腹圧への注意事項

腹部のコアを創るときに、避けて置きたいことがある。


以下の図を見ていただきたい。
以前にも表示させていただきましたが、
骨盤が前傾しているものが腹腔内スペース狭小化することを示した図です。


骨盤前傾の腹腔内スペース狭小化.jpg


チェックになっているエリアは左右で違いがあるのがわかるでしょう。


理想が左側です。
腰椎がまっすぐに伸びている。
この容積が仮に「10」とします。


腰椎の椎骨が内臓を前に圧迫しつつ押し出している。
それにより腰椎部分の上下の寸は短縮していますし。
この容積を仮に「7」だとします。


右側のほうが大幅に窮屈ですから、
物言わぬ内臓も消化器の機能低下からの便秘や下痢、
子宮内への血行不良や頻尿などの傾向が強まります。



では、、、
この右の図の状態で、より強く腹圧をかけてしまう。
呼吸を腹式呼吸にすべきだといくことで臍下三寸を、
まじめに取り組んできたとき。


ちょっとした盲点があるのです。


臍下三寸(約9cm)を指さし、
ここを重心にと考える人の中に、
腹部の皮膚部分に重心があると
錯覚する人がでてきてしまう。


あくまでも臍下三寸、そして奥に入って腹部と腰部の真ん中辺り。
女性はわかりやすいのですが、子宮の位置に重心点を感じるので、
腹部の表皮に重心を取ろうと考えた瞬間、大きなミスを犯してる。


ちょうど子宮部分が、
空気の出入りで大きくなったり小さくなったりする風船のようにサイズを変える。
そのようなものだから、無理矢理に下腹部を締め付けてコアを創る判断は間違い。


そのようなことをすると、
腰椎が前弯しすぎている骨盤の前傾状態の方は、
この容積は仮に「5」程度にまで縮小されるのです。


そのときに何が起きるでしょうか。


もちろん、内臓全体は圧縮されて、
息の音が止められるような苦しさ。
腹腔の中は、
各臓器が癒着しないようにしたい。
臓器と臓器の間仕切りスペースが、
しっかりと本来は確保してある。
その間仕切りスペースの緩衝材力を奪うならば。。。
それは内臓部の押し付けにより、
各臓器の機能発揮を低下させる。



通常は腹直筋や腹横筋、腹斜筋で圧迫された腹腔は、
横隔膜を上に押し上げることもあるのですが、
内臓はもともと重力により下垂しやすいので、
下へ、下へと圧が逃げ道を求めて潰れだしますから。


すると、
膀胱が骨盤最下層の部位にあるわけですから。
膀胱が拡張する力を失い、
なかに尿を貯める容積が減少していきますね。


そうなると、なんとなくいつも以上の頻尿に。



それが長期に渡れば膀胱が骨盤内面の骨に実質的には「癒着」をし始めることになります。


そして女性の場合ですが、その膀胱の上に子宮がありますから、
膀胱への圧縮だけではまかなえなくなるほどの腹圧を生じれば、
次に子宮も下垂が悪化して潰れるような圧縮を受けていきます。
そのようになると、血行不良や体液の滞留を阻害されることで、
子宮筋腫子宮内膜症になりやすい条件のひとつが出てきます。





理想型の腹腔内の容積がある方は、
胆力を強めていくために腹圧をかけたとしても、
いつもよりもちょっと下半身への意識が増したなという程度です。
だからある程度、腹圧を意図的に高めたとしても、
さほど悪影響を感じないで済みます。


対して、すでに腹腔内のエリアが狭まっている条件の方であれば、
相当な逼迫した腹部の圧縮された非常に苦しい状態にも関わらず、
それをあとひと押しをしてしまうことは避けていきたいのですね。
物言わぬ内臓です。
それが自分でも自覚できるほどのダメージを与えられてしまえば、
自身でそのような状態から抜け出すことは難しくなっていますし、



たとえばまっすぐ体を伸ばして仰向けに寝ていただいて、
手のひらを腰と床との間にどうにか入るかどうかならば、
さほど心配はないのかもしれません。
(ただ慢性腰痛の方は、その限りではありません、すでに腹腔内の圧縮が強いです)


そうなると一般的な整体のリリース方法では対処が難しい。
それが現状であると思います。


オステオパシー系の技術でメカニカルリンクのリコイルという高速微振動でリリースする手技を、
丹念に繰り返すようなことしか私にはできませんし、それで十分な成果が得られる保障もない。
私の場合は、しっかりとそのリコイルをする前に、周囲の腹圧をかけさせるような遠位部分を
しっかり緩めてからおこなうリリースだから成果が高まっているのですが、
それでも容易に対処出来づらいというのが現状なのです。。。



根本、骨盤の前傾は食い止めるようにしていきたいですよね。
そうであればシビアな状況に至るほどのことはないでしょう。


施術者が、上記のようなことをお伝えすることも必要ですし、
エクササイズ等を指導なさるインストラクターがわかっていて欲しい。
骨盤の前傾があり、すでに腹部容積が小さくなっている人かどうかを、
見分ける力を持ち、腹圧を意図的にかけてしまうと危険な人もいると
人をみて指導なさっていただければありがたいところです。


想像以上に健康の悪化が懸念され、
危険な状態に陥ることもあります。