胃下垂とハムストリング筋の硬化の関係について

骨格筋の硬化が強くなり一時的に強くなりすぎたり、または慢性化しているとき。
周囲の柔軟性のある連携して動きをかなえるような組織を、
硬化した筋肉方向へと牽引していくという現象が起きます。


牽引というイメージがつかみにくいとおっしゃられる方もいますので、
たとえば頭頂から足裏までの長い一連のロープがあると想像して頂き、
その途中でいくつかの結び目を作ったとします。
足首辺り、膝辺り、大腿部や臀部あたり、鼠径部当たり、腰部当たり、胸部や背部、首など7つほどの結び目です。
すると170cmの長さがあったロープが、徐々に数センチずつ短縮してしまうことになるのはわかるでしょう。
それが特に大腿部あたりなどは厚みがあるため強力かつパワフルで結び目もでかい。
結び目がでかければ、そこで寸がかなり縮んでしまうことになるので、
ここの結び目に周囲が引っ張られるほどの影響が出てきてしまうほど。


そんなことが体の中を通る筋肉の連鎖の中で起きています。


体の中の筋肉は必ず前後左右の筋肉と関連し連携しながら
自分の仕事を果たすという仕組みがあります。


それが見事にぶっとくて影響が強いパートが
ダメージを得てしまうと、周囲及び遠位まで、
その悪影響が及んでしまうというものでして。


それが硬結ある部位に周囲が「牽引」されて
自分本来のあるべき位置からずらされていき
それが同時に固有機能の発揮を妨げることに。


もちろん体の左右でこのような牽引は吊り合わないから、
骨格は不均衡に並べられて直立した状態で立てずにいる。
鉛直線上に体の中心が通らなくなるため、
側弯やねじれなどの体幹部の問題がでる。


体だって骨格の歪みが傾斜を強いられたり関節を詰まらされれば縮みますから。
すると、「年々縮んでいきますね」健康診断でぐさっとくる。



筋膜のリリースというのは、
そういった体の中に創られた結び目状になった(本当は筋膜組織のお隣同士の癒着が正解ですが)ところを
ほどいていくといった作業なのです。


するとうまく体の中の結び目が少なくなり、
そのバランス状態で体を機能的に動かす方法を見つけ身に付ければ、
健康診断で、「あれっ、未だに成長期なんですか?」と60歳でも言われることもある。



そのような骨格と骨格筋の様子ばかりが影響しあうのではない。


たとえば硬結の影響が内臓にも及ぶことがあるといいます。


たとえば胃下垂という言葉を聞いたことがあるでしょうか?


胃は、解剖学の一般書を観ると左腹部上方に位置している。
それがなんかの問題で、下方へと引き下ろされてしまった。
そのような状態です。


ケースによりますが、
脚部が右利きの人が、
ちょっとバランスが理想から離れていたとしますと、
大方が鉛直に体がバランスをとる法則により左側ハムストリング筋が相当に硬化著しくなる。


つまり上記で説明したように、
厚みがある筋肉、ここではハムストリング筋がそれにあたるのですが、
ここほどでかいしがないし強力な筋肉も珍しいものであるから、
ここが硬化して結び目ができるとその上下ラインの牽引による位置ずらしの悪影響はかなりのものとなる。


その悪影響のひとつに、
上方にある臓器の胃を、
下方に牽引するという。


内臓は骨格筋ではない。
だが周囲の骨格筋と連携している面も深くあってそのような影響を受ける作用がある。


胃下垂とハムストリング筋の硬化の関係.png




別に胃だけが下がるのではなく、
他の大腸や小腸や脾臓や腎臓も
引き下げられるのだし、
女性ならば子宮や卵巣にも影響。
左側の大腰筋の肥大し硬化した、
その筋肉との影響と合間うことで
左側に位置する内臓機能の制限が
気になるようなことが出てきます。


でも、毎食ごとにお腹が張り出してきて気になりやすいのが胃の下垂からくる不具合だそうです。



なので胃下垂の初期段階であれば、
よく左側の内転筋やハムストリング筋など内蔵したにある大腿部をゆるめていき、
下方へと牽引されないような状態を作っていくようにするといいようです。
ただ慢性化した胃下垂の場合には大腿部の硬結により下方へ牽引されるだけでない、
自らの臓器全体が下垂している状態でその位置で周囲の組織との癒着が始まるため、
大腿部の牽引を弱めても元通りの方に戻りにくいということがあります。


そうなると、本当に頭を抱えるようになります。



ただもちろんのこと胃下垂になる原因は、
心因性のものの影響も強いので一概には
そうは言えないが、可能性があれば対応。
そうしてみるのも、いいと思いますが。


そして体の中の筋肉の連鎖は、
頭から足裏までの一本だけではなく、
他にも経絡線やアナトミー・トレインなど、
様々な筋肉の連鎖状態を示すものがあり、
そのような連鎖図と硬結の影響を手繰ることも、
興味深く身体知識の理解を深めてくれるようになることとなる。