息を吸ってばかりでは狼に襲われる?


沖ヨガ関係の本を読んでいて。


沖先生がインドで瞑想修行をしていたときの面白いエピソードが紹介されていた。


沖先生が森の中で瞑想をしていた。
気がつくとあたりは暗く静まり、
夜になっていた。
夜空には星の光。
だが低い目線に無数の光が見えた。


狼の群れに囲まれていた!


そのことに動揺しつつも、
冷静に様子を観察した。
自分が息を吸うと、
狼たちは近づく。
息を吐くと、
狼たちはその場で止まる。


自分の呼吸を狼たちは、
間違いなく読んでいる。



息を吸うときに、
人体は緊張する。
そのときに攻撃を受けるとダメージが大きい。
それに息を吸っているときは力みが入り、
相手を攻撃する力も鈍る。
そのことを本能的に狼たちは知っている。
だから獲物の呼吸を読み、
一気に飛び掛り確実に襲えるところまで、
呼吸の隙を見て接近しようとするのです。


沖先生は徐々ににじり寄る狼を見て、
タイミングを見計らって威嚇攻撃に出た。
息を吐くときに狼たちは身構えて襲ってこられない。
だったら『わっはっは!!!』という、
爆発的な笑い呼吸は吐く呼吸だ。
大声で笑ってみた。


すると案の定驚いた狼はひるんで数歩後ろに後退した。
その隙に一目散に沖先生は裏手の木によじ登ってしまった。
狼たちは逃げられてすぐ追ってきたが後の祭り。


朝方まで木の周りをうろうろしていたが、
とうとうあきらめて去っていったという。



武術をするとき。
対戦相手がいるスポーツをするとき。
やはり卓越した者は相手の呼吸を読む。
そして確実に攻撃すべきタイミングを読む。


そして同様にワークをするときにも、
呼吸のタイミングを読む。
呼吸の吐くタイミングをみれば安全に対応できる。
だがその観察ができていなければ危険にさらされる。
カウンターでダメージを与えられてしまうからだ。


対峙している人の呼吸を読む。
同時に自分自身の呼吸も客観的に観察する。


そうすることで自分の体を活かす方法を見つけ、
相手との折衝タイミングをみはかることが出来る。


沖先生はヨガの一呼吸に数分間かけるような術をマスターしていたから、
このようなことが起きても冷静にさを失わない肝が据わっていたのだろう。
呼吸法が進化すればさまざまなメリットが起こる。
その秘密を知ればとても面白いことがわかってくる。