体を動かすときの意識-基礎 (1) 後ろ側の筋感覚

体の筋肉を使うときのポイント。

たとえば歩いているとき。
前に向かって歩く。
通常はそうします。
同時に前に向かって歩いていく意識があります。

そのときの筋肉の動きを観察してみます。
どこの筋肉の筋収縮がありますか?
たとえば脚部の太股のところでは?

前側ですか?
後側ですか?

一般的には合理的な動きを学んだことがない方の場合、
前側の筋肉が使われていることでしょう。
そして前に向かって歩いていく意識があります。

ですが筋肉の全身のユニットごとに、パーツごとに分けて観察できる人の場合。
そしてより楽に全身の筋肉を協調して使えると、
前側の筋肉の使用感を覚えた瞬間に、
前に進まなくなることに気づきます。
すすんだとしてもちょこまかモード。

合理的な動き方ができる、というか、
かっこいい歩き方ができる人で、
スタイルがよくなって行ける方はどうでしょう?

もちろん太股でいうと後ろ側の筋肉の動きを感じ取ります。
同時に前に向かって歩いていく意識はなくなります。
前に進んでいる事実はあるけど、意識は後ろに進んでます。

そして速度が速くなればそれだけ早く後ろに下がっている感覚があるが、
実際は猛スピードで前に向かって歩いているのです。

これは概念の問題ではありません。
実際にそう感じるものです。

そしてこの太股の後ろを使って歩く、それが可能になれば、
この太股の後ろ側の筋肉はとても要領よく体を直立させることができる筋肉で、
シャンとしたまっすぐに伸び上がった背骨を作り、
首もきれいに伸び上がらせてくれます。
体の即湾も矯正されます。

センスよい動きの基礎です。

そしてこの歩き方ができるようになってくると、
バレエとか他日本の古典技芸を鑑賞していると、
『この人の動きはできているかどうか』理屈抜きで感じ取れます。
それがおぼろげながらというあやふやなものではなく、
自分の体と相手の体が小気味よく干渉しあう感じがするのです。
シンクロニシティという共鳴関係が結ばれます。

自分がそのような感覚を持っていなかったとき、
そして持ってみたとき、
劇的に物の見方や感じ方が変わってきたものと思います。
それ分だけ人生の楽しみを豊かに感じることができるようになる、

そんなところにも体の使い方を理解していく大いなる時間と費用の投資の意味が、
あったように感じています。