漢方は効きが悪い? いえいえ、そうとは限りません。 よもぎ蒸しのように、経皮から吸収するという手が効きを高めることがあるのですね。

漢方薬は、必要な生薬を規定の量を決まった順番に煎じていきます。

そのときに何が起きるか?

煎じているとき。

たとえばハーブティ用のレモングラスなどハーブをお湯に入れます。
すると周囲にはそのハーブの芳香が広がるでしょう。
香り成分が揮発するんですね。

アロマテラピーでは、精油の揮発する香りを鼻から吸引します。
それと同様。
または生気あふれるフレッシュな摘みたてハーブでしたら、
乾燥ハーブの数十倍ものすがすがしいレモングラスの香り。
そのハーブ独自の薬効成分により人体が反応し機能します。

そうした芳香は、
地味にじわじわと効いてくるラストノートや、
柑橘系フルーツのような速攻で効いてくるトップノート。
その中間に位置するミドルノートなど、効きの速度の違いもあります。
アロマテラピーでは、一種類の精油を単体で使わずに、いくつか効きの違いを意図的に計算して複数の精油で構成することがあります。
複数にすることで、最初は柑橘系の香りが速攻で来てカラダをリフレッシュさせてから、
次にミドルノートの精油が香って気持ちをやわらげ、
最後にラストノートの精油が余韻を強く印象づけて効果が長続きするようにするわけです。




漢方を煎じるとき。
混ぜられた複数種類の生薬にも、あたかもアロマテラピーで説明したような複数の生薬にも
「トップノート、ミドルノート、ラストノート」のような香りの成分の効きの速度の差も出ます。
これは一般的にはそのようなことをことさらに言う方はいないかもしれません。
ですが、私は様々な漢方薬を自宅で生薬を規定量混ぜて煎じてきたため、
煎じているときの芳香を得たときの体感や
それぞれの生薬が持つ独自の効きの速度の違いに気づきました。

煎じ終えた漢方薬を口にする前に、
煎じているときに揮発する薬効を体中の毛穴から経皮吸収するのです。
鼻や口からも呼吸するタイミングで揮発成分から薬効を取り入れます。



もしかしたら女性のなかには韓国由来のよもぎ蒸しをしたことがある方もおられるかもしれませんね。
気密性をもたせるようなシートを頭を出した状態でかけられて首から下はすっぽり覆います。
その覆ったシートのなかでデトックス成分の高いよもぎを炊くと、
よもぎの成分が高い温度になって揮発してカラダの毛穴から入る。
それにより効率よく皮脂腺に蓄積した老廃物や一部重金属などを、
汗から体外に出すことができます。
蒸されたあとに残った容器を観る。
すると得体のしれない体内から排泄された老廃物が、その上に付着していることがある。
そのときによもぎは燃やしているだけで皮膚に直接それが触れることは一切ありません。
火のついたよもぎの葉を触らなくても薬効は揮発し人体に影響を与えるという好例です。


よもぎ蒸しをするときと同様な現象が、
漢方薬を煎じているときに起きます。
漢方薬の種類にもよりますが、相当きつい香り成分が煎じると出されることもあります。
そして、実はその香り成分が、薬効そのもの。
そういって過言ではないような効きが起こる生薬が多くあるということです。


ちなみによもぎ蒸しをするとき、黄土という中国原産の土を使って蒸すための器を作ります。
その器は温められるとふんだんに遠赤効果をもつため、効果的によもぎや人体に反応します。
とても合理的なよもぎという生薬の薬効を揮発させて人体に服用以上のよい影響を与える仕組みを作ったなと思い感心します。



漢方を煎じるときに揮発する薬効成分を、ただ換気扇で外に捨てるというのは惜しい。。。


ただもちろん、このような薬効成分を経皮吸収するのにも注意点があります。
たとえば附子(ぶし)と呼ばれる猛毒で知られるトリカブトも、漢方の生薬のひとつですし、
そちらを経皮吸収するというのは、やらないほうがいい。
他にも下薬と呼ばれる毒を煎じて薬となすような生薬もあります。
そのようなものが漢方薬の成分に含まれるときは経皮吸収はしないほうが良いでしょう。


ですがそのような強い反応が人体にあらわれないようなもので構成される漢方の方剤も多く、
それらは経皮吸収をすることで大変効率よく人体に薬効を送り込むことができるでしょう。

個人的な発想では、
よもぎ蒸しをするときの同様の道具を転用していただいて、
漢方薬を煎じるようにすれば良いでしょう。




だが生薬から漢方薬を煎じてつくるようにすると、
煎じたものは日持ちしないので、持って一日です。
それも冷蔵庫にいれてちゃんと冷やしてのことで。
煎じるにもなれないとついついタイマーを掛け忘れて、
煮詰めてしまって失敗したりすることもあるでしょう。

それにやっぱり自宅で煎じたら、
家人に迷惑がかかると思う時も。

それにツムラ漢方薬など出来合いの内服薬となっているものは、
お医者様から処方箋を書いていただければ保険適用になりますし、
対して生薬から煎じたら生薬を買い揃える手間やお金も必要です。
すると自分で生薬を煎じるのは経済的負担も大きくなるわけです。



そのようなことを考えれば、
身体的に重篤な場合を除けば、
生薬から煎じるのはハードルが高いでしょう。
でも、存分に漢方薬の薬効をカラダの隅々の毛穴や鼻からも感じてカラダの芯から変えたいし改善を希望するというときには、
このようなよもぎ蒸しのようなやり方に近いイメージで揮発する薬効成分を取り入れることも頭の片隅にいれておきましょう。
それを行おうとするときに体が重篤な状態であるときには、かかりつけ医に、
そのようなやり方で生薬の所定の成分を経皮吸収させても問題ないかの確認をしていただくと良いでしょう。
そうしたほうが医師が処方するお薬と漢方の薬効がかぶるといけませんから確認していただければ安全です。



ちなみに私は臭いが極力きつくない生薬を使って、遠赤外線ドーム型サウナの中で生薬を煎じたことがあります。
それはほぼほぼよもぎ蒸しと同様な状態で、そのままの成果が得られるやり方でした。

すると想像していた以上に、漢方って効くなと実感できました。
これは買ってきた生薬がフルに活かされることを意味しておりほんとうにお得感がありますね~。


ただIHコンロを使って、狭いドーム内で煎じるのは大変で、ちょいちょい火傷しました。
それに遠赤外線ドーム型サウナの遠赤外線を出すカーボンに生薬の一部がこびりついて、
臭いを落とすのに四苦八苦しました。
やっぱり臭いがきつくないものを選んでも、なかなかのもの。。。
なので、もし私と同様にスマーティでよもぎ蒸しのようなやり方をトライしようとする方は、
芍薬甘草湯あたりなら臭いはきつくないし、まずはそこから試してみてはいかがでしょうか。