みぞおちの不調原因が、あまりに意外で驚きました

一ヶ月ほど前に腹部奥に体調の異変を感じられ、
すでに西洋医の診断をしっかりCTや超音波による診断や血液検査を受けたうえで、
そちらでは特段の問題がないとおっしゃられたうえで、私の所へおいでいただきました。

本人の自覚する深刻な不調の色は、幸いここ数日内で収まられたとおっしゃれます。


経緯をすでにメールでお客様からお伺いしておりましたため、
その状態の落ち着き報告にホッとさせていただきました。
おかげで私のこころの余裕を持って施術にあたることができました。

施術準備として1週間ほどかけて腹診の専門書を紐解いて、
関連しそうな事柄を大きく広げて実際に触れたときに想定外があっても余裕を持てるようにしておきます。
でも該当しそうなことは実はシンプルで2つの症状に的を絞りました。


■ 心下痞硬(心{臓}の強い邪気が心臓の位置から下降し、胃が虚となり弱った状態)

■ 心下悸(お腹の拍動が亢進してみぞおちがどくどくと強く脈打ち続ける動悸状態。腹部大動脈が関与しています)

胃が弱って精力を失い虚の状態です。そうなった症状のあらわれについて、ご本人からお伺いしていましたし、
みぞおち部分に強いどくどくと脈打つんだとも。
お客様ご自身が、よく身体状態を観察をなさられておられるため、
おおよそその教えていただいた内容に沿って状態と対処法について専門書で調べていきました。


みぞおち.png


そのうえで施術へ。
胃経のどちらかの部位に課題があるか胃自体に不都合がありますから、胃経に関係する経絡のチェックや反射区を調べていきます。
みぞおち奥にはちゃぽちゃぽが多少は感じられたものの、そこを取り立てていうよりも、
腹直筋が過度の緊張がみられ、胸部胸骨の位置が正中位を下方へと強く押し下げ心臓の動悸となり、
結果、腹部大動脈が強い圧迫を受けてしまっています。

筋肉的に観察をすれば、
左側脚部の大腿直筋や外側広筋の大転子下の凝りが激しく、
左側腸骨が異様な前傾がなされて固定しています。
それは左利きの人であっても、
左右の脚の一方がこれほどこの部位のみがパンプアップして緊張が酷な状態は観ることができません。

この左脚外側広筋の硬さは、左右腸骨を下方に(特に左側の傾きはきつい)。
それが、そこの直上の胃や心臓を物理的に左側胴部の下降を強いていることがわかります。
この部位の根があまりにも深かったため、本人になにかこちらの部位に負担をかけたでしょうかと伺いましたところ、
最近は、外出は控えておりした覚えはありませんとのこと。
ですが、施術の後半ごろに、
「あまり関係なさそうだからいわなかったんですが。もしかして・・・30分くらいだけどいつもと違った身体操作をしましたけど、」
というキラーパスを出してくれまして、
「まさにそれだろう!!」といえるものでした。

30分程度のいつもと違ったとある作業をしただけで、左側脚部の胆経はいうに及ばず胃経、脾経、腎経、肝経経脈中を流れる気が停滞して、
これほどの状態を身に降りかかってしまうのか、、、と。

経絡は、たった30分でこれほどのダメージを受けて、深刻な状態に陥ることがあるのか。。。
・・・それが強く印象を持てて実感され、恐怖で一瞬、意識が飛んで崩壊。腰砕けに。
<人体は強靭であるが、崩し方によってはこれほどまでなのか。。>

ただ、そのときお客様は、この状態になった原因を腑に落ち、同様の身体操作を控えるか控えめにすると、
何度か繰り返したこの苦しみはおきなくなると理解できたと思われます。
それが突き止められたようで、そこが私にも救いでした。


ちなみに、ご本人は、すでにだいぶん症状は治まったとおっしゃられております。
ですがそれは体内の骨格を自ら筋緊張部位を内包するよう骨盤や腰椎や胸椎肋骨までを多方面にゆがみ状態を強いて、
苦痛を逃れることができる姿勢にたどり着いただけでした。
人は、身体の左右差や前後の凝りのアンバランスが深刻であれば、
自らの骨格をゆがみを持たせます。
そのときに骨格を直接支える深層筋には急激で過酷な緊張しっぱなし状態を強いています。
そうして崩壊した骨格のゆがみは複雑かつ深部筋の凝りといった本人が自力でマッサージしても手の届かないところに凝りを設置します。
無意識に苦痛を回避しようと工夫して創り出している状態であるのですが、結果的にその工夫は一時しのぎで完全な回復に向かわせるものにはないため、
このたび作り出した深層筋のゆがみが今回引き起こした大変に不快な不調状態を再度畳みかけて引き起こすためのトリガーとしていつづけさせる結果になっています。
胃や脾臓、心臓に負担がかかっているのは脈から推し量れますし、
心下痞硬と心下悸の状態はわたしがみぞおちをさわらせていただき他動的な軽い圧をかければ、
本人も現状もあるんだということがわかります。




こんなとき、腹部アプローチをする前に他の引き連れや緊張をおこした筋部分を隅から隅まで4時間かけてときました。
そうやった準備ができたあとであればみぞおちにかかる負担の状態は軽減をされていったわけで、
手技での肋軟骨下の腹直筋の付着部を緩めるか、念をいれてベン石温熱器を使えば通常はOKです。
ですが、この度は、それをしてもまったく歯が立たない状態で、
お客様本人が本当に苦しかったといっておられたときの状況が手に取るように感じられまして。
「おなか、本当に苦しかったんですね・・・」と。。。

みぞおち部位にある白線部がわずか3センチ内のエリアでもありえない凸凹ができあがっており、
その引きつる状態部とその周囲の力感が失わて虚した筋の部位のコントラストは、ことのほかよくない。

みぞおち部位は急所であり危険回避との強い点圧をかけるには適切ではないということで、
通常はプルパの先でのリリースをすることは忌避しています。
ですが数ミリ単位でできあがった腹直の白線の硬結を、狙い撃ちして解くという、靭帯部の定点リリースを試みることに。
それを30分前後続けて、凸凹の靭帯の粗い硬結を丁寧に取り去っていくと、、、
心下痞硬および心下悸という状態から脱せられました。
もうみぞおちを触って、3キロほどの圧をかけたとしても腹部大動脈の動悸のような振動波は伝わってきません。

通っていただく回数を増やして徐々にとることもできるのですが、
横隔膜が引き連れた状態がひどく差し込んでいるため腹部の腹直筋部分の表面を緩めるだけの手技ではみぞおち奥の胸椎の大きな前弯と狭窄部が不安定な状態を作り出したままお帰りいただくことになります。
それは新たな深い状態のトリガーになりますので、
そうなると、、、本人が無意識なうちにそれに対抗しようと骨格をゆがめて筋の緊張からくる張りを緩めだして複雑な状態になって、
その後が不調の波が上下して長引きます。


それがわかっていたためうちの巨大プルパがなかったら、これは私には手も足も出ない状態だったので、本当にプルパに感謝!

ちなみに44cmのプルパも2本あるのですが、それらのサイズ感と重さでは、邪気が強ければそれに押されて内奥部の変化にまでは至らないのです。
巨大プルパ、もう一本、買おうかと思ってネットで調べても、44cmはあるんですが、、、。
欲している巨大プルパは見つからなくて。ー-;