薬膳が気にするものとは?「体質」と「症状」と、もうひとつが『二十四節気』です!

NHKドラマ:幸せは食べて寝て待て。
皆様、ご覧いただけましたか?

最後の再放送じゃない「早春の養生編」だけNHKプラスで視聴しました。この回は、連続でドラマ撮影をこなした多忙を極めたときが過ぎたためか、「早春の養生編」の麦巻さんは、こころなしシリーズ最後の頃よりもお顔がふっくら柔らかくなっていてほっとする気持ちでたのしくみさせていただきました。

(ドラマを観ておられない方は、この先、ごめんなさい!!)
膠原病を患われた主人公:麦巻さんは、医師から食に対する助言を得て、薬膳を独学して生活に活用する司さんとの出会いから「薬膳を健康的な生活の基礎」に取り入れて暮らしておられました。


膠原病から生じる症状のひとつとして、気の巡りが停滞し気の生成も不十分なため、気により体を温める温煦作用が十分に機能しません。要するに、強い冷え性の症状をお持ちです。すると寒い日は、寒邪が麦巻さんの被毛や口や鼻からの侵入を許し、気機を失調させて風邪を引いてしまいます。風邪の引き始めは、まだ体表部に邪気がいて、体内奥に迫ろうとしますが、そんなとき、どうなさったかというと。90歳の大家さんとなる鈴さんが、大根を2切れ持ってきて、自分でどうやって大根を食べればいいかを実演してみせました。大根の辛味で発汗させ免疫のある衛気を促し、鼻から香りを吸い込み肝の気を巡らせて気機の停滞を改善させるために効率的な食し方を麦巻さんに教えていました。

これは風邪の引きはじめという<<症状に合わせておこなった薬膳>>の好例ですね。



麦巻さんは、ときおり黒い豆といった{黒い色の食材を意図的に選択}していたシーンもございました。それは黒豆(黒い豆)は、中医学や薬膳において「**腎虚(じんきょ)**(生命力や老化に関わる腎の衰え)」や「**陰虚(いんきょ)**(体液や潤いの不足)」の証(しょう)に効果があるとされています。
**{腎虚(じんきょ)・気虚(ききょ)**: 全身の強い倦怠感、疲れやすさ、免疫の乱れの根本原因とされる証です。生命力の源である「腎」やエネルギーである「気」が不足している状態です。}
黒豆をいただくことで、全身の強い倦怠感や疲れやすさを低減させて免疫の乱れを治めたいという意図が感じられます。
この場合は症状に合わせてともいえますが、本質的な自己の体質である腎気虚証を改善させる目的から、黒豆や黒色の腎に対しサポートとなる食材を選んでいるように見受けられました。

これは腎気虚証という<<体質に合わせておこなった薬膳>>の好例です。




ここまでは病気を治したいという目的を持った薬膳処方となります。


そして中医学ではもうひとつの薬膳の養生で大切にする備え方があります。
それが【二十四節気】です。
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、古代中国で考案された、1年を太陽の動きに合わせて24等分し、それぞれに季節を表す名前をつけた暦(こよみ)の区切りのことです。

東洋医学では、人間も自然の一部であり、「二十四節気の季節の変化(気温・湿度・日照)に合わせて体調も変化する」と考えます。

-季節に応じた養生: 例えば、冬の「大雪(たいせつ)」や「冬至(とうじ)」の時期は、寒さによって「」が弱まりやすく、水分代謝が低下してむくみや冷えが出やすくなります。

- 旬の食材の意味: その節気の時期に採れる旬の食材(冬なら黒豆、黒ゴマ、根菜類など)を食べることで、その季節特有の気候から体を守り、五臓のバランスを整えることができます。



そう考えれば、麦巻さんが黒豆を食材として選択した季節はまだ寒さが残る早春です。とくに膠原病をわずらっている麦巻さんには他の健常な方より寒さ耐性が弱いため黒豆や黒ごま等の腎を整える効能をもつ食材の選択が、期せずしてか、体質と症状と季節に重なりを見せたのでしょう。

ただ二十四節気は、二十四の節目がわかれており、どの時期に自然環境的に寒くなる、熱くなる、湿る、乾燥する、寒くなる、というパターンが経験則上わかっております。そうであれば秋の乾燥は肺を乾かして喉を調子悪くさせるなど、その節気ごとの自然の影響からなりやすい症状がわかっていることになります。
だったら、乾燥する秋に対処する食材を先手を打って選択して摂れば、乾燥から声がでづらくなる人も、快適に秋を乗り切れるわけです。
これが旬の食材が出始めたら、ちょっとお値段がはってもそれを摂って備えればうれいなしですね。

それに体質(虚証など)やそれにともなう症状も一年を通して季節の波に上がり下がりされることとなりますから、そうした季節の波を把握してからでなければ、適切な体質改善へのアプローチができません。たとえば季節により脈診の脈状も正常か異常かの判定がかわることは知られています。通年で同じ脈状が現れていれば、それは病症を示す脈と判断されることになります。脈診の他にも二十四節気により体内の状態変化は自然に合わせて変わるものと受けて、体質の現状を想像して考えていかなければなりません。


これは養生を重んじる中医学という側面と、二十四節気の知識と対処する知恵がなければ正確な四診ができなくなるという理解の厳密さを大切にする側面があるといえるでしょう。



二十四節気、あなどれません!



ちなみに
二十四節気の暦使い暮らし著者;櫻井 大典 、 土居 香桜里」という本がありまして、この本には節気ごとに発症しやすい症状の解説が詳しく、その節気で摂ると良い食材を食材イラスト入で解説してあります。和書では、おそらくこの本が二十四節気の解説本としてはすぐれています。(ただこんなわかりやすいへんてこな誤植があると内容を読む前に、気になる人は気になるかも・・・^^;)