ベン石温熱器の患部に注熱して水気を帯びた状態にする力。 いいよね~!

チキソトロピー

チキソトロピーとは

「ゲルのような塑性固体とゾルのような非ニュートン液体の中間的な物質が示す性質で、粘度が時間経過とともに変化するものである。シキソトロピーとも呼称される。具体的には、剪断応力を受け続けると粘度が次第に低下し液状になる。また静止すると粘度が次第に上昇し最終的に固体状になる。剪断速度が急に変化した場合には、粘度が一定値に安定するのに時間がかかる。 」
Wikipediaより)




・・・・・なんのこっちゃ⁉



はちみつは、低温での固形化したゼリー状からドロッとした液体に変質します。
それは温度やあるいは圧力などの要因の変化をあたえられることにより対応する性質があります。


ざっくりいえば、それがチキソトロピー


そういえば、うちのオーガニックのエキストラバージンオリーブオイルも、寒い朝は完全個体です。
瓶ごと湯煎すると、さらさらオイルになるんです。
チキソトロピーの性質をふんだんに持っているといえます。

ですが寒いときに急ぎで料理したいときは安いオリーブオイルを使うんです。
寒くても固体化しづらいんですね。
チキソトロピーの性質を、あまり持っていないといえるでしょう。

オリーブオイルといっても、チキソトロピーの性質ありなしは変わるわけです。
はちみつでも、お安い感じの砂糖添加したものは、オリーブオイルと同様なの。




そしてこのチキソトロピーは人間の関節部位の組織も当てはまるのです。

人間の関節部分も冷えた条件下では安定した固体化した状態となり、細胞質基質は濃くなる。
つまり関節を曲げ伸ばししようとしても粘度が高く固まってしまい動きづらくなります。



たとえば。。。

なんらかの条件が加わり関節部の冷えが特別に強まる状態に陥っていたら、
チキソトロピーの性質が加算されさらに関節周囲の関連組織が固体に近づいてしまいます。
すると関節の固まりすぎは、関節の曲げ伸ばしの制限となってあらわれます。
いきなりは動けない。。。
冷えたことでチキソトロピーの特性で関節があたかも固形化したかのようなぎくしゃくした状態というわけだから、
まずできることとしてゆっくりと動ける微動の範囲内で動きの負荷をかけていきます。
すると筋で熱を生み出し、やがて関節にその熱が届くと動き出せるようになる。

朝、起床時にすぐには動きづらかったのが、動いているとじきにスムースに動ける。
それはチキソトロピーの性質が背景にあるんですね。
身体の熱を上げるようにして固体化したゼリー状関節を薄く水を帯びた動ける状態に変えていたのです。
それにより関節の動きがスムースになります。


ですが実は、、、。
人間の関節部分だけが、チキソトロピーというわけじゃないんです。

骨格筋全体の筋肉も、靭帯も、腱も、筋でできた臓器も、そして膜組織も。
ぜんぶ、軟部組織と呼ばれるもので、チキソトロピーの性質をもつものです。

人体におけるチキソトロピーとは、コラーゲン線維が多く含まれた軟部組織が持っている特性のようですね。



温泉に入って体を温めると、チキソトロピーが起きる。
軟部組織の筋肉が凝り固まっていたとすれば、チキソトロピー
加温で固まった状態が変化して薄く水けを帯びて緩みだします。


だったら温泉は施術中に入るのはムリだけど。
チキソトロピーの性質により固体化した患部の冷えた筋を、ホットストーンでねらって温めるんです。
そうすることで、患部の状態は変わります。
マッサージを受けるときにたいへんに協力的な患部状況へと細胞質基質がと変わるのです。



すでに患部の筋肉はチキソトロピーの性質で冷えて筋繊維が固体化していた。
でもチキソトロピーの性質を知っていればそこに剪断力や強い加圧をかけても、
加熱と同様に水気を帯びた緩む状態になるんだから、それだっていいじゃないのか?

