レンズのズームによる、虫の目→鳥の目→虫→鳥・・・のリピート


独自に施術上でのキャリア、
つまり体験値を伸ばすには、
それなりの工夫が必要です。



幾度か施術をさせていただきました方の施術をするとき。
私は以前の状態を、しっかりとつぶさに観察しています。


だからまずは直感的に立ち姿を見たときに、
いつもの延長線上で伸びていく通りなのか、
またはまったく変わった違和感を感じるか。



そこはまず、直感的に私の中に情報がくる。



うまく成長曲線通りにステップアップでき、
調子の良い場合は、ほっと胸をなでおろす。


それが「あれ?いつもとは違うらしいな」
と得体の知れない不安感を得ることもある。



人間、普通に生活するだけでも、
どこかの拍子で、なんらかの負担を強いる。


うまく寝てリセットできるものならいいが、
そういかないような量の神経系に至るもの。


そういった無意識層に刷り込まれたような、
体の部分的な緊張癖を持ってしまわれます。
意外に人間って、無意識に緊張をし続ける。
そのような悪癖を気が付かずに抱えていて、
それが筋膜の癒着へ転化し蓄積しています。


恐怖心や不快感から逃れるためなどの理由があり、
その時点ではそうあるべきというありがたいもの。
それがロングテール化して長く尾を引いてしまう。
すでにそのような緊張をさせる意味が失せている。
それなのに、未来に向かってずっと緊張壁が作業。


そうやって自分のなかの軸を崩してしまわれます。


それが実に多いのです。
そして実に複雑なのです。


お客様が、簡単にここが痛いからというところを、
パッと緩めるようなことはできるのですが。


筋膜の深層部までのリリースを狙いますと
そのような志向性で本格的な体質の改善と
体調管理の下地作りをさせていただくには。
そこでとどまってしまっては、なりません。
そこは私にとってこだわりどころなのです。 ^-^



知らず知らずのうちの緊張を手放せないようになっていく。


体の不調原因は恐怖心や不安感や不快感を
逃げるという目的遂行のため得たものです。
自分には救世主的な役割をもった存在です。


だからなのか、
私が私自身の体を見つめようとするならば、
そのような救世主的なものを発見してみて
どう感じるかというと。
ついつい「あなたはここにいてください」
と思っていて、原因を他に探そうとする。
そここそが主たる問題なのに、
無意識にかばってしまいます。



スルーっぷりが大胆です。 ^-^;



ただこのようなところは、私だけの問題じゃなくて、
ほとんどの皆様がそうなのですよね。


そんなとき、
私は虫の目と鳥の目を、
意図的に畳み掛けるようにして観察します。



そこが「プロかアマチュア」の差になるものだと思います。


虫の目で、ひとつの事象を2つに、3つに割って分析します。
精密なスイス時計を中を開けて歯車の重なりあいを読むように。
把握できる機能を抽出していくことに務めます。
左脳を使ってブツブツとひとりごとを言っている状態ですよね。


ひとしきりそうしてみて、
それで気が済んだら次に。


鳥の目で、中程度の体のユニット部分でものを見ます。
たとえば胸郭の上の肩甲骨の位置の異常をみつけたら、
その理由を、
肩甲挙筋から来るのか、
肋骨の変位からから、
胸骨からなのか、
鎖骨由来なのか、
など、
肩甲骨の周囲から「中間距離上にある問題関連性が高いもの」へチェックをいれていきます。
右脳で胸郭全体を描き肩甲骨を書き入れる。
そして肩甲骨以外を半透明にして、それから肩甲挙筋を実体表示して両者の位置関係を読み、
奥行きや硬度や癖のあり方やなどを、批判なく観察していきます。
この批判なくというのが右脳が得意とするところですからね。
それで他のパーツとも同じような操作を繰り返していきます。


そうやって関連性あるだろう問題可能性の高得点ポイントを見つけたならば、
次にまた虫の目。


肩甲骨の位置のズレを保持させる原因が、
「鎖骨」にもあったとわかったとします。
鎖骨という新たに出てきたキーになる部分に対し、虫の目なのです。


虫の目で、鎖骨を見つめる精度をあげていく。
胸鎖関節はどうか?
それに関連する胸骨柄の形状はどうであるか。
左右の鎖骨の上がり下がり具合や斜めっているままではないか?
鎖骨が奥に引っ込んでしまってはいないか。
鎖骨の位置に変位があれば、
それは胸鎖乳突筋の問題か斜角筋か、
それとも肩鎖関節の下に忍ばせたしこりのせいか、
鎖骨の下に作ってしまった底上げさせているしこりのせいか。
その他、多くのチェックポイントがあります。
関連キーの部分を観察して問題をひも解きます。


そしてまた鳥の目で見つめて、
肩甲骨と鎖骨の実際的なバランスの理想型と比較して、
どのような調整を加えればいいのかを考えていきます。


それを脳内で丁寧に計算を繰り返していくのです。



たいてい私は体の裏面がズレや歪などの問題があれば、
問題箇所の前や上下やちょい斜めなど、
その筋肉が影響しやすい部位を把握し
要領よく収めていこうとするのですが。


