他動的な助けを借りて、体幹に接する筋肉から手足を動かして、脳内手続き記憶を構築しよう!

腕を動かすには、どこの筋肉を動かそうか?


デスクワークを長時間なさっておられると、
姿勢よく直立不動で胴体をキープできるかといえば、
そうもなかなかいかないものです。


だんだんと、肩が前へ、上へと移行して、
いつしか腕と胸の前側の付け根が詰まり始めます。


この姿勢は呼吸をするにも浅い呼吸しかできない。
いわば、不良姿勢の典型として呼ばれるものです。


ならば肩が前に回りこんで肩甲骨と肋骨の間が窮屈になっている状態を
うまくリセットするにはどうすればいいのか?


肩を意識的に後ろへと引いて持って行こうとするのがいいのだろうか?
でも、それを実際にやってみたところで、
そのようにする意識が薄れた瞬間に、
先程までの肩が前に回りこんだ位置に毎度のように舞い戻るように見える。。。


では、では。。。
そんな、強烈な肩が前に行こうとするパターンを打ち破るには、
必要に迫られてどのような新たな操作パターンを入れていけばいいのだろう。



最近、数名のお客様にトライしてみていただいているのは、
肩甲骨と胸椎を結ぶ菱形筋という筋肉や腕と中部下部脊椎を結ぶ広背筋の筋肉を、
リズミカルに施術者の私がお客様の体に触れて、
背骨の方へ筋肉が縮む方向へ他動的に縮める動作を、
30回ほど繰り返していくというやり方をしてます。
私がお客様の菱形筋を縮めていくときに「ここ!こんな感じに縮めて!」「ここ、縮めて!」
などと必ず声掛けをしていきます。
そこ、ひじょうに重要な脳への再プログラミングをする際のポイントとなりますので。


わりとやってみると、いつも使っていなかったなぁという感じになっていれば、
他動的に動かされるという補助がツイているのにもかかわらず、
真面目にやってみると結構疲れるものです。 ^-^




今日、施術をお受けいただいたお客様には鍼灸師の免許ホルダーの方がおられ、
自身も体を意識的に巧みに操作を加え鍛えておられる方です。


お客様の右側の菱形筋を私が背後で縮める動作をすれば、
胸の前で菱形筋に前後で拮抗するような位置にある大胸筋を
伸びやかに伸長させればいいとわかってくれていました。


菱形筋が縮み肩甲骨が背骨の方に近づいた次の筋肉の動きは大胸筋の伸張へとつながっていく。


そうやって体の前後が連携して動くときに、
肩を動かす感覚で肩を使うのではなく、
胸や背中の筋を伸長させたり収縮させることが腕や肩を力ませずに動かす動作になるのだと気づきます。
腕や肩で動かそうとする動きは、
体幹に通じる筋肉の動作が無視されて腕や肩を動かそうとなさられる場合が多く、
そうなると末端から先に動かすという窮屈で呼吸を奪う動きに必ずなってしまう。


そんなことを理解するのにも、
しっかりと菱形筋から動き出しを創って、
その動きがどのように周囲の動きに連動されてゆくのかを観察するのは有意義なことだといえるでしょう。



その動きをやる際に重要であるのは、
頭部の位置が、しっかり胸鎖乳突筋の筋交いの筋肉の浮き上がりが出るところへ持っていくこと。
それができる立ち方がかなえられている人でなければ、
うまくこの操作ができてこないのです。


しっかりと体幹を先行して整えられた状態である方に対して頭の位置を正して、
この動きのトレーニングをさせていただくとやり方の要領が見えてくるのです。




ちなみに、菱形筋を縮める操作と大胸筋を肩側へ向けて伸ばす操作は、
ほぼ同時に動いているように見えたり感じたりしやすいのだが、
同時に動かす意識は、非常に良くないと思います。


