腕が動けば重心も動きます。


整列のときに両手を前にサッと突きだせば、
前方に身体全体の重心が動くわけです。
腕の”重さ”分だけ前方に持っていかれる。
それを見越して運動神経のよい人は身体の軸を少しだけ後ろに引きます。
運動神経が機敏に反応しない人は身体全体を固めて耐えようとしますね。


どちらも腕が前に動くことで身体の軸に変化がおきたために起きる反応です。


街中を歩いて立っている人の横姿をみて
肩と耳が同一線上にあるかどうかを観察します。


すると次のような人がいるのを観察できます。


肩が前方に回りこんでいたり、
逆に肩が後方に回り込み胸をそらすようにしていたり。
無意識にそうしていると思うのですが、
腕を前か後ろに動かしてそのままにしている。
つまり腕を前に回りこませている人の中には、
長年その腕を前に回りこませることによって、
重心を身体の中心からずらしてしまっている。


合気道などをすれば肩にそんな回り込み癖があれば、
丹田に重心取りができてないため簡単に崩されます。


肩の真上に耳が位置していないときは、
頭の置き場所を間違え首が短くしていて
肩が持ち上がっていて回りこんでいることが多いのです。
そしてその位置に肩を置くのが習慣化されれば、
本人的にはそれでなんら不都合は感じません。


ですが腕は重いものでそれを持ち上げ続ければ、
持ち上げるに使った筋肉群はしこり化しますし、
身体の中心軸がまっすぐ伸びて大地に根を下ろすことは難しい。
そのつけは腹と腰の横隔膜周辺に不具合のあるしこり化として現れることも。


人間は重心点と中心軸が鉛直線上に交わるように
バランスを修正しながら立つように造られています。


歩く際に腕を前後に振るときは、
腕が前後に振れることで重心が必ず動きます。
ただ重心点と中心軸の鉛直線上の交わる点を腕が前後に動く中間地点で
必ず通るように設定されているわけです。
そして左右の腕が同量だけ振れることで、
左右の重心を動かす量をうまく相殺する。
その仕組みどおりの動きができれば体の力みが抜けて優雅な動きができます。