体の重さをハンマーのように使う


野口体操の野口三千三教授のことば。


『骨は車体であり、体の重さがエンジンであり、筋肉は操縦者である』


といいます。
私のとても好きな言葉です。


体はバランス状態を感覚鋭敏に感じ取り、
骨を支え材として地球の中心を通るように立てる。
そして筋肉の操縦者が体を傾けることで体重という動力を利用して動く。


つまり体を重さを持つモノと考えて自由落下させることで力を得ます。
ハンマーを振り下ろすときは力任せに振ってはダメで、
ハンマーの錘を落とす感覚でというのがコツですよね。
そうするとすーっと釘が入っていきます。
力任せでは釘は折れ曲がって入りません。
力めば非力になり手元も狂うのです。
結果に天と地ほどの差がでるんです。


それは体を使うときも同じです。


ハンマーを使いこなす要領で体の重さを使いこなすのが極意。


それによりしなやかでみずみずしい筋肉が維持できます。
筋肉本来のパワーをも引き出し、
動きのコントロールも手に入れられます。


決して力まず事にあたる技を身につけること。


もし最初からもし骨格が前後左右どちらかに傾斜していれば、
どういうことになるでしょうか?
それはつねに体をそちらに自由落下させ続けていることです。
でも自由落下して落ちていかないのは、
落ちている部分をどこかがヨッコラショと支え続けているから。
それはかなりの負担です。


つまりからだの骨格的なゆがみがあれば常に立位や坐位では
体がどちらかに自由落下をし続けています。
その落下を食い止めるために筋肉を緊張させて深部にいたる筋硬化を生む。


まっすぐ立てるものは自由落下するときすばらしい威力を発揮します。
ゆがみがあり自由落下に逆行する支える力を常に発揮させ続けている人は、
実はその自由落下をさせて力を取り出す感覚を手放していやすいようです。
だからどうしてもハンマーを振り下ろすときに力みが抜けなくて、
うまく釘が打ちにくい感覚が付きまといやすいようです。
ただ最初はそうであっても、
地球の中心を通るように骨を立てる感じに近づくと、
徐々にその様子が変りだすようです。


ちなみに
「地球の中心を通るように骨を立てる」とは感覚的な問題ではありません。
厳密に三角定規でびしっと90度を測る必要があります。