そう考える人もいるはずです。

結論から先に言えば、その橋を渡ろうとしたら、
施術効率も比較してうまく稼げずに、
お客様の筋繊維を壊す・引きちぎる・剪断して後遺症を負わせるリスクに対応しなければならないので。
それは想像以上にしんどくて、加温処理をするのに対して益の減る状況です。


そう言えるのは、白状すれば私自身がさんざんそこの大変さを味わってきたからなのです。。。


正常な筋繊維は、良質なコラーゲンのおかげにより伸張性に弾性や引き張りするときの強度もある。
それに塑性といって、筋繊維が引っ張られてもある程度は弾性として元通りの状態の長さに戻るが、
戻りうる限度を超えて伸ばされると伸びっぱなしになる。その状態を塑性といいます。
(※塑性で、アキレス腱をいったん伸ばし過ぎたら元の状態の長さには戻らなくなる)
その塑性の状態の限度にも多少の余裕がある。

それが冷えが進んだ患部の筋繊維等のコラーゲン組織では、
固体化したせいで弾性や引張強度が劣化し、伸びづらいものになっています。
そうした状態をたとえるなら。。。
ぽきぽきと折れやすい乾燥そうめんをざっくり断ち切ったり圧してボロボロにするような状態。
そういった状態に近づいた筋繊維などが体内で破損を起こしやすいというリスキーな状況下にある。


引きちぎられたり壊された筋細胞は、もう、決して再生しません。
ちぎられ壊れた筋繊維の隣にある筋繊維が太くなって使い物にならなくなったもののカバーをする。
そうしないとしかたがないからな、、、となるわけですが、その人の筋繊維の数は持ち球には限りがあるんです。
あまりプチプチと大胆に引きちぎるのは後遺症的な不具合も予見され、
乱暴なことだと言わざるを得ません。

たとえば、筋膜マッサージガンで、強圧で固形化ゼリーになった部分をガンガン打ち付けるというのも、結果はゆるみがでるのですが、
そこのミクロの目で見る知識があれば、この状態の筋はNG状態で筋繊維にダメージを与え続けるわけですから。
パンプアップにより筋繊維が断裂する場合は、そのときの代謝がいいので隣の生きた筋繊維がカバーできるわけですが、
代謝が落ちたから筋膜マッサージガンを使うという代謝が足らない状況。
その周囲の生き残った筋繊維がカバーしようにも、非力なやからは凝りを貯める、貯める。。。
コリコリの慢性化と悪化が待っています。

こうなると取り返しはつかないと考えてください。
良質なトレーニングにより筋の状態を改良するための努力が必須で、そこにはけっこうシビアなノウハウが必要となります。
自身の内部の凝りがひどいと感じられる方は、
アプローチに慎重さが必要でしょう。


以上でお判りいただけたかと思いますが、
剪断力や圧迫をいきなりかけるのは、
お客様の体の状況によって避けたほうがいいときがあるのです。

お客様の筋繊維にダメージを蓄積させないためです。



だったら筋膜マッサージガンを使うか他のマッサージをするときなどでも、
ウォーミングアップを入れることで、このようなリスクを避けられないか?!





私自身、ウォーミングアップで患部やその関連部を先行して熱で溶かすということに気づいて取り入れてから。
施術の安全と施術効果、それによって切望した深部へのリリース進行が一気に加速しました。



温熱を使ってお客様の筋繊維にダメージを与えないようにできる前は、どうだったかというと。。。

どこの深さまでなら、どの圧法なら筋繊維のダメージが起きるかを繊細に感じて、
そこの一線を踏み出さないようにする計算が負担でしんどくて、気が遠くなるほど苦しんでいました。
施術をしたての同業者の先生に、そういった話をすると「そんなの推し量るのって無理だよ~」という。
だから解きすぎないようにしたほうがいいと教えられたといいます。
それは私も整体の学校に通ってた時に講師からいわれたので聞き覚えがあります。

ですがそこで投げたら脳はできるようにする方法を見つけようとはしなくなります。
そうすることをあきらめて考えなくなります。
そこは避ける道だと考えて、
ギリギリのところまで解きたいが、そのギリギリってどこ?
そこを見極めるのに精神を尖らせて貴重な思考を大幅に奪われて疲れ切ってたんです。