それでも相応に改善のステップを踏めてはいるのです。


ですが、、、
実際は現実世界の中では、そんな単純な手続き的にことは進みません。
教科書で教えられるようなことでまかなえるものではありません。
教科書的なこともわかっていないというのは論外ですから、
そこはきっちりとオーソペディックマッサージ等の本やら
優秀な先生の言葉を耳にするなどにより
参考になるものからプロトコルを学び取ることは必須です。


ですが、それはあくまでも基礎。
そこでまかないきれない人も多くでてきます。
特に慢性化した体の歪みを持たれた経験がある方ほど、
または大病をなされた経験がある方ほど、
独特な体のなかの歪みの形態を進化させていますので。
応用編というところで頭をフルに使って対応するしかないのです。


そこは教科書的書物にはでておらず、
現実界で起きていることなのです。


軸がずれてしまい、
長時間そのままでいると、どうなるでしょう。


つまり冒頭で取り上げた、無意識にお役立ち救世主と認めた者が、
未来に渡りずっと活躍し続けるような状態のままでいることです。


いつもとは違う部位にしこりを創りだしたのにもかかわらず、
自分には気が付けません。
その不快な不具合感覚は漠然としたものか、
または鋭利なものとして多少感じてはいるとしても。


まるで意図的にそうしてしまうかのように、
その問題部分を直視せずにスルーしている。


すると人体は奥行きのある複雑な積み木を積み上げたようなもの。


別の見方でいえば、テンセグリティ構造と呼ばれる
緻密に部位同士を関連付けて成立する立体構造です。


ひとつの箇所がずれているとすると、
それが各人の体のパーツの器質的な形状からや、
身体を操作するプログラムの関係から、
10人いれば10通り、
1万人いれば1万通りの関連部位の影響の連鎖が連なっているものです。


そこに手を出すには、
どれだけ繰り返し虫の目と鳥の目を繰り返して全体把握をしていけるか。


平素から、そのような虫と鳥を繰り返す全体把握をする習慣があると、
人体に対しての読みの精度があがってきます。


ときどき私は施術中に
「これは、風が吹けば桶屋が儲かる的な話ですが、・・・」と、
詳細に私の脳の中で虫・鳥・虫・鳥・虫・鳥・虫・鳥・・・と、
間にあるものを説明しきればそれだけで小一時間以上過ぎるて
ざっくりと内容を端折るのですが、
頭のなかではひたすら脳内のイメージスクリーンに
3Dで描いた像を回転させクローズアップさせ関連付けを観て、
そしてかつて学んだ解剖学的な知識を注ぎ込んでものをみます。
ただコンピュータのような正確な計算も、
しっかりした医師ほどの基礎データが収まっていないためもあるが、
それ以外の物理や化学や建築学や様々な種類の知識にも照らし合わせて、
そこからの回答をえるようにしているので。


直感的にこうすべきということが思い浮かぶことも確かにある。
その感覚に頼って施術を進めたほうが楽なのです。
ですが私が実感するところでは、
虫の目と鳥の目は、直感を私の場合は凌駕しています。
気づきの量と質、そして成長の確実性においてです。


どれだけ左脳的な虫の目で分析していくことと、
どれだけ右脳的な鳥の目でヴィジョンを描くか。
その左右の脳をまんべんなく使えるほうがいい。
そういうことなのでしょう。



すると、少しずつ【人間の形】というものが、
こういうものなのだなと、見えてきますから。


複雑ななかにもシンプルなものが感じられ、
シンプルなものにも複雑さが見て取れます。


そうなった時点で、
「あっ、この方のパターン、あの人と酷似」
と読み取れるときがあります。
相応に単純に直感したといったレベルではありません。


自分の内側には風が吹けば桶屋が儲かる的計算
それが済んだあとでのことですから、
大雑把ですが理路整然とその理由を
述べることはできるのです。



ただ、そのときに、
慎重さを欠けたことになると、
不思議とこのくらいの計算は
誰だってしているし、
誰にだってできると。


そう思えています。


そこでお客様に「このような程度でしたら、ご近所の施術院でも大丈夫でしょう」と。
それはあまりに遠方からおいでいただくことから、
私の方も遠距離通院のご苦労を感じてのことです。


または私どもの施術費が高いのでというところから、
「できるだけ自分の力で改善をしようとするのも大切ですから」
というアドバイスをしているときもあります。


最近、そのような言動があったように思います。
実質的には風が吹けば桶屋が儲かるの部分を説明するにも、
同業者同士でなければ基礎知識を駆使して理解できること。
正確に伝えようとするにも、体の公式がわかっているなら。
お客様がそこまでの説明を欲していないのに、
ぐだぐだと時間をそこに割くのは問題ですし。


だからそこを端折ってしまってのアドバイスになっていて、
私がいいたかったことが伝えきらなかったと、
反省しているところあります。


難しい。。。


私の頭のなかのイメージを可視化していけるような
うまい表現ができる仕組みを作れればいいのですが。



いくらプレゼンテーションの本等を読破しても改善しない
説明に要領を得ない私のやり方を歯がゆく思うところです。