補腎湯のビニールパックが販売されている国民のセルフメディケーション意識

あまり漢方薬に馴染みがない方は、
漢方薬の印象は、どぎつい苦味が強いまずいものといった感じでしょう。
または丸薬になっているものや顆粒状になっているものもありますよね。


それらの漢方薬は、生薬を煎じたあとの商品です。


では煎じる前の生薬のままを見たことはありますか?


先日、知人より【 補腎湯 】という漢方薬の生薬セットをいただきました。


漢方薬を煎じる前の生薬原型を実感するために、
生薬の実物サンプルがあればうれしいのだが。
そう思っていたのです。


中国食材店で買えるようなものは、
手元にいくつかは揃えたのですが、
それがしっかりとひとつの漢方薬を構成する生薬がパッケージされて、
薬効成分が揮発して外にもれないようになっているパックがあるとは。



補腎
補腎湯2.jpg
http://www.euyansang.com.hk/zh_HK/products-soup-packs/%E8%A3%9C%E8%85%8E%E6%B9%AF-4891872710175.html


こちらの補腎湯には、主要成分として、下記の生薬が一袋の中にワンパッケージ化されています。
蜜棗,芡實,狗脊,黨參,杜仲,巴戟天,肉蓯蓉,補骨脂


実際にこちらを手にしてみていただくと漢方薬のイメージが変わるかもしれませんよ。
手に取ると少しだけずっしりとした存在感。


生薬辞典を見たことがない人の感想は、、、
小さなつぶつぶが入っていたり、
乾燥されたスティック、
板状の何か、、、。


などとバラエティ豊か。


ふつう西洋医の薬は、
胃に負担がかかる強い薬を処方されれば、
胃薬も処方に書き加えられるようなこともありますよね。


補腎湯を含め漢方薬は、
多様な生薬を組み合わせることで、
互いの症状を分析することにより、
分析結果から最適な対応する生薬を選択していきます。
そこには中医学の陰陽五行説も考慮されたものもあり、
かゆいところに手が届くようなサポートをしています。


それぞれの生薬がひとつずつが薬効上の役割を持っています。


私は職業柄、気感を強く感じるよう訓練されていますもので、
生薬を煎じたときに蒸気とともに揮発する気に含まれる力に、
鼻腔から皮膚全体から生薬成分が入り込み作用する実感があります。
漢方薬をエキスや丸薬や顆粒で取る以上に、
これは効きそうだと感じる理由です。


ただ服用し慣れていないと、
体が生薬の生きの良さに押されます。
だから服用したてはドキドキですが。
そんなときは規定に従わずに少しずつ服用して
体からの漢方薬が受け付けられるような大改革が起きたときに、
定量の服用とするようにして、私は今のところ対処しています。


特定の症状に対して、
その症状に対応した漢方薬の選択法のファースト・チョイス方法は、
漢方薬関係の専門書にわかりやすく書かれております。
医師もそちらを参照して処方することがあるそうです。
中医学の専門的な研究をなさっておられる先生方は、
さらに患者様の状態を診て、特定の生薬の量を加減することで、
その患者様にベストマッチな状態にして提供するようなことも。
そうなれば漢方薬の古典書以上の成果が期待することができる。
すごい世界です、、、。



なぜ未だに中国や香港では、
漢方薬が人々に受け入れらているか。


漢方薬が牛乳パック的なものに入って、
駅のスタンドなどで購入できるような浸透具合です。
それをゴクリと飲んで、今日も一日頑張ろう的な感じ。



中国や香港では、
日本のような公的な健康保険制度がないと聞きます。
だから医師により診て頂くときは全額実費ですから、
高額費用が請求されます。


たとえばあなたが、
アレルギー疾患のためかかりつけの病院に通院したとします。
一回の通院で3000円お支払いしたとします。
するとその裏では健康保険証を元に歯医者さんは27000円分を別のところからいただいてますから。
私どもは保険料をお支払いしているから、
まったくの丸々のマル得状態ではないのですが。


毎週病院に半年通う場合。
健康保険制度があるとき、
毎回3000円だとすると、
3000円☓4週☓6ヶ月=7万2000円
となるのですが、、、


それが保険適用がなければ、
トータルで72万円の支払い。


ここまでくると健康保険制度さん、ありがとうございます!状態ですよね。


香港ならば72万円を支払うしか病院にかかれなくなる。
とすれば、だったら民間療法で効くことが実感できる漢方薬を服用すると、
その医療や健康にかかる費用はもっと安く抑えられるようになっています。


そうなると合理的な考えを得意にする中国系の人たちは、
よほどの場合以外は漢方薬を利用して健康の維持を図り、
未病を治す努力から日頃の生活を組み立てて考えます。
もし病気になったとしても、
日頃の陰陽五行に基づいた健康法が徹底されています。
すると大事にならずに済みますから、
病院にかかる費用が低減させられる。



裕福な人たちは病院に行って支払いをしても破産はないかもしれない。
ですが、中流以下ならば、死活問題になることも考えられるでしょう。
健康のままでいつづけるというのが、
当たり前の事のように聞こえますが、
それこそ生活をする上での戦略です。



日本でも、今、病院を頼る前のセルフメディケーションが注目されてきています。


セルフメディケーションとは、
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と
世界保健機関(WHO)は定義しています。


セルフメディケーションの効果
(1) 毎日の健康管理の習慣が身につく
(2) 医療や薬の知識が身につく
(3) 疾患により、医療機関で受診する手間と時間が省かれる
(4) 通院が減ることで、国民医療費の増加を防ぐ


そのような観点で、
すでに実践的にセルフメディケーションの先進国として
漢方薬を採用している人たちの動向から学ぶことも多くあるでしょう。


基本的に考えて、ボディワーク系の施術を受ける人の中でも、
セルフメディケーションを重んじて生活を組み立てていると、
成果も実感しやすくなると思います。