血液の供給が低下して劣化した患部の筋繊維。
特に痛覚麻痺が進んだ筋繊維は活きのいい筋繊維とは別物です。
現状でボロボロに劣化していますから引きちぎるなんて簡単です。
筋繊維の流れを読み、硬さを読み、質を読み、温度を読み、
この方向でこの圧の力加減なら、ぎりぎりよいはずだと検討を脳内でおこなうため、
つねに患部をビジュアル化してシミュレーションを高速に繰り返していました。
難しい部分となれば、どれだけ自身の施術の一手にダメ出しを繰り出したかわかりません。。
施術中に中空を見つめじっとしているときは、こうしたシミュレーションを脳内で高速におこなっている最中です。


このような苦労は、今まであまり人には話したことはありません、、、

でも、当時の自身の施術法を前進させ続ける必要を感じていたのです。

遠方からわざわざ足を運んでくれるお客様に対して、少しでも持ち上げることができる成果を贈りたいじゃないですか。。。
これが私の心身をひどく弱らせて施術後の疲労の蓄積は計り知れません。
それが元で年単位で働けなくなるほど我が身を崩したことは4~5回ほど記憶に残っています。
まさに自分の命が消えるほどの危険な状態を2度ほど体験することにもなちました。


でも、それも過去のいい思い出です。


今では、ベン石温熱器での患部の加熱というウォーミングアップ(準備作業)を入れたことにより、
固形化しゼリー状がゴリゴリになったものが熱で水気がある動きやすい状態に変えられたわけです。

今まで呪縛されて夢にまで見て苦しみ続けた筋繊維への内傷をとる施術中の計算は、
この時点でグンと減少させることができる。
加温を適量の時間で適切な温度をもって加えていけば、患部の状態を一時的に水気を帯びた状態に変えることができる。

それはたとえれば、
ぽきぽきと折れやすかった乾燥そうめんも、ゆでて水けを含めば変わります。
水気を帯びたそうめんは、圧してもぽきぽきと折れて離れることもなく、
ゆっさゆっさと形を変えるのみ。

それと似たような状態に患部の筋繊維を変化させてからのアプローチは、かつての緊張の恐怖は低下して安心です。
加熱のしかたや施術上の加熱のいれるタイミングなど、手順を綿密に設計することで、
この安心は増加させることができるものなのです。




加熱する手順を考察すれば、
冷えた患部に対しての適量適温の持続した加温という前段階は、
温度の高さと加熱時間の長さが関係するわけです。

冷たい場で固形化したオリーブオイルやはちみつを溶かすときの湯煎しますが、
熱湯にする必要はなくもう少し温度が低くても解ける。
ただし一瞬だけ温めても芯まで熱が伝わり届くことが全体の変化の前提で、
それには適量の時間の長さが必要だが延々と加温することもない。

冷たくなって固体化したゼリー状のオリーブオイルは。
30度ほどの弱い熱でも加熱時間を長めにする。
それでも解けます。
90度の熱湯なら短時間でも解けます。

ホットストーンセラピーやベン石温熱器をつかう施術も同じ。
ただ人体は高温すぎれば火傷になる、苦痛を感じる。


だったら加熱温度を熱すぎない程度にし加熱時間を長めにしていこう。
そうしたマッサージ前のウォーミングアップにより安全に筋繊維を守り、
協力的なマッサージができるような患部の変化が受容される状態へと変えるのです。

ちなみにホットストーンセラピーを学ぶときに、どれほどの加熱時間を持てばいいか、
そこを教えてくれていました。
なるほどね~と感心した覚えがあります。

ただベン石温熱器を使うときには温度設定に課題があって
中国製のベン石温熱器を使うと温度設定が甘くしかできないため、加熱温度が高くなりがち。
お客様の体にベン石温熱器を置く前に、私が手で触れて温度を確かめるのですが、
そのときに激熱だと「あちちっ!」と叫んでお客様を驚かせることもでてきます。
お客様に対しては熱く感じすぎない適温(じんわりとした芯に通る熱)での加熱をしたいんですが、
なにぶん中国製のベン石温熱器は温度がどのタイミングで急上昇するかが、いまだにその癖が読みとけません。
そのせいでお客様も「あちちっ!」となる。

