筋膜を解くときの、コア中のコアって、どこ? それは・・・

骨格筋とよばれる、
骨を動かし、骨を支える筋肉群が筋膜リリースの範疇です。

では、下にあるイラストが、骨格筋のすべてでしょうか?

骨格筋群.png


答えは、いいえです。

これらは骨格筋の一部でしかありません。
私どもではこちらを皮下のすぐ近くにあることから表層筋群といった呼び方をしております。

一般の方が直感的に筋肉といって思い起こせるのは、
この表層筋群ではないでしょうか?

もちろんこれらの表層筋群も骨格筋の一部ですから、
もし癒着等の不具合を見受けられた場合、
施術によってリリースをするわけです。

こちらの表層筋部分には痛覚神経の量が多く設置されており、
お客様自身も、その痛みや張り、詰まりなどの苦痛を感じ取りやすいため、
この部位についての不具合を訴えてくる方は多くおられます。
表層筋は身体の外となる外界と近しい位置にあるため、
事故などにより転倒の衝撃などを敏感に感じ取って即座対応して身を守る。
そのような外界からのアタックから抵抗するような防護柵のような側面を持ちます。
同時に温感等のセンサーも、こちらの表層筋群に多く分布しております。


表層筋からさらに身体内奥に奥まった位置に存在する筋群として
中層筋群深層筋群と総称しています。
中層筋や深層筋では、
外界からの衝撃が減る予想により、痛覚神経は減少します。
より皮膚から奥まるにつれて明らかな減少をしめすのです。
すると中層筋や特にさらに痛覚神経等のセンサーが減っている深層筋では
痛みや凝りなどが生じて炎症が筋におきていたらどうなるか?

初期段階ではそれに気づくこともなく生活していくことができています。
中期段階では、少し凝りや関連関節部の可動域の制限を感じるでしょう。
末期段階では、いっきにドゴーンと爆弾がさく裂したような衝撃が走ります。
たとえば「ぎっくり腰」。
こちらは大腰筋という深層筋が極度に凝り固まったり、
時にはその組織の一部等が裂ける状態となって感じる不具合です。
ぎっくり腰となる大腰筋の凝りは、かならず初期段階から中期段階を経て起こります。

表層筋は初期段階の凝り始めでも、がっつり痛みが感じられることで、
その時点で痛みを解消させようと手を尽くす機会が与えられています。
そうした時点で適切な対処とその後に再発しない手を打つなら、
表層筋は改善も早いのです。

対して、中層筋や深層筋は表層筋の凝りが進行して奥まった部位にまで凝りが侵入する形のように現れるでしょう。
そして大腰筋の不具合は徐々にお腹の特定の奥が固まって内臓との癒着も進行しますが、
ぎっくり腰という負のダメージの積載が一定量を超えるまで、
どうしてもこの不快さを治めたいと感じるほどの痛みが現れることはありません。
つまり、深層筋は痛覚等が鈍いため極限まで耐えちゃうのですが、
これ以上はやばいとなると、一転してどーんと突如として信じられないような痛みが襲ってくるのが特徴です。

大腰筋を深層筋のひとつとして例えで出しましたが、
もちろんのこと他にもさまざまな深層筋が私どもの身体の奥に収まって機能しております。
そして大腰筋以外の中層筋や深層筋も、表層筋とは違う性質を持っているのです。



施術を進めるにあたって個別の筋の状態ももちろん把握していくわけですが、
( 表層筋 ⇒ 中層筋 ⇒ 深層筋 ) のような、ざっくりしたパートわけをして、
大まかな同様の性質を保有する筋群の把握に努める理由はいくつかあります。

たとえば、お客様が表層筋群上の不具合を感じたようであれば、そちらに対しての対処として、
ホットストーンセラピーをしようとか
キネシオテーピングをしてねとか
セルフマッサージをお願いしますなど、
適した対処法を、その都度、見分けてつたえることができます。

