仙骨という骨が骨盤の裏側にあります。
最近は骨盤について解説している本が
多数出版されています。
たとえば『骨盤力 アスリートボディの取扱い説明書』や『七人のトップアスリートと骨盤力』など。
イラストがわかりやすくていい本です。
運動などをする方には、参考になるかもしれません。
よかったらぜひ図書館で借りてみてください。
参考になることを述べたいと思います。
ちょっと施術をするものとしての視点で。
仙骨の解剖学的にくわしい図があるページ
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02205001-021.html
赤ちゃんの頃は、
仙椎が5つに独立していたが、
成人するに従い癒合してひとつの骨になります。
仙骨。
とても大切な骨ですが、
このひとつに癒合した状態をチェックしていても、
おおざっぱなことしかわからないのです。
詳細を知りたいならば、
いまはひとつの骨として癒合していますが、
他の椎骨と同じようにひとつひとつの骨として分節を検査する必要があります。
ひとつひとつの仙椎ごとのゆがんでいる状態をチェックしたり、
圧迫検査をしていくわけです。
仙骨の内部に生じる骨盤曲線を理解でき、
骨内力線もミリ単位でイメージできます。
仙骨にも個人差があるんですよね。
個々の仙骨の状態から推し量ると、
この部位をみるだけでも思わぬ発見をすることもできるのです。
アスリートの能力値についてもイメージできます。
この仙骨の状態ならダンサー向きでしょうねとか。
スポーツでトップに辿りつけて維持できるるかどうかは、
ここを観ると想像つけることもできますよね。
体の症状についてや精神的な問題などについても。
それは仙椎の分節ごとのねじれや側湾などと
仙腸関節の異常ぐあいからなど。
意図的に仙骨部をチェックしているので、
私の頭の中にはデータが整理されて蓄積されます。
そうなるとパターン認識のように、
この様子ではこうでしょう、ということが察知できるときもあります。
あまりにマニアックなことで口外せず胸の内にしまい込みますが、
そのデータは施術の組み立てに役立つ資料になっているのです。
そして仙骨と同様かそれ以上に異常がよく見られる椎骨の筆頭、
尾骨の問題点を改善するにも、
この仙椎の様子を正確に把握せねばならないので。
複雑至極な骨盤基底部に鎮座する仙骨の妙なる動きを把握するのは、
けっこう難しいことのように思います。
仙骨は機能的に脊椎を立てる工夫をしてくれ人体を支える。
動体で揺れ続ける人体。
それは仙骨がなければ、
長時間の二足直立や歩行はできないでしょう。
そして呼吸に関係する影響が大きい。
仙骨を痛打すれば呼吸が止まり、
ひどいときは死に至りますから。
即死です。。。
この仙骨という聖なる仙人を連想させる骨が、
正常に機能できているかどうかを調べる力が
どれほどあるのか。
それと同時にどれほどこちらを調整する能力があるか。
重要な機能を繊細な精密機器のごとき働きで支えている。
そのような場所は、直接そこに不用意な大きな力の加圧をしては危険。
一歩間違えれば、調整をしようとする施術が、
人体を傷つける破壊行為にしかならなくなる。
調整にはダメージがのこらないような工夫が必要となるのです。
弱い圧を絶妙な最適ポイントに最適圧力とスピードでかけるか、
複雑な流れをもつ牽引力で仙椎の位置を異常方向へとひっぱる力を処理してから調整をしていくか。
様々な事前のアイデアで対処していくものです。
だからここを触るには施術者は常に緊張します。
慎重すぎるぐらいのことをしてちょうどですね。
ここは施術者の力量を表す大きなポイントのひとつと言えるでしょう。