胸骨の上のうっ血があるとき引き起こされること

胸骨の上をリリースするときに、
やたらめったら痛いと感じる人がいます。


施術中には、
「痛くてごめんなさい」といいながら、
痛がり方を見つつ溶けそうでしたらといていく。


痛いからとかないというのでは、
微妙に問題を直視せずに先延ばしにするだけ。


たとえばこの部分が問題がありそうなときには
どういったことが潜んでいるかといいますと。。。



『チャップマン反射』というオステオパシーのなかの
反射療法的なものからチェックしていけば、


「幽門狭窄症」というものの疑いがかけられたりするようです。


書籍「ハンドブックチャップマン反射」のP102です。


どういったことが書かれているかというと、
一部を抜き出せばつぎのようなことです。


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[腹側]
 胸骨前部の胸骨柄体結合から下方の剣状突起まで.
 これらの組織のうっ血は,幽門の狭窄を示唆している.
 このようなうっ血がある場合,胃内で消化された食物が幽門を開けて十二指腸
に流れ出ることができずに胃内で発酵し,それによって発生した大量のガスで胃
が膨満することになりがちである.
 こうなると患者は胃がひどく張って苦しいと感じ,さらに重症の場合の症状は
狭心症に似ている.


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胸骨の前側がうっ血しているのならば、
幽門という胃と十二指腸をつなぐ関所のような所がありまして、
この部分が狭くなりすぎる傾向あり。
胃の内容物が十二指腸へ進めないと、
胃の中で発酵してしまいガスが発生。
それが膨満感のような不快さを感じさせるということになる。


胸骨の前側をチェックしているとき
このような知識をしっているならば、
膨満感があるだろうかと察しがつく。



胸骨前の骨膜あたりに胸の上の筋肉が癒着が進みますと、
腹部の特におへそから上やみぞおちなどが上方に引き連れるように引き上げられている。
そうするとその皮膚の下の胃という臓器にも大きな影響を及ぼしてしまうというわけです。


おそるべし骨膜と筋膜の強烈な癒着によりおきた牽引力。



その問題の軽重があるし、
個人の感覚の差があるため必ずしも本人に自覚症状があるわけでもない。


だがもしこの部分が硬くなりすぎていることで腹部が硬直していたなら
この部分が緩められることで呼吸が大変にしやすく感じるでしょう。
腹に息が届いた感じがわかるようになるためです。
楽に腹式呼吸がしやすくなるのですね。
腹直筋やみぞおちが硬ければ、
腹式呼吸ができるものじゃなくて胸や肩あたりでする浅い呼吸しかできない。
そのような状況が改善させられる。



あと余談になりますが、
妊娠をなさっておられる女性の中には
つわりがひどい人もおられるでしょう。


その場合には多少なりとも、
この部分に事前に問題があることも見受けられます。


もともとこの胸骨の前がうっ血していて幽門狭窄症のような状態であった。
妊娠しているときに胎児が腹部のなかにうまく自分の身を修められる安息場を見つけられず、
暴れたりします。
そのときにちょうど赤ちゃんの足の裏が幽門にがしがしあたってしまって、
幽門狭窄症というような今までも辛かった状態を、
さらなる追い打ちを。


そうなれば幽門が固く閉じて十二指腸へすすめる量が減少してしまうから、
胃の中にとどまったものの量は増えてガスの発生が活発になるし、
行き場がうしなった内容物に苦しめられてしまうことになります。


通常起きる妊娠時の吐き気を通り越したような辛さを体験してしまうことがある。


そんなことを考えておくと、
妊娠前にこのような部分はしっかりと緩めておくようにすると嬉しいこととなりそうですね。