尾骨の話が唐突に、昨日の日記の後部ででてきましたので、その付け足しとして。
『全脊椎の作用と性質』の内容は、
アンマ・指圧・ほねつぎ等のいわゆる民間療法をもとにした「身体均整法」の講義録のうち、
全脊椎に関する部分をまとめる。
椎骨別に作用と性質・影響関係・調整法・具体的症状の改善について、治療者に向けて解説。
解説するためのイラスト等は一切ない本ですが、
人体の不思議を教えてくれる良書です。
均整術系の専門書で一般向きではない。
施術をするときに日頃の臨床で出くわした疑問点に、
偉大なヒントを与えてくれる日頃お世話になっている本です。
そちらの本では、尾骨を交感神経・知覚神経の終末としてとらえ、
「尾骨の確認」というところで、非常に興味深いところから入る。
『尾骨は肛門の知覚を司る。
肛門と肺は綿密な関係にあり、
溺れて、腹式呼吸を行っても息を吹き返さない場合には肛門が開いている。
このときは、肛門にきゅっきゅっと刺激を加えて肛門を閉めてから、
直ちに腹式呼吸を行うと、肺が生きているうちならば、息を吸い始める。
肛門を刺激しても閉まらない場合は助からない。』
と解説されています。
いざというときに、
ぜひ覚えておきたい豆知識。
中国武術等を学ばれていると、肛門を軽く占めつつ上に引き上げなさいと指示されます。
こうすることで交感神経を奮い立たせ集中力を増すことができます。
実際にやってみていただければ、
肛門部分の弛緩と緊張では呼吸の感じが違ってきませんか?
または緊張させて上に引き上げるかどうかでも。
上に引き上げようとすると腰の部分までが、
キュキュキュっと引き締まって上がっていく感じもあるかもしれません。
肛門を引き上げて内臓側に持ち上げるときには、
尾骨が上に押し上げられて交感神経のスイッチがオンになるのですね。
呼吸器系に故障があると、
尾骨に異常が出てきます。
尾骨に異常が起きますと、
呼吸器に故障がでてくる。
ということで、
この両者は密接な相関関係があるわけです。
するとどちらかが一方だけ、
単独でダメージを受けているのではないから、
どちらか一方が問題があるだろうとわかれば、
もう一方も問題が起きているだろうと推測。
そうなるとこの場合は、
どちらか一方だけを改善させるような施術をしたら、
もう一方が勝手に良くなってくれるようであれば幸運ですよね。
状態がそれほど悪くないときはそうなってくれるケースがある。
尾骨や呼吸器系に大きい問題があるとどうすると順調に改善できるかというと、
どちらか一方の呼吸器系のみをアプローチしたとしても、
アプローチされずに問題が残る尾骨に引きずられてまたもとのように呼吸器が逆戻りします。
だったらどのようにしようか?
一回の施術の時間の中で、
尾骨部分と呼吸器系部分の双方を同時に適宜適量分だけリリースをするのです。
そうすると施術の効果のキープ力もいいし、
それに嫌な感じの施術後の好転反応もどきに比較的苦しまないですみますから。
尾骨部は骨盤周辺の臀部筋群や仙棘靭帯等の非常に硬化が著しくパワーが有るものもいて、
これらを根っこまで掘らないと矯正改善が保持されづらいのかと思います。
臀部筋の深層までのリリースと
呼吸器周りの筋肉群を同時に解いていくこと。
私は、これは多くの人に役立つセットメニューのように感じています。
そうしていくことで、尾骨の様子が改善し、
先ほど申しました尾骨は交感神経・知覚神経の終末です。
尾骨が曲がり続ければずっとムダに交感神経が働いて
いつも過剰に神経が高ぶる。
ときには神経が高ぶりすぎ、
ガス欠になるようなことも。
それでは生活に必要なエネルギーの浪費です。
しっかり交感神経の終末になる尾骨を整えて、
同時に呼吸器系もきれいで柔軟な鳥かごにしてまいりましょう。
交感神経が落ち着いて、副交感神経系が活躍してくれると、
体力は寝て深い睡眠を取れるようになり回復できるように。
慢性疲労やストレスの過敏状態から
きっと抜け出しやすくなると思いますから。
また、人体は不思議なもので、この尾骨と呼吸器のような、
離れているけど両者が相関が深い箇所がいくつかあります。
そのようなものをセットで記憶しておくと、
施術をするときの見立てや両者のリリースバランスなどが
慎重に感じ取れるような目安になるから便利だと思います。