「作用する力は反作用の力により取り出されるもの」

体の使い方で重要なことのひとつ。


歩くときに歩き方の良し悪しをみるひとつに、
どの筋肉を使い推進エネルギーを取り出すか
が問題のひとつとなると思う。


足捌きはどうだろう。


体を前方に進めるときには、
体を後方に蹴り進めること。


前に進むという仕事(作用力)を取り出したいときは、
後に蹴り進めるという仕事(反作用力)が必要です。


順序としては、
後に蹴りだす、すると自然に前に進む。
という感じ。
前に進んでから後に蹴りだしては手遅れだ。


ジェット飛行機が飛ぶときジェットエンジンの炎が向けられるのは、
進行方向の逆方向ということを思い出してください。


人体は、
体の前面には大きな力を持つ筋肉は少ない。
体の背面には筋断面が太くパワフルな筋肉が多い。


だったら体の前面にある非力な力に頼らず
背面の数倍モノ力を秘めた筋を活かすべき。


歩くときの体の使用感覚は、
「作用する力は反作用の力により取り出されるものだ」ということになる。


この感覚を身につけている人は
姿勢をコントロールしやすくして、
背中を広く使え体軸も正しく保てる。
力の取り出しもスムースだし威力が高い。
老後は体の前面部の筋肉は落ちやすいため、
若いうちから背面部の筋肉を保ち続けるのは大切なことだ。



たとえば空手の突きを放つ。
そのとき「右手を突き手」と「左手を引き手」にする。
突きを放つなどの経験がない方は「右手の突き手」にしか意識がおよばない。
すると威力のない突きになるし、
突きを放った自分の体にいささかのダメージが及ぶこととなる。
引き手が先行すると引き手側の肩甲骨が持ち上がり、
体の中心軸をもとに回転しだす。
すると突き手を出そうと意識せずとも、
突き手側の肩甲骨も緩み肩甲骨ごと腕が伸びだす。
威力ある突きになるし体の軸のブレが起きない。
またうまく打てる人は手の先に動き出させ仙骨と腸骨を仙腸関節部で
繊細なスライドをさせている。


「作用する力は反作用の力により取り出されるもの」の感覚の体得に
時間がかかることもあるだろう。
その重要さを気づいても、
いままでの作用力を先行させて力みながら動く癖を抜くことが難しい。
自分の動きの知悉さを素直に悟りだせればこの癖を抜くこともできる。
私も日々、少しずつ身についてしまった悪癖に気づき対処しています。


それは長い旅のように感じます。


急がずに時間をかけて仕上げる気持ちです。