腹直筋がかたすぎると内臓を圧迫し続けるため、改善が必要です!

定期的にお通いいただいているお客様で、
遠方の長野県からお越しいただいている男性。
不定期では大阪や岩手県からお越しいただくこともあります。。。)

早朝出立でお越しいただき感謝の念が絶えません。

私も最近、ワンドを使った施術の多用がたたって痩せてきましたが、
今日のお客様も同様な悩みをお持ちになられています。

しっかり食べているのに、肉がつかずに、痩せてきたスリム状態でキープしている。
スタイリッシュな印象の良さはあります。
ですがやや早めに眠気が襲うようなこともあり体力的に頑張りを効かせづらくなる。
臀筋の減少により椅子に長時間座ると、座面に当たった坐骨が痛みを覚えてしまう。

腎虚証は経絡上、調べればわかります。
腎は精(後天の精:生命エネルギー)を貯める臓器と中医学では考えられており、
腎機能停滞すれば精力的な減退などに響いて体力が持たなくなってきます。
私も基本、腎虚タイプで、こうした傾向は身を持って理解できています。

ただこちらのお客様のひとつとても気になる点がありました。
それは腹直筋の筋肉に柔軟性がほぼなくなっている点です。
腹式呼吸はみぞおちの硬さから困難ですし、
察するに睡眠の質が落ちる傾向にあります。
また腹直筋硬化が、腹部内に収まる消化器を奥へと強圧し、
それら臓器の機能を抑制しているようです。
通常、胃の状態を腹診でチェックするとき、
胃内を通る動脈の状態をしらべて活躍状況や胃の位置や形状を確認しています。
ですが腹直筋硬化が強すぎて背部の腹壁に胃が追いやられて癒着が進むことで、
胃の内部にある動脈の脈動の強さやリズムを調べようとしても、
脈のレスポンスを受け取ることができませんでした。
胃の位置は、状況から察するに下垂傾向が予想され、
お腹いっぱいご飯をいただくと、
多少ぽっこりする位置が臍下とのことです。
腹部内部のパッケージされた空間サイズは、
理想的なサイズより25%は削られている。
それは肋軟骨下端の狭さや、
骨盤内部の腸腰筋の特徴と、
腹直筋、腹横筋や腹斜筋、そして腰の筋肉の緊張によります。
腹式呼吸をすることが困難となり、
どうしても上半身の肩や肩甲骨周囲に重心が高止まりします。
重心が高止まりして固定された不安定であれば、
体側の胆経という踏ん張るような筋肉群が常に張る状態になる。
そうした傾向が確認できます。

 

そうした腹直筋におけるリリース手順として。
以前なら腹直筋硬化は、圧を手や砭石温熱器等でかけてみても、
腹直筋の直下が壁の硬さがない大腸や小腸のためリリース圧が逃げ、
想定するリリース量の十分の一も解けないものでした。
それがうまくワンドを用いて腹部の奥に圧を押し込むのではなく、
腹直筋の筋肉の層に圧固定してリリースをかけるようにすると
こうした腹直筋の筋肉の硬化も柔軟性を取り戻すことができます。


肋軟骨部分への骨化したような靭帯や腱部のコリを除去する際は、
ほんとうに耐え難い苦痛。。。。
ですがこの部分をしっかり緩めないままに腹直筋全体を解けば、
早々に腹部の張りが以前にも増していく結果に陥ります。
それは腹部の内部を更に強く圧して消化器や生殖器に対して
トラブルの引き金になります。
また下垂した胃内の胃液が代謝できずにガス化が進行すると、
横隔膜越しに心臓へのかけてはならない負担を強いることも。
それらを避ける下準備には骨以上に硬度がきつくなった
肋軟骨上のコリを緩めないと、、、。
私も自分で自分のその部位のリリースを試行したときの痛みを覚えており、
このときの痛み具合は強烈なものです。

お客様が、がんばってくれたおかげで肋骨の全体可動が理想に70%達し、
これなら腹直筋をリリースして大丈夫という安心安全レベル。
それでワンドをたばねたものを巧みに使うことで、
腹部の大腸や小腸へ達しない腹直筋の高さにリリース圧を固定した解き方をもちいて、
腹直筋のコリを取り除いていきました。
これも細心の注意をしながらの緊張の手技で、
特別な手の内を使う技術がなければできません。
(最近、細心の注意を緊張状態でリリースすることが多く、
 それで私の体力部分は削られて痩せだした次第です)

 

この作業。
以前はどうやってやればいいのか解答が得られずに、
考えあぐねていたものでした。
ハンドマッサージの達人ならリリースできるのかというと、
腹直筋の赤い筋肉部分の組織は緩められるのですが、
そこは一過性で緩むだけで、早々に固まり不調がぶり返します。
多くの他のマッサージではこの赤い筋肉部分の一過性の柔軟化が限度で壁。
私もその壁に打ちのめされ続けたひとりだからよくわかります。
腹直筋の白い腱組織に効いてくるアプローチでなければ、
一定期間以上の柔軟性を保持することはできません。
そこがワンドを巧みに使うことで対処できるようです。
おかげでまた少し、施術がうまくなりました。

そして腹直筋の白い腱組織を緩めれば
1〜2週間という一定期間の緩みが保持できます。
そのタイミングが、
腹式呼吸を取り戻して重心を腹部の丹田に作り、
身体の構造を安定化させる習慣を獲得できるチャンスです。
あとにつなげるためにおこなってほしい注意点をいくつか、
お客様にお伝えさせていただきました。


これから資格試験や仕事の繁忙期がどっとくるとのことでしたから、
息の詰まる環境が追い打ちしてこられる様子です。
そんななかでも、ベストパフォーマンスを可能にするには、
赤ちゃんのやわらかいお腹の動きができるような腹直筋がいりようです。

ご自身でできる範囲の注意力を傾けていただき、
腎虚から復調への道を歩いていただければと願ってます。