書籍:『ITに殺される子どもたち』を読んで

書名:ITに殺される子どもたち 蔓延するゲーム脳
著者:森 昭雄
出版:講談社

Amazon.comの批評では手厳しく調査データの母集団が明らかにされていない、
などの意見が多かった。

だが「コンピューター・リテラシー」が求められる昨今。
いやでもパソコンを仕事で多用したり、
メール打ちをしなければならない。
E-ラーニングは、マルチメディアを実現できるようになり、
成績管理までしてくれる。
子どもたちも読み書きを書籍からではなくパソコンのインターネットから、
ということも多くなるのでしょう。
ペーパーメディアより、
全世界の最新の情報を豊富にそしてほぼ無料で手に入る。

ですがなぜだかネットで得た知識は、
自分の頭のなかに残らないような気がして。
それが僕一人だけの問題なのか、
他の人もそう感じているか疑問でした。
本で得た知識は脳裏に焼きつくのに。

ですがこの本を読み、
『身体感覚の総動員数の差』というヒントをいただきました。

パソコンで小説を読んでいるときの脳の働きと、
本でおなじ詳説を読んでいるときの脳の働きが、
脳のどこが今使われているのかを視覚化できる装置で確認できて納得。
本で読んだときのほうが左右の脳の働きがいい。

青空文庫で太宰を見つけ、
パソコンで読んでもつたわってこない。
味気なく感じる。。。

本を持っていればぶれながらそれを目で追って脳を刺激し、
それにともない首も動く。
本を持ち触ったときの感覚的な触感をともなった刺激もいい。
本のページをめくる運動もいい脳の刺激となる。
そして古い紙のにおいも本を読むときの趣を増す。
それらひっくるめての行為が「読書」なんですね。

パソコンで見るディスプレーは手ぶれはありません。
ディスプレーを触ってみることもない。
一定の場所に据え置いてあるディスプレーを見つめ続けている。
その居つく感じが、体の居つきに繋がってしまうのだろう。
・・・体によくないわけです。
静止して居つけば、深層筋の硬化が明らかに強まりますし。

キーボードを打っても文字を手書きするほど脳は反応していない。
そんな脳の絵を見せ付けられれば、手書きの大切さが身にしみます。

パソコンは身体感覚を削り取る鋭利なナイフのような側面があります。
パソコンとの付き合い方を考えさせられる本でした。