★身体の使い方がうまくなるメリット2

またスムースに力を出していくのには考えなければならないことがいくつかあります。
一つは主動筋と拮抗筋の脱力をした状態を即座に造り、その状態から主動筋のみに力を入れること。そこには伸筋と屈筋の利用の秘密があります。
筋肉は縮むことによってのみ力を発揮します。一般的に筋肉を伸ばすという表現をとることがありますが、その動きを監察してみるとその筋肉自体が勝手に自力で伸びるということはできない仕組みになっておりますので、周りの筋肉によってその目的筋が引き伸ばされただけです。縮むしかパワーを生み出すことができないとしたら、いかに縮んだ状態を強くしていくことが出来るかです。一端は大きく伸びた状態となりそれがすばらしいスピードで縮むことができればその伸び縮みの差が大きければ大きいほどパワー値が向上してきます。そのためには日頃より縮めていたのでは筋肉疲労が蓄積しすぎてパワーが出ないですし、伸び縮みの量が少ないのでということでもあまり効率的な運動とはいえないでしょう。
そして例えば腕の筋肉では腕を上げるときに上腕二頭筋が主動筋となり上腕三頭筋が拮抗筋となります。
まず上腕二頭筋が縮み、上腕三頭筋が脱力状態です。このときはすぅっと何ら抵抗感なく上に手が上がっていきます。
ですが上腕二頭筋が縮められ、同時に上腕三頭筋も縮んだ場合には、主動筋、拮抗筋両者が縮んでいる腕が固定された状態となっていますから腕を上に挙げることができません。もしできたとしても拮抗筋の上腕三頭筋の縮んだパワーを吸収する力+上腕二頭筋の本来の手を挙げる力と二つの力がかけられてしまい、同じ手を上に挙げるという作業をしているのですがそのエネルギー効率は非常にこちらが悪いことがおわかりになるでしょう。この主動筋と拮抗筋両者に同時に力が入ってしまっている状態を”力んでいる”と呼びます。
ちなみにこの力みがはいいているときには上腕三頭筋の本来の腕を下げるための動きができていない状況ですから、その腕を下げようとする不完全燃焼の力がその上腕三頭筋内やその周囲の筋肉の中に残ります。その力は身体内部の筋膜バンドをより複雑な歪みの状態へと必ず変えていきます。