個別、具体を聞き取ることの大切さ

【個別、具体、検証のサイクル】

この3つのサイクルを順繰りに回していく。
そのうちの個別と具体の一端をお伝えします。


【個別】とは、お客様一人づつユニークな存在ということ。
たとえば「顔がゆがむ・表情がかわる」という症状や病気が発生していると報告を受けたとします。
女性の場合には、これは非常に気になるところでしょう。
この症状は10人がこのように訴えられたとしても、
それはすでに10パターンが存在しているといえる。


各人の状態は、
かつてむち打ち等で頸部を強打した負傷からくることもあるでしょうし、
噛み癖からくる顎関節症が悪化したようなこともあるでしょう。
原因はそれ以外にも考えられますよね。


その方の生まれた時代背景、生活スタイル、食事や運動、仕事上の影響、姿勢、
信念や信条からくるもの、心理的なストレス、家族環境、
遺伝的要素、居住する国の安泰や地区の様子など、
様々な違いから作られた結果が現状なのでしょう。


施術者ですが、
自分の持ち手の技術を考える云々以前に、
自分はそのお客様に関しての情報は、
なにもわかっていないということを
頭のなかに明記しておくべきです。


施術者的な視野からは、
どのような歪みがあって、
それがどのような影響が生まれるか。
それはつかめているのですが、
それだけ掴んで安心してはいけない。


結果を更に良くなるよう磨く必要を感じた人ならば、
もう少し、突っ込んで観ていく必要が出てきます。


もし仮に心的ストレスが原因ならば、
それを私はOリングテストでちゃっちゃとチェックすることはできます。
相応の確率で、絞り込むことはできるかもしれません。


ですがそれで済まさずに
【問題が起きた際の現場の聞き込み】に時間をかけます。
そのような情報を頭に入れておいたかどうかで、
体の見立ては大きく変わるものです。


そしてお客様のお体のユニークさを伺うための聞き出しは、
その後の施術を継続する際にも、
「あっそういえば、私が不調になったときに、こんなこともあったんですよ」と、
私に語っていただけることもあります。


今の自分とはさほど関係がないと思っていた過去の記憶を手繰り寄せる。
そこには特徴を捉えて印象を思い起こすような技術が必要なので、

それが得意な方かどうかで、情報が使えるかどうか異なってきます。



たとえば、植物の一輪のバラを頭に思い描いてください。
すると、茎が緑です、花が赤いです、等々自分が思い描いた像から、
いくつかの特徴を語りだしてくれたとします。
ただきれいな花には刺があるということわざにもなるように、
刺があることを忘れたまま、バラのイメージを伝え終えたとします。
やっていただければわかりますが、
他のものに自分が思い描いたものを伝えるには相当なエネルギーが必要です。
そのようなエネルギーが持続できるかどうか。


過去の記憶から特徴となるようなところをいくつか教えていただきます。


実際は、そのときの言葉から直接的に、
ここは重要極まりない!といって赤いマーカーでグリグリグリっとラインを引っ張るような部分は、
なかなか出てこないことが多いいのです。
一発でそれを出してくれる方は、
薄々自分でも「これって怪しいんじゃないか」とわかっている人だけです。


そのようなことでもあって、
個別のユニークさを理解するために、
体を観て触れてから情報を聞き出すということと平行して、
言葉で現状につながる因果関係があるかを、それとなく教えていただきます。


こちらから「具体的な状況をつぶさに教えてくださいね」と要求しなければ、
マーカーでラインを引きたくなるところから道がそれて世間話になってしまいます。
そこは雑談の中にも聞き出して有利になるものを求めているという
職業者的な習慣が身に備わっているので、
質問は自然に適切に重要な部分にフォーカスを絞れるようなところへ誘導することもあります。


聞き出すスキルも大事ですが、
同時にそう容易く聞き出せるものではないということを頭に入れておいて、
繰り返ししつこいほど語ってもらうことです。


そうやっていくと、
たとえばなかなか治らないような腰部の痛みがあったとして、
ご本人にはまったく当然でそうであって何が変なの?という
自分では良かれと思ってやっていたことがNGだったこと。


そういうことをなさっていることは、
けっこう頻発しているのです。


私がその新たに教えていただいたことをお聞きした瞬間に、
「あなたはそれをやめればいいんですね!!それで、きっと大幅に前進ですね!」という。
目から鱗が落ちることは度々起こるものなのです。


そのことに気づかなければ、
どんなに素敵な技術を持った整体の先生でも、
絶対に治せないし治らない。
慢性化した症状の仕組みの裏側には、
何らかの問題が潜んでいるものです。



ずっと慢性的な負担を持ち続ける努力をしているのは自分だったと、
気づかないとならないようなこともあるのですね。


気づかないうちに慢性的な問題を月日を重ねて時限発火装置のように、
バーンと爆発するような流れへ向かわせているのが自分だったことに気づけば。
どれほど大きな利益となるでしょう。


施術で筋膜リリースをしていますが、

そこを、そこはかとなく下支えするような工夫を盛り込んでいます。



実際は、そのようなことをせずに、
ルーチンで、そのお客様の体を読んで筋膜リリーステクニックを当てはめていくだけのほうが、
時短効率化が可能です。


それに筋膜リリースをしているところですという範疇を逸脱しすぎては、
何をされているのかが曖昧な印象になる。


ただ私の場合は、今のところは意図的に「そういうところが改善するといいですよね」と、
個別、具体の状態から引っ張り出せた情報について、
「ここ!あなたが思っている以上に重要!」とマーカーで印をつけて返すようにすることがあります。
その重要さに少しでも自分を改善なさるきっかけとして気づいていただければ幸いです。



そしてこのようなことを意識しているからこそ、
見える世界が増してくるように感じています。