかのような姿で、
2〜3時間キープすることもあるのですが、
その際には手先の経脈の滞りを消してゆき、
右手の指と左手の指があたかも気のエネルギーラインで結ばれて流れが感じられるかのよう。


そのときにも肘を伸ばし膝を伸ばす状態を意識し続ける。
これが伸筋を使っていこうという脳トレになるのですね。
肘や膝を伸ばす意識は背筋を張り伸ばす反射を産みだす。


この馬に乗っている姿勢をしてみていただけると、
肘を伸ばしたときと、肘を肩の方に縮めたときと、
体感が明らかな差が出て感じられるでしょう。
呼吸の質にも関わることでしょうし、
下腹部に安定した重心を容易に維持しやすくなる。


これで修練すれば、
胴体の立体化の影が追えるでしょう。


ただ胴体を作りこむには、
現代の生活を送る人々の大半はこれだけでは不足な点があると思います。
たんとう功を作られた時代では、誰もが普通に使えていた関節部分でも、
今のデスクワークを続けたりストレス過多であれば、
首やしっぽの萎縮や呼吸との連動が曖昧になります。


動く意識を失いすぎた箇所の影響があまりに大きい。


だからいきなり気功のテキストをみてやってみても、
気の感じがつかめないで深く探りをいれられません。



さらに身体状況の磨き上げをしてからとしたほうが効率的に体を変えられるでしょう。