腹部のテンセグリティ

お腹にちょうどいい支えとなるテンションが入りにくいとき。


困ったことが起こります。


そのときは腰椎部分が前彎しやすくなります。
すると腰椎の椎間板のクッション力も減少し、
腰椎以上の胸椎が腰椎の前湾化して前すべりになっている点を修正するため
胸椎を後彎させてしまうことがある。


そうなると重心点が、
へそ下三寸の下丹田に位置することができずに、
みぞおちにいったり胸骨の上まで上り詰めたり。
そうすることで胸郭部が不安定になりますから、
どうしても無意識に抗重力筋や、そればかりでなく胸郭前側の筋肉も固めて安定化を計ります。
ただこのような状況となれば、胴体を支えるための筋肉群が硬化萎縮することで、
呼吸がしづらくなってきます。
それにより肩により呼吸するようになる。


ではお腹をどのようなイメージにするか?


たとえば、
東京ドームにイメージを重ね合わせよう。


ドームを膨らますためにエアーを取り込んで風船のように膨らます
空気膜構造(エアサポート構造)となっています。


Tokyo_dome.JPG



東京ドームにエアーが入っていなければ、
空気の抜けた風船のようなものとなるでしょう。
そのような状態では、野球観戦もできませんね。


人体の腹部も東京ドームと似ています。
腹式呼吸といった呼吸筋を利用して、
丹田(コア)部分を意図的に東京ドームのように空気膜構造とし膨らまします。
そうすることで、腹壁の膜部分がへなへなっとなよってしまうことを防ぎます。



東京ドームの写真をみると、
幾重にも線が入っています。
この線が骨格になり、
これ以上は膨らまないぞというちょうどよい限度を設けています。




それはひとつの動物細胞にある細胞骨格のようなもので、
テンセグリティ体として成立しています。


テンセグリティ(tensegrity)とは、
バックミンスター・フラーにより提唱された概念で、Tension(張力)とIntegrity(統合)の造語です。


ひとつのパーツの張力を緩めれば、全体が小さくなろうとしますし、
ひとつのパーツの張力が拡張すれば、全体が大きくなろうとします。
そうなるように統合するシステムとなっているのです。


これはまるでひとつの動物細胞にある細胞骨格も、
このテンセグリティ構造となっていますね。


それと腹腔内の張力をどのようにかなえるか。


これがまた難しいところなのでしょう。


バレエをしておられる方が欲しい腹部のテンセグリティ様式と、
相撲をしておられる方が欲しい腹部のテンセグリティ様式とは、
同一ではありませんから。


それぞれの運動機能をベストに発揮させるために計算していく。
それにより腹部のテンセグリティをどのようにして得ようかと、
最適化したものを創造していかなければなりません。


つまり画一的にこうであればいいといったものではないのです。


そこが私どもにはとても面白いところです。
バレエをしている方の場合は、
縦長に張力を発揮する膜や筋をテンセグリティを組んでいくようなイメージで統合していきます。


あまりこの腹部のテンセグリティの張力がどうであるのかを、
詳細が書かれているテキストは私の手持ちにはないため、
自分で考案して行かなければならないもののようです。


骨盤底筋をどうやって動きの中心に据えるかとか、
腰部の腰椎両脇の部分をどう膨らましていくか、
腹部前の腹直筋をどう和らげつづけていくのか。
全身の筋肉や骨の動きなどを協調してどう動くと呼吸がしやすくなるか。
そのようなことも考慮して行かなければなりませんから。
試行錯誤をしていかなければならない課題が山積みです。





以下の本には、
3つの隔膜が呼吸には関係があると解説されています。


横隔膜・骨盤隔膜と声帯隔膜です。
この3つの隔膜がどう動くかがイラスト化されている。
私に取りまして、これは目からウロコが落ちるもので。



胴体の下端の骨盤隔膜と胴体の上端の声帯隔膜が逆向きに膨らむというのがおもしろい。
ちなみに横隔膜は骨盤隔膜の動きに付き添うような従たるものなので、
骨盤隔膜と動機して同方向に膨らむようにできています。



自然呼吸法の本


そしてこの本が、私がリストラクティブ・ヨガのエクササイズを知った始めての本。
呼吸をヨガのエクササイズを応用してやさしく極めたいなら、
すばらしい本ですから!


ただぶっとい書籍です。
330ページほどの。
ですので図書館で借りてみて数点あるイラストを頼りに、
呼吸の面白さを理解して観るようにしてもいいでしょう。



また、なかなか呼吸法を練習しただけでは、
コアをどうやって動きに応用すればいいか
ぴんとこないという人も多いようなのです。


そのような方の中のお話ですが、
バレエをしている方がベリーダンスを試したら、
胴体を動かすことで手足が生きることに開眼し、
胴体を固めずに動きに応用すればいいと気づく。


それは意外に胴体を自在に動かす意識よりも、
手足といった胴体から離れた出張機関を使い、
そちらばかりを動かそうとしていたから
本来持っている体力や柔軟性が発揮できなかったんだと驚いたという。


ベリーダンスをして得たノウハウも深部筋で操作すれば
バレエで体幹を活かすにはどうすればよいかに活かせる!
そう発見なさったのですね。


とりあえずYoutubeベリーダンスのエクササイズ映像をちょこっと乗せておきますね。
このビデオは30分程度のものが数分ずつに分割されているので、
観て気に入ったらがんばって通しで観てみましょう。^-^)



Bellydance Fitness - Basic Moves(3)