筋肉内部の配管工と電気技師




ここ最近の施術にて、
「 だいぶ本格的に緩んできたから、
  いまは痛感がダイレクトに感じられだした状態かもしれません。
  だから圧の掛け方を、より感覚が戻ってきた右側は弱めますね 」

ということがありました。

実際、いままで棒状かっさでゴリゴリッと深層の撤去が不可能かと思えていた凝りを解くにあたって、
そこで与えていたリリース圧の20分の1ほどの圧に減圧しての施術をさせていただきました。
それでも十分、いまだかつてないほどするっと筋がほどけるのです。

だからいつもの10倍の気づかいを上乗せして、
圧の深さや方向そして質、
お客様の呼吸のタイミングを読みながらのワークでした。
ちょっとでも圧が強いとシビアな鋭いうぅ!という痛みがでるので、
そこは神経上、ここでの状態下でのその痛みは芯に影響がきて残る痛みです。

この場合は、痛みを下げることとリリース個所の厳選によるショートアプローチが効くのです。

ちょっとこの状態はすごいんじゃない!?と内心思いました。

^-^


よく体の使い方に疑問を持ち、自己理解を深めて行かれ続けた結果がでてのことでしょう。
うれしい限りです。



左半身は軸として使われておるため、
そちらには右半身のような痛覚神経の鋭敏さはなくて、
痛覚麻痺はあるものの。
それでも以前の様子と比較したら、その麻痺による感覚低下が大幅に減じられていました。




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家をつくるとき。
水道工事のような配管工事に電気を通すための電気工事が必要です。
配管と電気が通っていない家を作ったら住みづらいですからね。


筋肉組織内にも、家の建築と似たような配管工や電気技師が働いています!


筋肉の作動は生活に欠かせない水(液)を供給する配管があります。
つまりここでは血管やリンパ管という栄養や免疫に関係する液を流す配管が設定されています。

あとは皆様も自宅では電気を使ってテレビを視たり、冷蔵庫を働かせ、煮炊きするIH機器を作動させたり、照明をつけますよね。
電気が配線されていてできることは生活に欠かせない。
人体も同様に筋肉の薄い膜の内側に、
筋肉をどう動かすか指示命令を受け、筋肉の状態をモニターして情報を中枢へと送ります。
それは電気仕掛けの神経という中枢神経へとつながる電気ケーブルが敷設されています。


特に骨格筋はよく運動をするため、筋肉の内部には、多数の血管やリンパ管そして神経があるのです。




筋肉内部を通る血液を流す配管は毛細血管と呼ばれ、太さは5~20μmといった細いものです。
成人男性の血管を一列に並べたら、赤道を2.5周する長さでそのほとんどが毛細血管です。

太い配管は曲げに強さがありますが、
髪の毛よりも細い毛細血管は圧迫により格段に詰まりやすいんですね。
筋の凝りのため完全に詰まれば組織が壊死して困りますので、
たとえば半分は通ってるが半分の疎通は阻害されたような不調が起こります。

凝りが初期段階であるか慢性化したかにより疎通の阻害状態は変わりますが、
多くの場合において凝りの慢性化はより重く疎通の阻害を引き起こします。
すると血液をあたえられなくなる毛細血管は徐々に滅して減少していきます。


では次に筋組織内を通る電気工事をおこなって通した電線。
この神経は血液という酸素を含む液があって初めて働きます。
血の供給を受けて神経が働いているときは順調に機能します。
ですが血が滞れば神経の働きが鈍るのですね。
筋肉内の電線も維持できなくなると感度が悪くなってきます。

血流悪化は、人は冷えなどから感知することもありますが、
どちらかというと、漠然とした感じ方しかできません。
特に施術を受けているときに、そこは血行が悪いなとか思えることもないでしょう。

ですが神経の痛覚状態は、感度の良し悪しはダイレクトに脳に届けられます。




神経がしっかり働けるほど血流が戻る筋の凝りがなくなった方にとって、
これからがある意味正念場です。



それは身体の内側からのどのように体の姿勢動作を為してほしいかと、
本能の声が聞ける体になってきたという点です。

いくつも積層された身体操作の誤用のパターンはだれしもあるもので、
そうした誤用から作り出した凝りから縁を切って、
芯の正されたさらに自然体といえる赤子が自らの内側の体全体の道具を余すところなくもちいて
本能の作用を受けて立とうとする姿に近づく道が開けてきます。



実際の話、すでにだいぶん神経状態がよくなっているところをさらに磨きをかける場合、
身体操作の繊細さや合理性に気づいた方ですから
立派に自身のいまの状態に必要とするものへの気づきが得られるでしょう。

えてして自分の内側から着想した身体知を得たならば、
人は良く変わり改善もするし変化が現れますが、
たとえ先生であっても他者の言葉を得ただけでは、
人はそれをうのみにして変化するようなことは本能的に避けるため変化は起きません。

身体上の姿勢や動き方からきた変化は、
よい変化であればそれをよしとして受け入れていけばいいですし、
悪い変化であってもそれがなぜ不具合があったか気づいたときに強烈な良い変化を産み
それを一気に受け入れて化けるたたき台だったとわかるはずです。




ただひとつ。
神経の麻痺が改善するためには酸素の供給が鍵になるため、横隔膜が正常に働かなければ神経が機能しづらいということ。

横隔膜は上下動することが大事だといわれていますが、
横隔膜のその層の部位に静電気のようなものが帯電し蓄電しているかのような層があると
ヨガのテキストで読んだことがあります。

