施術のときは「体の芯を捕らえましょう」

施術をするときに芯をとらえること、
とのことを聞いたことがあるかもしれません。


体の表層外皮に当てようとすると皮膚抵抗に合う。
皮膚抵抗により外的衝撃を跳ね返そうとする本能。
外圧をいれる側とすればこの皮膚抵抗はやっかい。


外側の皮膚をこわばらされて内側の筋や腱などに達する力が減少しては、
そこを動かしたいのに思うように動かないのです。
それに皮膚抵抗を発揮しやすい部分とそうでない部分がありますし、
皮膚抵抗力も健康状態や精神状態・性差などで個人差のムラもある。


私どもは筋・腱を整理整頓したいのです。
それは体の根っこが骨に近い深層筋だとすると皮膚に近い部分は表層筋。
深層の根部分にある血管やリンパ管を圧迫して体液流動性を悪化させて、
深層筋が体のなかの経絡を引きつらせて運動系障害を引き起こしている。
そのような深層筋膜等の癒着からくる硬化、石灰化、ゆがみや引きつれ、
それを正常化したいのです。


表層筋は、深層筋のゆがみに比例し硬さが浮かび上がるところもある。
もし表層筋や皮膚のみが硬くなっている人ならば話は別ですが、
皮膚抵抗をもつ皮膚を解いたり表層筋を解いただけでは、
すぐにまた深層筋のゆがみや硬さが浮かび上がります。
表層筋や皮膚は痛覚が発達した部位であり、
そこに炎症がありそこばかり触れば、
ますます皮膚抵抗という鎧を着込む。
この鎧は鋼ほどの硬さにもなれます!


施術者として皮膚抵抗の鎧をどう対処しているか。
またはどれだけ真剣に向き合っているか。
そのタッチの差で大きな開きが出てます。


この皮膚抵抗を抑える方法はいくつかあるでしょう。


オステオパシー流の皮膚抵抗を起こさせないような、
まったく攻撃色の感じられないソフトなタッチのマッサージ方法もある。
このやり方を体験しますと
皮膚抵抗が働かないなら「これほど圧が通るのか!」と驚かされます。


他には体の皮膚や表層筋に圧を着弾させるような圧をかけない方法も。
合気道太極拳などをしておられる方にはわかるはず。


目で見える相手の皮膚ばかりみていては相手の芯が捕らえられません。
目で見えない相手の内側の芯を想像し把握してそこに接触するように。
そうする意識のありなしで相手と相対し合気する密着感が変化します。


皮膚を見られてそこに攻撃を仕掛けられれば、
鋼のように皮膚を固め抵抗すればいいのです。


ですが皮膚を透かしてみられ軸を握られると
入ってくる者の当てたい到達点が自ずと数センチ奥に入ります。
そこを狙われることはあまりないため「えっ?!」という感じ。
何が起こったか観ようとしてしまう。


その瞬間、皮膚抵抗を緩めてくれてますから奥に入れるのです。
このタッチですとリラックスしてもらって寝ているときよりも
もっと奥に入り影響をあたえることもできます。
この手を使える施術者かどうかでは予想以上に
成果の差がでてきて当然なのです。


そして幾分かでもこの手が見え出すと、
他の施術者の様子も把握しやすくなり
芯を捕らえた対処をしているかどうか
推し量ることができるようになります。


「体の芯を捕らえましょう」とはよくいったものですね。


ここがわかってくると人体像がより力学的に把握できる。
体の奥のどこに隠れたしこりがあるかも把握できますから便利です。


私などはまだまだ体の芯を捕らえる大切さに気付いた程度で
うまく使いこなせてはいません。
でも大切さに気付いただけでも
ちょっと変わってきたかなというところもあるようです。