私が影響を受け続けている書籍のひとつ

アレクサンダー・テクニーク
それは体の使い方を丁寧に伝えてくれる素晴らしいテクニックです。
さまざまなアレクサンダー・テクニーク関連書籍が出版されている。


美しいカラー写真で初心者にも良くわかるような良書が増えた。
入門書も続々と出版されている。



私が一番好きなアレクサンダー・テクニークの本はと聞かれると、
1989年に出版された次の本を掲げるだろう。
アレクサンダー・テクニーク―姿勢が変わる・からだが変わる・生き方が変わる

アレクサンダー・テクニーク―姿勢が変わる・からだが変わる・生き方が変わる



本書の著者バーロウはアレクサンダーとともにテクニークを磨きをかけた人物。
アレクサンダー・テクニークを実証研究した。
そのときのデータが掲載されている。
現在盛んに出版されているわかりやすい本たちとは違う。
文章と写真・イラストでアレクサンダー・テクニークの原理が解説してある。


体の使い方を学び始めの方々にはこの本をいきなり薦めることはない。
アレクサンダー・テクニーク関連の書籍にはとっつきやすい本がある。
そちらを勧めるだろう。


だが私が一番最初に購入したのはこの本だった。
購入当初は文章が多くて専門的雰囲気が色濃くて読みづらいと感じた。
ですが気づくと数あるアレクサンダー・テクニーク関連の書籍で、
繰り返し読む本はこの本しかない。


私はこの本により大切なことを学んだ。


体の使い方が誤用(mis-use)され続ければ、
健康はありえないというポリシーも共感した。
施術で肉体を改善してもそれだけでは満足ではない。
そしてそれから体の使い方に関心を強めていくことに。
その影響が今日まで色濃く私のワークに影響している。



本書の第五章精神の健康は興味が尽きない。
この本によりカラダと心の関係を理解できた。
概念的理解レベルではない。
ゆるぎない体と心の公式が、
そこにあるのだと気づいた。


例えば精神的な疾患を改善させるには、
神経症的なカラダの誤用を排斥せねばならない。
だがその誤用の事実に気づかなかずにいる。
精神的異常の基礎が適切でない体の使い方にあったことは、
体の使い方が改善された後になり初めてわかるものだという。
このからくりを知り驚いた。
アレクサンダー・テクニークを実践することで、
精神の安定を取り戻された写真は興味深い。
体の使い方を理解できてカラダの崩れがなくなると、
うつ状態から抜け出ているという写真だ。
『えぇ〜っ。体の使い方が精神状態をこれほど左右するのか!!』
そういった衝撃を受けた。


少なからずカラダの誤用が多くなる人々。
姿勢の歪みは以前よりも深刻化している。
姿勢の歪みはカラダの誤用からきている。


そう考えれば体の歪みを伴う体の誤用と精神障害を強く連想させられた。
カラダの誤用をなくす教育を行うべきだというアレクサンダーの主張に、
教育者であるジョン・デューイ(※)が賛同したのにもうなづける。
(※アメリカの20世紀前半を代表する教育学者、哲学者、社会思想家)
デューイはプラグマティズムという実用主義道具主義、実際主義を旨とした。
アレクサンダーの仕事がそのデューイの心もつかみ放さなかったことは興味深い。