横隔膜の背側に付着した部位にあたるところ。
骨盤の前後屈が強く起きている方の傾向としては、
ちょうど腎臓の裏手当たりに深くまで起立筋や大腰筋の凝りが入り込んでおり、
そこに横隔膜の付着があって引き連れをおこされてしまっていることがおこります。

骨盤底筋が上下動しなければ横隔膜はそれに従って上下動して腹式呼吸代謝をおこす仕組みなので、
そこからもその問題が見透かされます。

骨盤隔膜骨盤底筋と横隔膜の並行位置が理想.png

立位のそのものの自然体の姿勢にて、
骨盤底筋が地面と並行位置になければ、
その人がほんらいなさるべき呼吸の深さ・充実さが得られていないといえるでしょう。
なぜかといえば、この状態が一番スムースかつゆったりと大きさをたたえた腹式呼吸が自発的に起きるからです。

上図の右のモデル仕様に骨盤底筋と横隔膜がいれるようにすることで腹腔内の呼吸による適度なマッサージ圧が
腹部内部の代謝促進によい作用もなすことといわれております。






ここからは長々しい余談ですが。。。

ただ、、、こうなるべきだというのはカンタン。
じつのところ私もまだまだ骨盤の前傾度合いがきついんです。
少しずつ私も自己修練をして、改善を積み重ねていってるところです。

長年かけてなった状態だからこそ、
そうなったあとはずれた状態になじみ過ぎています。
そこに異常さを感じ取れなくなってきてしまい、
気づけば理想形に窮屈さや違和感を覚えていく。

そのような沼にずっぷりはまり切ると、
どうしても誰かにあなたはそのような沼にはまってますといわれてもわからなくなりますし、
なんて失礼なことをいうやつだ、と逆恨みだってしたくなるのが人情です。
ものごとには言い方を工夫することが大事なので、
やんわりと気分を害さないよう事実に基づいた資料を提示して説明できればいいのですが。

できれば横から撮影した全身骨格レントゲンがあれば、
一目瞭然なんですが。。。 ^-^;



というのも、昔、私が整体の専門学校に通っていた当時、
レントゲン撮影を動画でとって骨格やその動きをみるということをやってまして。

それを私が自身のものを録画でみたとき、
「ありゃりゃ、こりゃ大問題だぞ ー-;」と絶句したことを覚えています。

胴体、首、手足の関節が不用意なところで曲がっていて、
椎間板が詰まっているところがいくつも目につきます。
あからさまに分度器で骨盤傾斜角をチェックしたら、
なんだか他の講習生よりも成績がわるくて、
「自分って体が弱いってこんなところからもわかっちゃうのね・・・」
と悟ったのです。


なので、レントゲン撮影の素材からくる説得力はすごいぞと信仰しており、
ときおりお客様に
「横から全身のレントゲン撮影の写真をお見せできれば一発でわかると思うんですが・・・」
という説明力のなさからきた言い訳にも似たことを言ってしまったこともあります。

お客様の概要からできるかぎりの骨格状態の情報を探り出して、
脳の中でスケルトン像を描くものの、
実際はレントゲン撮影した素材の絵と似てはいるが非なるもの。
そのようなことが多くあります。
それは深層筋が骨以上に強く塊化した場合、
それが骨か筋かが見当がつきづらいためグレーゾーンを含んだ絵になるからです。



単純に言えば、
上図の右の骨盤底筋と横隔膜が並行位置にあるものは血管や神経が理想的な活躍をしている傾向が強く、
上図の左の骨盤底筋と横隔膜が並行位置にないものは血管や神経が理想的な活躍をしていない傾向があります。

たとえば左側の骨盤底筋と横隔膜が斜めッている立ち方をなさる方の場合、
膝裏(特に利き足側は顕著に)に大きなボールや団子上のこぶのような凝りができていますから。
そちらを触り、発痛があるか、痛みの度合いや鈍痛か鋭利な痛みかなどを聞き分ければ、
どの程度、その骨盤底筋の問題が深刻かが察しが付くものです。

そういうのも骨盤底筋と膝内側にある半月板を含む膜状のクッション部分も、
双方、地面に対して並行位置にあるという関連性があるのは変わりのないもので。

たとえば右側の膝内側の半月板を含む膜状クッションの凝りが裏にできた出っ張りと、同様左側の膝内側のそれの両方を調べることで、
骨盤底筋の上下左右の斜めり方やねじれの傾向が推測できるので重宝します。
骨盤底筋部分はさすがに施術する部位としては対象外とするような場ですから、
そこを膝裏(および足裏の足底腱膜も合わせて)で遠隔をもって調整をおこなっていきます。
実際、自身で自分の骨盤底筋を必死になって調整しても、数歩歩けば元通りになってしまうものの、
膝裏や足首や足裏の足底腱膜での調整を加えると、骨盤底筋の地面に対しての水平性が長期にわたり維持されます。
それは施術にてお客様のアプローチをしていても、
そのようにいえるようだと感じております。
膝裏を通る血管や神経が、膝裏にできる凝りに圧迫された関係上、足裏への血液や神経機能の発揮に問題がおそらく生じているようで、
そこをうまく調整してあげなければ、施術のもちが一気に悪くなるんですね。

膝裏に大きなしこりをもっているお客様からは、
「いたたたぁたぁ!!」といわれるものの笑顔でごめんなさいとごまかしてリリースをしてしまうのですが、
この文の冒頭ででたお客様の膝裏の凝りは、やや大きさはあるもののやわらかめのグミのような状態で血管の圧迫をする様子は見られません。
このお客様も以前は、「いたたたぁたぁ!!痛いのは嫌いです!」という感じでしたのに。。。

そして、もちろん、立ち方は上図の右側の姿勢で立たれていました。