ですが中層の中段より奥の深層筋ともなれば、
勝手にゴリゴリと強圧すれば、感覚が疎くなってる筋組織を削って筋組織を割くようなダメージをあたえます。
もともとそのような深層筋の不具合を感じだしたという場合には、
すでに悪化の過程の初期段階は通り過ぎ中期の後ろ辺りまできていることが多いようです。
そういった組織は炎症が進んだ証拠で、すでに栄養の供給を受ける量も減り、酸化した老廃物がその場に蓄積。
つまり、もうそういった悪化が進行した組織はもろい組織にすでになってしまっている。
そういう砂上の楼閣のような状態であれば、慎重に豊富な経験や専門知識と観察力、
そして施術による対処技術を持ち、
他には多種にわたる見極めが必要となります。

すでにお客様の深層筋部分に大きなダメージが蓄積しているとしても、
そこについて言葉でそうだということを言い過ぎるとお客様にとって、
正確な情報を伝えることはすべきだと、施術を初めての当初、そう考えて伝えていたことがあります。

ですが深層筋がすでに状態がだいぶ悪くなっているお客様の場合には、
その報告は聞くに堪えない、つらい思いをなさるものだと気づいたときがあります。
同業者同士なら、そこの配慮も余計な気づかいでしかないため、
実際に感じたことをつたえることもできます。
ですが一般のお客様に対しては、
それ以降は、意図的に非常に気になるような状態悪化が感じ取れる深層筋があるが、
そこはいずれ状態の底上げが進んで改善ベースに乗り、
明るい気持ちで受け入れてもらえそうなときまではお伝えしないようにしております。

それゆえに、次から次へと、筋膜もリリースする部分って尽きないよねといわれます。

つまり初期段階から中期段階、そして末期の所へ差し掛かっている場合には、
悪化の進行過程で10年かけて現状になったとすれば、
その回復には最低でも十分の一の期間が深層筋の組織が癒されるまでに時間が要するといわれています。




そこまでは、ごく普通の、普段使いの筋膜リリース上の配慮の範囲内でしょう。




中医学の勉強をする前は、
そうした範囲内の見方で骨格筋のみに意識を集中してリリースをしてきました。



以前は「臓腑」と「筋」を結び付けて読み解くために必要不可欠な、
中医学診断のような技術が不十分で臓腑の状態が見えませんでした。
臓腑弁証のような臓腑のしくみを中医学的に理解し始めたら、
お客様は筋膜を解きたい理由が健康になりたいのなら、
そうした中医学上での人体の理解がなければその目的は達せられないと感じるようになりました。

中医学の基礎を学ぶ前は、恥ずかしながら。。。
特定の筋と特定の臓腑が互いに影響しあっているというのは、
経絡とは筋膜のなかを通ってつながったレールのようなものだから、
筋肉が硬化委縮したり緊張して張ったりすれば、その筋肉を通る経絡には不具合がでるのだろう。
~その程度の浅い知識と了見で経筋という経絡と筋肉の関係をみる技術の関連図をみていました。



深層筋と臓腑が密着し接する位置関係にあり、
筋膜と内臓の外壁の膜が深層筋が硬化が進めば、その硬化した硬い壁に臓器の外壁膜が癒着しますので。

そこから被るといった直接的な問題点が浮上してきました。


人体の最奥にある筋はなにか?

という質問を、施術を習うときにされたことがあります。
私は、それって深層筋だろうといった覚えがありますが、
間違いでした。
最奥に位置する筋肉は「臓腑」です。
つまり五臓六腑、肺、心臓、肝臓、腎臓、脾臓五臓と大腸、小腸、胃、膀胱、胆のう、三焦の六腑のことです。

でも内臓は骨格筋じゃないから、身体を支えるため骨の支柱になったり、骨を動かすものじゃないし。
コリコリに凝るようなことはないんじゃないの?

