腕の使い方の妙


『沈肩垂肘』という中国武術をしておられる方々には
おなじみの体使いの要諦があります。


大雑把に言うと、
『肩を沈め肘を垂直下に垂らすように使いましょう』ということでしょうか。


この意識で腕を使うことを心がけると。
肩甲骨が内側へ下方へ位置をとり、
背中の張りや痛みを軽減させてくれる。
腕を使うときの力みがほとんど気にならない。



実際は肘から先の尺骨や撓骨のねじり具合を工夫しなければならない。
やってみれば解るだろうが、案外それが難しい。


肘から先の決め方の要領がわからないならば、
手を前に伸ばした時などに手のひらを上に向け、
肘のとんがっている部分を下へ垂らすような重みを感じておけばよい。


それだけで背筋が自然に伸びて呼吸が楽なことにも気付くだろう。


この状態でハードな動きをしても疲労が少なくてすむ。
それに体の重みを活かし関節の動きを妨げないスムースな動きができる。


さすがは合理性を重んじた中国武術の要諦です。


私どものような圧をかける施術をするときには、
手のひらで目的の部位を触れ圧をかけるだろう。


そうすると手のひらを上にむけて圧をかけることはできませんよね。
そうなると小手先での力を取り出し続けねばならなくなる。
小手先での力は施術者の体の内側に力が滞留して外には発せられず。
そしてその力みが施術者の体内へダメージとして蓄積する。
肩甲骨が外側に上方にと移動して肩で息をするようになる。
肩甲骨下の肋骨下部が異様に張りがきつくなり、
肋骨まで変形をしてしまう。


それにより呼吸が浅くなり疲れやすく疲れが抜けづらくなる。


それを押して仕事をし続ける苦しさは、
私もかつてさんざん味わいました。


腕の使い方に注意をはらわないと、
施術の可能性を削ってしまいます。


また、パソコン作業も手のひらを下にむけて長時間いますから大変です。
作業中の小休止をするときには、
手のひらを上にむけてデスクに置き、
肘を下方に垂らすような状態にする。
それで5分くらいキープしてみます。


姿勢も楽に正せ呼吸が深まりますよ。^-^)