同時に動かそうと幾本もの筋を捌くと、
たとえ拮抗している筋肉でさえ、
一本ごとの筋パワーの発揮が感覚的に十分操れない状態に終止してしまう。
特に、最初に新しい筋肉の操作を練習して覚えようとするときには、
一つの筋肉を取り上げてどのような動きをもって最良となるかを割り出し経験させ、
次の連携している筋肉へ、同様に筋肉の操作手順を練磨させていく。
それを連続しておこなうようにしていけば、
最後にはそれらの筋肉を連綿と連続して動かしても1つずつの筋肉の機能が他の筋肉にぶつかって、
フリーズするようなことがなく力を発揮させることができるようになります。


一時期に、一筋肉を操作の限度とする。
ということを合気柔術の先生から教わったことがあります。
やってみると、まことに、そのとおりだと頷くところです。


筋肉は、同時に幾つかの筋肉を意識して操作するのが苦手で、
1つずつ順繰りに動かすようにできている。
それぞれの筋肉の操作性を最大化しパワーも必要十分量を確保するのが上等とされるので。
その動作の連携が非常にスムースに進行するとは、
次の筋肉から次の筋肉、そしてまた次の筋肉へと動きの連携が1/10秒以下で切り替わっていくと、
ほぼほぼ同時に動かしているように外見上は見えてしまっている。


だが実際は、自身の意識では、
いつでも、一つの筋肉を動かしたら次に行って、を繰り返しているに過ぎない。


そのようなことも重要ですよね。



あとは鍼灸師のお客様には、もうちょっとだけ無茶ぶりで菱形筋や広背筋の筋肉を
上中下の3つのパートに分割してそれぞれのパートごとに動きを作り出して、
その動きの違いを感じ取ろうと言うことも。。。 ^-^


なかなか、どうして、早々にその要領もつかんでおられる様子でした。



あとは、同様に足を動かすときに、
腕に対して広背筋の操作に似ているのが、足の大腰筋。
腕に対して菱形筋の操作に似ているのが、臀部の股関節周りの外旋六筋。


足のほうは腕と比べればずっと操作が感覚的にやっかいなものですが、
同様に他動的に動かして動きの正確な流れを把握していただきました。


足のほうはなかなかできているかどうかが不安になるところですが、
まずは大体の筋の起始と終点と機能の方を把握しておいて、
それに即した動きをイメージしてやっていくことで、
およその正解に近いところがでてくるのかもしれないです。
ただ、、、脚部の外旋六筋の操作が、、、かなり難しい。 ^-^;


相当な運動操作性を誇る方々でもない限りは、
ピンとくる人はいないと思いますので、
ここは感覚先行型で動きを作り出すよりも、
イメージでどうなるのかを分析的にみていく。


まぁ、、、他動的に私が代わりに外旋六筋のひとつの筋肉の梨状筋はこのように縮むという流れを、
やってみてということをさせていただけるのであれば、
感覚的にも動きの正解が感じ取りやすいものであるのだが、
自分一人で操作をしていくと難しくなるのだろう。


そしてここまで実際にこのようなトレーニングをしていただくと、
今まではそれほど菱形筋に意識が行かなかったり広背筋の縮む方向をピンと着ていなかったりしたのが、
正確になっていく。
それだけでも背中全体の神経がいつもと比べて幾倍もの量、活発に働こうとしていっていることに気づく。


また外旋六筋の一本ずつの動きを細分化して股関節の動きをイメージしていくことで、
いつもより股関節が深く入り込み出しますし、
大腰筋の鼠径部で引っかかっている仕組みを把握しつつ動きを意識していけば、
大腰筋の操作が腸骨ごと上方に脚部の骨を持ち上げる結果となることにも気づくだろう。



なかなかやってみるとおもしろい成果を感じられるでしょう。


文章だけでは、どのような操作をしているのかがわかりづらいと思いますので、
施術にお通いいただいてるお客様で興味がある方がおられれば、
「他動的に動かされるって、どんな感じのものなんですか?」とおたずねください。
やってみるとちょっと数十分それだけでかかりますが、
意義深い体験となるかもしれません。 ^-^