だったら癒着といっても、たかが知れている。

(※ 当時の私は、腹部の開腹手術で多大な時間が割かれるのは
   臓器以外の腹腔内の癒着が進んでいるものを傷つけずにはがす手間にだ、ということを知りませんでした)

臓器が単体で異常な委縮をするといったことで、問題が生じるわけではなく、
腹腔内全体が下垂して押し詰められることもありますし、
他にはその臓器に接した深層筋が柔軟であれば接しても問題ないわけだが、
その深層筋が硬化委縮した状態で硬い壁になると、
その硬化した深層筋の強固な壁に臓器が当たれば。
筋膜と臓器の外壁になる膜とのしきりになる潤滑油が減って癒着が始まるとのことです。
そうした状態も、内臓には負担なんですね。

このような深層筋硬化の流れにより、臓腑に影響が出るパターンもあるんですね。

こうなると強固に硬い状態の深層筋に張り付いた臓腑も同様な動きが取れづらい固定した状態に陥ります。

コア中のコアの臓腑の筋肉が、
こうなって凝り固まったような不具合がでてはいけませんよね。



そういった意味でとらえてみても、深層筋を緩めることって大事。

個人的には健康寿命に、ここはかかわるのだろうと感じています。

それは、特に内臓の奥にある大腰筋がそうした強烈な硬化した場合、
その大腰筋に接する臓器、たとえば下垂した胃や、位置的に近しい小腸や部分大腸、それに女性なら内性器など、
柔軟性が失われた大腰筋の筋部と密着しておれば、少なからず影響が出ることがあるようです。

最近、個人的に<大腸や小腸の内部にいる腸内細菌のこと>を調べておりまして、
腸内細菌の役割が果たせることで健康寿命が延びるだろうという本を読みこんでいまして。 ^-^;





というようなことで、
たとえば大腰筋という深層筋が硬化が進むとぎっくり腰のリスクが噴き出すだけでなく、
他にもお腹の中のコア中のコアがきつくなることもつながりかねませんので。


そういった意味合いでも、深層筋の硬化があれば、しっかりそこまで解かれるといいですよ~。




このようなことを、長々と書いたのは、
実は昨日、施術でつねづね体が硬化が強かったお客様のリリースが進んでいき、
ようやくこの深層筋の一部でいてけっこう固まると問題を多く引き起こす大腰筋を、
かなり時間(期間)をかけて緩める段までこれて、最高にありがたかったからです。

こちらのお客様はコロナ禍で感染リスクを押してアフターフォローの施術の予約をいれて通ってくれていた方でもありました。

とにかくこの部位の深いリリースをタイミングを見誤って急くようなことは、
お客様のためにならないのです。
それは事故の危険がでてきます。

ですがとかなければいつまでも腰椎椎間板が狭窄状態のまま、伸びやかな復活を遂げられませんし、
先ほど申したような、その大腰筋の硬化部と接した個所を持つ臓器にもよくない影響がでますから。
どうしても解きたい場所です。

でも解ける段にならなければ、私もそこにこうした硬さのレベルのものがあると解けない段ではつたえられません。。

そうしたにっちもさっちもというところを抜け出して、コア中のコアを大腰筋をミリ単位でモニターして数十分割して解いていくまでに。。

じつは聞診のひとつに匂いをかぐことで、その方の臓器の状態を知るというものがあり、
こちらのお客様のそれまでの状態と昨日とはあきらかにそこも違って改善がみられていたのですね。
これも大腰筋の徹底リリースに踏み切らせていただいた裏付けのひとつです。

リリースを受けたお客様は、
大腰筋の深部に大小の石ころのようなものが感じられ痛みがあるものの、
ずっとリリースのときにわずかな表情の変化や痛み過ぎによって反射で起きる収縮がないかをモニターし続けました。
もし、瞬間でも深刻な苦痛を覚えた表情やビクッという緊張が走れば、それで今回はリリースはもう終わりです。
腹部の場合は、他の脚や肩などの骨格筋とは違い、内臓越しで大腰筋を解くので絶対に無理はしたくありません。

痛くないわけはないのですが、神経の芯に響いて起立筋部分が瞬間緊張が起きるところまではいかない。
そうした減圧した圧をかけて解けたのも、先行してベン石温熱器で加熱して問題をおこしそうな部位を緩めてます。
そして解くときに負担がかかりそうだと思えるところでも、先行してベン石温熱器で患部や周辺を加熱して軟性を取り戻していきました。

だから。
かなり息を止めるような真剣な空気が漂い続けた施術が続いたためお客様も疲れたでしょう。

お疲れ様でした。 ^-^