自分では気づきにくい体調不良原因ってあるものですね


昨日のお客様。
左肩が前に回り込み非常に苦痛だったと言います。



今日のお客様。
右肩や右手尺骨側がハリが強くて苦痛だったと言います。


そして両者とも、なぜ、この非常に強い苦痛が起きたのかは記憶にないといわれます。


ですが私には、運動系の神経痛に近い症状が苦痛状態の中に含まれていることを知り、
「間違いなく、何か特別な運動をしているはずだ」と推測。


ですが両者のお客様は「そんな、特別なことをした覚えはないんですがね」といわれます。


原因があるから結果がある。
そのような因果律は無視できない。


私が黙って、問題箇所を施術でリリースして痛みを和らげたり解消させることはできます。
筋肉のどの部分にどのような問題が出ているかはわかる。
むしろ、それでよければ短時間にぱっぱと対応出来ます。


多くの施術院は、短時間に的確な施術をということです。
なので私が行なうような原因を教えてくれるまで粘らないかもしれません。


ただ、問題が表面化した原因が解らず、
痛みのみを緩めたとしても、
半々か、またはそれ以上の確率で再発。


再発するときには「またまた、痛くなっちゃったよ、あぁ・・・嫌だ嫌だ!!」と、
肉体的なダメージとしてもつらいが、
心理的なダメージに想像以上に凹む。


原因がわからないから、不安なんです。


結果的に、
昨日のお客様。
左肩が前に回り込み非常に苦痛だったと言われる方は、
最近、ピアノの練習を初めてがんばっているとのこと。


それを聞き、問題は、即決。


私はかつてプロのピアニストをしていた方を知っている。
大人からがんばって練習した。
右利き。
左手の小指と薬指が動きづらい。
それにより思うよう動かない指を、
他の指以上に使いづらい思いをしつつ練習をする。


それによりプロのピアニストをしていた彼は、
右利きにもかかわらず左肩が持ち上がりだす。
それがもう長年の癖になり、どんなことをしても落ちない。
ただ右利きで左肩が上がると、
左側の頸動脈を余計にひどく圧迫させて、
首こりもひどいが、それ以上に脳への血流異常や、
脳に流れられない血液が心臓へ逆流気味となって、
それからくるつらさを訴える人がいたのです。


このプロになるまでの過酷な練習をするときには、
姿勢のクセが強い轍のように深く刻まれてしまう。
そこまでいくと問題は相当な深刻な状態ですから、
かなりの長期戦を覚悟しなければなりません。


ですが昨日のお客様は、
2ヶ月前にはこのような状況がなかったことは
私が知っています。
だから2ヶ月以内に何か特別なことをしている。
本人は、特別なことをしていた記憶はないというのですが、
ピアノの鍵盤を前にプロの先生に習ったのだが、
つらい負担になるダメージが自分の体に刻まれているかどうかについて、
「そんな、ちょっとしたことだからダメージが蓄積するわけないだろう」
という思い込みがあり、
私がここ数ヶ月でなにか特別なことをしましたかという質問に「いいえ」
という回答が何度か繰り返されていた。


ですが雑談をしながら、そういえばピアノを練習しだしたんですよという。
それで、私が以前にプロのピアニストが左肩が持ち上がって、
今のあなたの状態と同じ様子になっていたのですよ、という。


すると徐々に自分でもそれしかないなと消去法で思い当たる。



そうなれば鍵盤を弾くときに手首を詰めるようにしたら肩が持ち上がり、
難しい曲になればなるほど、心理的にあたふたすれば、
体の緊張が強まり心理的コンディションが、
そのまま肉体の姿勢の緊張やズレへと移行。


その精神的な緊張感は、いったん植え付けられると、
ピアノの練習を終了したという切り替えをすることが宣言されねば、
ずるずると体の中ではまたすぐにでもこの緊張状態で練習をするかもと備えようとする。
つまり準備をするようにしてしまって、
ずっとアイドリング中になってしまう。


そうしてピアノの練習をしていない時間もずっとピアノをひいていた筋肉が無意識に使われ、
そしてそれらの筋肉がパンプアップしていき、厳しいずれへと誇張されてしまっている。


なのでピアノを引くときの座り方の姿勢で注意をして欲しいところを伝え、
ピアノを弾き終えたらそこでいったん終わりにしますと宣言をしてくださいといいました。


太極拳では、動きの最初の初動作に、気を高める動作をします。
そして終了時には、気を静めるための動作をして終わりにします。
気を高め続けては、体には一定の交感神経が働き続けるようなこととなり、
エネルギーの無駄遣いにもなります。
必ず気を鎮めて終わりを宣言します。


そのように体や意識に教え伝えることが大切なのですね。


そしてピアノを練習するときに、
左肩がどうなっているのかをモニターしていただければいいでしょう。
それが、自身の体を守ることにもなりますし、
それだけではなく正しい姿勢が上達の基本で、
きっと自分の姿勢を客観視できたほうがいい。


最初に変な姿勢にしてしまうクセをつければ、
それは修正ができなくなるほどでしょうから。
基本の型を整えることを大切にしていきたい。



そして今日のお客様。
右肩や右手尺骨側がハリが強くて苦痛だったと言います。
こちらのお客様は、
剣術で居合をなさっておられまして。
月に二回ほどの師匠からの教練を受けているのですが、
その二回ほどの教練でも内容が濃いため、
右側の上腕三頭筋に強烈なしこりを仕込みまして。
それが右手の全体にまでいくような張りのような
苦痛を与えることになるのであれば納得出来ます。


上腕三頭筋は、太くボリュームのある筋肉であり、
ここの芯が凝り固まると、本当にキツイんですよね。
私も数度経験があり、メゲそうなつらさがでました。



それも大きな原因となり苦痛を訴えるに至ったのかもしれない。
状態を観て、そしてそのお客様の最近の生活様式を見ましても、
おそらくそれも大きな要因となったのではと思えてなりません。


この場合には、胸郭部の形状を呼吸により最適化していって、
肩甲骨と肋骨の隙間を作り、
仙骨と腸骨の隙間を作り、
という2つの間を作ること。
そして骨盤底の左右の詰まりがなきようにすること。
おそらくスムースに腰(骨盤)の回転とそれに逆転する胸郭の回転を作り出すための下準備をする。
などといったところに、そつなく対応出来れば
上腕三頭筋に頼るところを胸の前側を中央から分ければ手が自然に開いて、
それが刀を抜くきっかけのキューを出してくれるのではと。。。
違ってたら、ごめんなさい。^-^;


武道での体の捌き方は、
実際にはどれだけ多くの汗を脳がかいたかですから、
ダメージを受けるのも上達への道となるのでしょう。





ただ不調原因が自覚がないと、
得体のしれない苦痛が降って湧いたように思えてきます。
そのままでは痛みという動きの改善を要求するメッセージをありがた迷惑なものとしか感じられません。


自分のことを客観的に捉えることほど難しいものはない。


それは私も実感することですが、
自分のことをどれだけ客観視することを怖がらないかが、
そして深い気づきを得て改善をする導きを受け入れたり、
工夫をしていくことが大切です。