手足の末端部分の発達具合が違う!

『武術体操』という本を読んでいて。


【大名人・佐川先生の手足】は印象に残った。


大東流合気柔術の故佐川幸義先生。
合気道をしている人は多かれ少なかれ佐川先生のことは聞き及んでいるだろう。
佐川先生の合気は『透明な光』や『透明な力』と称されている。
不世出の武術家と呼ばれるのもうなずけるエピソードのひとつ。
著者が90歳を超えた佐川先生から受けた印象が述べられています。


『腰回りや太股はかなり太い。
前腕、手首も非常に太く、がっしりした印象を受ける。』


そして


『印象に残ったのは、手のひらと足の甲の厚みです。
手のひらは私の倍ほどの厚みがあり、
足の甲も小さな筋肉がよく発達して、
考えられないほどの厚みがありました。』


手のひらや足の甲はちょっとやそっとのトレーニングでは、
このように厚みが出ないそうです。
だからどのようにしたらこのような厚みが出るのか不思議。


佐川先生のような手足の末端部分が発達していてこそ、
持てる筋力をいかんなく発揮することができるのです。


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私がワークで足首部分をリリースするとき、
足の甲の発達具合を観ています。


佐川先生のように十分発達しているかどうか。
発達していれば申し分ないですし、
未発達であれば発達させるための努力をしたほうがいい。


筋膜のリリースを主体にするワークでは、
筋膜の癒着などを解くことはできますが、
手足の末端を発達させて支える力を付けさせることはできません。


それに一般的なウエイトトレーニングというものでは鍛えることが難しい。
特に体のバランスを考慮しないウエイトトレーニングを行えば、
手足の末端部分の繊細さを発達させることは期待できないでしょう。
発達というのは硬く肥大するのではありません。
武術では繊細さや器用さがなければ、
体を活かして用いることはできない。
美しさや強さをそこから感じられない。
私はそのような評価基準でみています。


柔軟性に富みつつ、
細かい筋肉がひとつずつ別々に発達している状態。
体を支えるバランス力は繊細に働きえるのですね。
足裏が深くスパイクを突き刺したように踏ん張れる。
手のひらの厚さは万力のような力と精密機器のような繊細さを揃える。


ワーカーなもので素晴らしい足も手も観て知識を得ているもので、
ワーク中に観てみればすぐわかるものです。


では自分の手のひらと足を観てみると。。。
いかにも貧弱だ。
自分なりに工夫して使うようにしているが、
力が感じられない。


自己卑下をしたいわけではなく、
素直に『達人』と呼ばれる人の潜在能力は、
手足にしっかりと現されているものと驚く。


皆様も実際に達人の手足を触れる機会があれば観察してみてください。
そして健康で長寿を叶えた武人の写真をみると、
手足の具合が際立っていることがわかるでしょう。
『達人技』はそのような鍛え上げられた体から生まれます。


そして私が求めて止まないものは、
このような手足なのだと思います。