ベン石の施術利用の際のパフォーマンスは中国政府お墨付きです。
科学的検証がなされています。
だから他の石以上に、筋のリリースが及ぶ力を持っただけでもすごいものですが。
ここだけは悩ましい問題です。


ただベン石温熱器のチキソトロピーの性質を発揮させるために最適された優位性があります。
それは本気で本職の治療師がアイデアをベン石温熱器のメーカーに訴え、
その期待に応える新たなベン石温熱器の機種が作られ続けている点です。

たとえば持ち手の柄の部分が改良されてさらに持ちやすくなって力具合を正確に制御できて、
柄がない石ではできないような操作感があります。
そうした安定した保持力により握られる道具故にチカラも容易に出せて、
パワフルなリリースができるのです。

人体は様々な凹凸や形状や状態が重なりあっているもので、
そうした形状にフィットできるようベン石温熱器の患部に当たるヘッド部分がバリエーション豊富に用意されている。

だからこそ以前は脊柱起立筋の椎骨の棘突起付近は、棘突起の骨折を危惧して圧を弱めにかけるのがせいぜいでしたが、
今はかっさ型のヘッドを備えたベン石温熱器の機種によりリリース法が変わりました。
適宜、人体の凹凸や細部の形状の変化にあわせたベン石温熱器の機種をもちい、
フィットさせて熱を患部に染みわたらせて水気を帯びた状態に変えられるので、
そのように患部を変化させてからそのフィットしたベン石温熱器で、
私が持っている施術技術の特徴のずり圧やボウエンテクニックでのムーブをかける。
そうしたフィット感がいままでにないような成果を表してくれるんです。



身体の各部に最適なリリースをかなえてくれる各種のベン石温熱器のバリエーション。
本当に加熱が精密にこれでできちゃうわけです。
これがなければ解けないといえた部位が、、、普通に解けるので。
あっけにとられたことも、多々あります。



「あぁ、、、今までの私の苦心惨憺はなんだったんだろう。
 テクニックを上げるよりベン石温熱器を買いそろえたら、
 いきなりこんなに化けて施術力が見違えるだなんて・・・

 ちょっと複雑な気もするが、まぁ、よしとしよう!」




ベン石温熱器などを使う患部の加温が勝敗を分けた感じです。
皮膚からずんずんと深く潜ってしまった患部の固形化したゼリー状部位。
そこにある筋繊維を破壊して崩すことがないようにアプローチする前の、
ウォーミングアップ。

そうするとかつての筋膜リリースをされたときの筋膜という痛覚神経が多量に含まれた部位を圧されるときの痛みが、
消える、または大幅に低減するわけです。
つまりそれは患部ももともと軟部組織であるのは変わりないためチキソトロピーの性質の応用が効くんです。
凝り固まって冷めた筋組織も軟部組織。
加温すれば、水けをおびてゆるみだす。

最後に。
ベン石をもって施術に活かすベン術というベン石の特別応用的なもちいかたが開発されてきました。
他の石には、ベン術といった、ひとつのベン石という種を治療用具として用法を吟味し進化させたものはない。
そのような背景からも施術にもちいれば優れたパフォーマンスをあらわした貴石といえるでしょう。

私の個人的な見解ですが、
ベン石の石の特性がチキソトロピーの水気を帯びた状態に患部を変える力が他の石よりも増していると実感できたことが多々あるのです。

ただしなんとなーく加温していく姿勢では、どの場合はどう変化したといったデータが頭に明記されません。
注意深く観察し、具体的な設定を決めたうえで施行して、その結果を検証していくことは絶対に必要です。

おそらくただベン石を使うだけでも、ベン石の特性から他の石以上の成果は期待できます。
ただし、おおよそそれではベン石の持つ高いパフォーマンスを発揮するには遠いと思えてなりません。

過去、黄帝内経を表した当時のベン石をもちいた先達は、
私が想像する以上に厳密な臨床上のデータを集積し分析しに活かし方をきわめていたはず。