虚脱姿勢とみぞおちのしこりの関係

私が書きましたブログでGIFアニメをぐるぐるまわしているものがあります。
『2010/02/17 (水) GIFアニメで作った姿勢3パターン図』


こちらの一番左側にある『虚脱姿勢』。
猫背になってぐるぐる回っている姿勢。
この像を空中に持ち上げてこの姿勢を観察する。
すると頭が胴体より前に出っ張る形であることがわかります。


ここでちょっとイメージしてください。



たとえば。


ボーリングのボールを自分の身長の頭の位置ほどの高さまで持ち上げて、
支えているイメージです。


かなりきつい作業ですよ。


実際にやってもらえればわかるのですが、
自分の体に近いほうが持っていて楽です。
体から離れれば驚異的な重さに変わります。
できるだけ体幹に近くに置いたほうが楽です。


人間の頭部の重量は平均で6350グラム程度です。
ボーリングボール1個ほどのかなりの重さ。



目でみる動きの解剖学―スポーツにおける運動と身体のメカニズム』という本のP50に、
30Kgの錘を左右の手で15Kgずつに分けて持ち上げたときの負荷量と、
30Kgの錘を片手で分けずに持ち上げた負荷量を解説したところがあります。
持ち上げる様子は腕を伸ばして手で握り締めている。
つまり腰よりも低い位置で錘を持っているものとします。



15Kgずつに分けた両手に下げる全重量=150+150+400=700N
30Kgを片手で下げる負荷を支える力=(700×10)/5=1400Nで
全重量=1400+700=2100N
(1N=0.102Kg)


つまり
両手で同じ15Kgの重さを持つならば背中の支柱はまっすぐをキープ。
だから700Nですみますよ。
片手で30Kgの重さを持つと背骨が持ち上げようとする反動で
ぐぐっと引き上げたときの背骨が重さの反対側に折れ曲がり傾斜していて、
これでは2100Nも負担がかかりますよ。


つまりこの場合は同じ30Kgの錘を持つにも
2100N/700N=3倍となりますよね。


肉体にかかる負荷量は支柱がまっすぐをキープできているかどうかで、
ずいぶん変わりますね。


そこで先ほどの頭の重さを思い出してください。


理想姿勢では前後左右の真ん中に置かれている。
すると体にかかる負荷は低いんです。


虚脱姿勢ならば頭が前に傾斜し落ちていたり
または左右どちらかに傾斜して落ちていたり。
すると体にかかる負荷は高いんです。


ただ腰の高さよりももっと高いところに
ボーリングの玉の重さのものがおかれている。
すると位置エネルギーが高くなる分だけ、
腰の下につるした錘以上の影響が肉体にでる。


ここで虚脱姿勢をして回転している姿の、
みぞおち当たりが後ろにくぼんで見えませんか?


この折れ曲がった内角部にかかる負荷は大きい!


虚脱姿勢をしている人のみぞおちあたりの筋膜の癒着状態をチェックすると、
肋軟骨も動きが悪くなりみぞおちも動きが悪くなる。
非常に厳しいしこりがついている人が多いですよね。


みぞおちにしこりがゴルフボール大という人を
何人も見たことがあります。


するとみぞおちのしこりが邪魔で横隔膜がうまく上下に動けなくなる。
心臓が下方から圧迫され頭部や四肢の末端に血液が行きにくくなるでしょう。
不整脈のようなつらさを感じたりするときもあります。


同時に肋骨前面にも筋肉が癒着した形で骨膜に癒着して動けなくなります。


呼吸器系がちょっと変な感じがして、
深く息を吸ったりはいたりしようとしても難しく感じてしまう。
呼吸をするのに努力が必要だという息苦しさを感じる。


この状態ってかなりつらいものです。



デスクワークを長時間している職種の方々は、
特に座っていて上半身が前傾していて
頭の重さが理想的に体幹で支えれれていなければこうなります。


立つ姿勢のほうが足腰の強力な筋肉があり、
気づかないうちに体を前後左右にゆすって
体にかかる負担を分散させようとできるが
座っているときはこの作用がない。


立位以上に効率よく体の前胸側や腹側に問題が蓄積して詰まっていきます。


負荷が長年にわたってかかっている方々の場合には、
腹部や前胸部はリリースされると痛みが強く出ます。


胸骨を含めた肋骨前面の骨膜に骨のように一体になっているところや、
腹直筋がしこりが入りだまだまになっていることもあるからです。


ただこれがとりきれないと
呼吸を理想状態に近づけるときに感じる、
楽で心地よい感じをつかめないでしょう。


またはこのような姿勢で花粉症などのアレルギー体質の方が多いのです。
これは虚脱姿勢の肺呼吸状態の悪化と免疫力の低下は、
胸腺の状態をイメージできれば関連があるのは想像できます。
こちらをリリースしていくと楽になったという人が多いですね。



また少なからずみぞおちを生命力のバロメーターととらえている人も多い。
横隔膜という呼吸をするときの「ふいご」の活力の状態を
如実に表しているからですね。


この部分に問題があれば、
自分ではどうしようもなくて、、、
気分が乗らなくなり、
臆病になってしまったり、
建設的な考え方が難しくなることもあります。


もし胸の前や腹部にしこりや冷たさを感じたら、
まずは両手の手のひらを重ねてしこり部分に押し付け、
ぐるぐる力を適量かけてまわしてみましょう。


ただ本当はお肉の部分をむんずと掴んで引っ張りあげ、
20回程度軽くすばやく動かすようなことをすると
効率的にはがせます。
ただけっこう痛いですしやりすぎると痛みが残ったり、
肋軟骨周辺は骨密度に問題がある人は骨折などのリスクがでます。
まずは痛くない程度の筋肉のしこり部分を持ち上げてユサユサッと
ゆすってみるようにするといいのかと思います。