ワークレクチャーの際に『手で押さないで!』

筋膜マッサージは大変すばらしい筋膜のリリース効果を生む。
劇的な変化を目の当たりにすることもしばしばだ。
施術をおこなうものとしてはそのテクニックを施術に取り入れて、
顧客のケアを願い、ぜひ取り入れたいという気持ちになるのは当然の流れだ。

知人にワークテクニックを伝えるときがある。
対象は施術者。

その際の注意点の一つに、圧をかける際の押し方、『手押し』がある。
悪い見本の『手押し』の怖さを知れば、自己研鑽に身が入るというもの。

手押しでぐいぐい押されるととても痛い、内出血が皮膚の上に現れるときもある。
それだけではない。
鎖骨や肋骨(肋軟骨)などを骨折させたり、脊椎や仙骨という部分にまで悪影響を及ぼす可能性も捨てきれない。危険。
それでいてさほど深部の本当に解きたいエリアの筋硬直をリリースできていない。

それに対してやり方を知る者は、痛みはないかあるとしてもある程度まで耐えやすい痛気持ちいい感じ。
それなのに深部の筋膜まで解放されていく。

筋膜マッサージをおこなうときの注意点をクリアしている。
手や肘を用い押すときにいくつか注意点がある。
(1)手の屈筋群に「りきみ」が入った状態での圧はいけません
(2)身体全身を協力させて圧をコントロールしなければなりません
(3)トリガーポイント(筋肉が硬化しているエリア)を的確にリリースする

初めは上記のことをかみ砕いて解説すると、2-3時間は必要になるでしょう。

その解説後に、『手押しになってますよ。手で押さないでくださいね』と、口に出していうと上記の注意点を思い出していただければよい。
そうすれば自分の身体を使いこなせないときには無理をしない。
手押しをしないためにどうすればよいか理解できるまで脳内シュミレーションをしてからで遅くない。
全身を協力させる動きができなければ、まずそれを会得するまで別のことをすべきだ。
遠回りだと思えるようなことにも積極的にチャレンジ。
合気道や野口体操やフェルデンクライス・メソッドなど方法は多い。
禅問答や概念をこねて遊んでいる訳ではないので、裏には物理的な理論があり、
理詰めに理解でき得心すれば身体にそれが及ぶときもある。

また手押しをしないことは、ボディワーカーの身体にかかる負担を激減させることになる。