仙骨変位は上下垂直から前後にねじり等々バリエーション豊かなのです

 

骨盤の歪みというと、腸骨のどちらか左右が下がったり前傾するなど、腸骨目線で変位を見つめることもあります。
たとえば右側腸骨の上前腸骨棘が下方移動して左右の腸骨のバランスがとれていない、などがその例です。
このパターンの骨盤のゆがみは一般的な健康関連の本にもよくイラスト付きで解説あるわけで見覚えあるでしょう。

ただ他にも骨盤のゆがみパターンはあるんです。
たとえば仙骨が上下に垂直シフトした場所で固定する変位パターンもあります。
腸骨間の仙骨の上方へ垂直方向へシフトした状態と腸骨間の仙骨の下方へ垂直方向へシフトした状態です。
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ここまでは施術系のテキスト等で見受けられるものでしょう。



ただそれにとどまらず腸骨の間にある仙骨が後方へシフトした状態と前方にシフトした状態で固定した場合もあります。
腸骨の間にある仙骨が前方かつ垂直下方にシフトしている場合、リリースが特に困難なことが多いでしょう。

その理由のひとつは、
仙骨から下にある尾骨が仙尾関節で前方へ曲げられて入り込むか、
さらに尾椎ごとにそれぞれ歪みがでてしまう。
そうした様子に陥りやすく、そうした際の尾椎はもろく骨折しやすいのです。

それだけではありません。
仙骨の骨が前方位置にシフトした場合、
その仙骨の実態把握が非常に困難となることが多いのです。
その仙骨上にある靭帯群が骨化した硬さに変質しもするし、
反対に仙骨の上にある皮膚層が虚脱軟化してぶよっとする。
いずれにせよこのようになれば仙骨の状態がどの深さにあって、
どのようなねじれとなるか上方または下方のシフト量はどうか?
などの正確な情報が、まったくてにはいらないといえることも。
もちろん、だいたいこんな状態だろうかという推測はできます。
ですが仙骨はいのちを失うようなリスクをもつ骨ですから、
そういった推測を信じて見切り発車で圧を不用意にかけるのは
絶対にやめるべき行為です。

仙骨が正常に位置していない割合が高いようであれば、
多くは上方下方垂直シフトや前後シフト、
それにねじれや回転などの変位が複合して混じっております。
そういった変位をかなえるには多層化した複雑な癒着が折り重なった筋膜が複数あるわけで、
どれをどの順に剥がせば安全で効率的かなど推し量ることはできないでしょう。
安全確保が必須だとしても、手探りで危険のないほどほどを解くのでは、
いつまでたっても仙骨の癒着の親玉にたどり着けずに癒着の揺り戻しが置きます。
そうならないようにお客様に立ち方や歩き方の所作ノウハウを伝えて仙骨や脊椎に負荷蓄積を
避けるような使い方をお願いするものです。
とにかく仙骨変位を起こさないためにはどう所作すべきか、
という視点でお客様ご自身に協力してもらうという感じでしょう。


そういった仙骨の実態が把握できないとき、
私「もし、骨盤部分のレントゲンとかCTとかあったら見せて!」
とお願いすること、多々、あります。

実は、最近は大型木製カッサで骨盤部のリリースがテコ入れできたお陰で
こういったお願いをすることは少なくなりました。
ですがそれ以前は、ほんとうにそういった骨盤部のレントゲン等の資料が
喉から手が出るほど欲しかったんです。ほんとうに。