動きの違いがわかる感性を育てよう

突然ですが、
コンビニで買ってきたカップヌードルと、
職人が丹精込めて手間暇惜しまず作ったラーメンとの違いは?


ラーメンを大雑把に観てしまうと、
さして違いに気に留めるようなことがないかもしれません。


違いを感じ取ろうとすれば
職人さんのラーメンを食べるにはお店までいかないといけませんが、
カップラーメンは自宅でOK。
それに値段だって方や職人ラーメンは1000円弱で、
カップヌードルは200円弱。


そんな分け方もできますが、
どちらが好きか嫌いかは脇に置いといて、
誰もが、味覚と視覚で味わえば同じではないと感じることでしょう。


私どものような職業は、
わずかな腕の上げ下げや関節の向きや歩き出しの動きの始動部分など、
普通ではそんなに気に留められないようなことを見分けるのがしごと。



一見すると、手の挙上のしかたはひとつ。
それ以外をする必要がないといわれるかもしれません。


そんな手を挙げる動作でも、
100パターンをしてみろと言われれば、
100パターンを思いつくのが才能です。


実際に試行していくと、
それぞれの特徴を感じ取り、
データとして脳にストックするのも才能。


動きの質を語るものの中には、
自分の体の五感を通して感じ、
そこから貴重な鉱石を得るようなものもいます。


基本的に、そのような自分で優れた動きに気づく努力をしていくことしか、
画期的なまでに新たな動きのノウハウを自分の運動神経までにインストールすることはできない。


私は、そう観ています。




いつもの体の使い方のパターンでは、肩がこる腕の持ち上げ方をしていたが、
それがいまたまたまトライしたやり方では、
まったく肩がこらないですし力みがなくて楽ちんな動作を創り出せたんです。
すごい大発見!
五十肩の症状に苦しんでいたら、
それは五十肩の症状を生む動作をしていたからだったって気づきました!
それが新たに見つけた自分のやり方だったら、
絶対にもう五十肩なんかなりっこないですよ。
みんなに教えてあげたくなっちゃいます。


そんなドキドキするような興奮をすると、
脳内ではドーパミンが分泌されている。


脳がその知識をえた経験に快感を覚える!


そんなドキドキ感があるときには、
そのときの動きを再度してみると、
またドーパミンが出た時の感情が蘇る。
そうなると、
その新たに創造した動きが、
いつもの動き方を制して先に出てくるようになる。
つまり、動きの習慣が、すんなりと変わるのです。




それが、
どこぞの偉い先生が、
こんな動きがいいですよと賢いことを伝えても、
「ふうん。そんなものですか」とか
「なるほど、なるほど」程度では、
自分が創造した発見感はありませんから、
所詮、他人のものです。
深く理解できているかどうかも疑わしい。
そんな危うさが残るシロモノについては、
深く心に留め置くようなことはしません。
記憶から消したほうが無難だろうと考え強制抹消させます。


自分の発見した感のない知識は、身にならない。
そこには突然にユリーカと叫びたくなるような
大発見!した快感を感じられないからでもある。


そんなのは知行合一とは
さっぱり違ったものです。
利益は得られないのです。


そこに陥ると、
自分の観察眼をのばして創造する喜びという、
気づきのドーパミン爆発のような快感が得られなくなり、
たとえば武術の講習を受けても、バレエのレッスンを受けても、
かならず中だるみのようなものが起きてくるといわれています。



またかえって動きの賢人たちのノウハウを惜しみなく教えられると、
自力でそれに気づいたとすれば感じたはずの感動が奪われることに。
それでは自力で気づいたときにおきるすんなり動作の質をあげられるチャンスを奪うことになる。
そのようなことにならないよう配慮して、「教えすぎないことが最良です」という先生もいます。
考えるヒントのみを与え、自分で気づきドーパミンを出してすんなり変わる伸びしろを活かす。
先生としては、それはじれったくもあるのですが、
ノウハウを要領よくハックすれば賢いと言われる
学校での試験勉強をしてきた教育とは違うんだと、
気づいてほしい人は粘り強く成長を待つのですね。



では、そのような作業には教科書は必要でしょうか?


あってもいいと思いますが、
やり方の概要さえ押さえれば大丈夫でしょう。


必要なのは
試行錯誤の量を生み出す自由な発想と
五感全てでリアルに吟味できる感性。


この2つがあれば十分です。


それを元に、動きの質の差を感じ取る修業を積むのです。
お金なんて、かけなくてもいいのです。


太極拳の緩慢としたゆっくりした動きで動作を練るのも、
動きの質を小さな筋肉の一本一本にまで神経を通して命令をして、
動きの質を上げるための修練をしているからなのです。
スローモーションやストップモーションやリバースモーションで、
動きの質を観察するのは、動きの吟味をするための常套手段です。
同じような動作をしていると、他人から見えたとしても、
機械的に同じ動作を繰り返すようなことはしていません。
それが太極拳でも達人となるか、やって健康を害するか、
大きな開きになってあらわれてきてしまうのです。



このようなことの大切さに気づくものは、
動きの質の差異に気づく能力が育ちます。


そうなればちょっとした動き方のパターンの差に、
カップヌードルと職人が作る独自のラーメンとの違いほどの差があることに気づく人になれるのです。
一度両方を味わえば、
両者はまったくの別物だとだれでもがわかるほどだといえるのです。
そのような動きの様々なパターンを試し吟味する経験をつむことで、、
そのような感性が身につけることができます。


そうした感性を伸ばすことが、
最良の動き方のレッスンを受けて成果を飛躍させる秘訣です。


そしてそのような動きの質を見極めるエクササイズをすると、
発想が柔軟になり体と心の両面でのマネージメントもできる。


そのような成果が高いのだといわれております。