自分で取り除ける痛み

フェルデンクライス・メソッドという優れた身体訓練法があります。


その詳細は書籍等に任せるにして、
ここでは概要のみ。
ことばの指示に忠実にしたがって動き方を工夫する方法があります。
そのときの姿勢や動きは実に奇妙です。
初心者は指示されていて「なにをやらせるんだ?!」と思えることが多いはず。


でもこの日頃していない姿勢や動作であるがゆえに、
自分の体に向ける主観的判断が増します。
いつもしている姿勢をするのならば無意識でできるのですが、
いつもしていない姿勢をするときは意識的にするしかないのです。
日常動作の多くは無意識に動く動きのパターンに支配されていて、
パターン化が自身の運動能力を一定の質に保ちます。
ですがいきすぎたパターン化は自身の能力を頭打ちさせてしまう。


ちょうど姿勢をゆがむ動き方のパターンを持っていれば、
本人が気づかぬうちに腰痛や肩こり、膝関節が痛み出す。
運動支配パターンに組み込まれると大変に気づきにくい。


いつもの慣れきった姿勢でいつもの動きをするだけならば、
いつもの運動の質を繰り返しているだけです。
そこに運動の質を改善向上させる気づきのきっかけはあまりないでしょう。


その運動の質を改善させる方法があるならばどうでしょう。
「改善に限界はない」とフェルデンクライス身体訓練法の書籍ではいいます。


まさにその通りだと思います。


フェルデンクライスの特徴としては
「おやっ?」と思わせるような動きをさせます。
仰向けに寝て額に手を乗せてみたり、
うつぶせになり膝を曲げて足裏を天井に向けて左右に倒したり。
筋トレなどのメニューではない小さな力のみで力まずに動かす。
ちょっと観るだけではなにをしているかわからないでしょう。


でもそのときに、
脳が各神経センサーを鋭敏化し既知の情報では
予測できない状況を読もうとします。
無意識に動かすモードから意識的に体を動かすというモードに変わる。


するとそのモードで質のよい動きを学んだあとに
いつもの動き方をしようとすると不快な痛みが体に感じられてしまう。
そのような現症がおきる経験をしたことがあります。


質の悪い動きに対して、
拒絶反応をおこしているようなもの。
不思議な感覚ですが、
これがおきると以前の動きに対しての信頼感は消え
新たな動きを身につけやすくなる。


身体や顔の左右も整うし、
楽に動けるようになる。


深刻な腰痛症の方がいたとします。
自分が何気なく行う日常動作が腰痛に原因になっている、
といわれてもわかるようでいてよくわからない感覚になるでしょう。


もし負担がかかる不良動作が原因でなっているときには、
自分で作り上げた痛みであり、
自分で取り除ける痛みでもあります。