まっすぐに立つには水平や垂直の体内の部屋を整備すること

少しずつ体の筋膜の癒着部分が緩むにしたがって
体の適応性が増していきます。
それが体の構造にどのようなことを起こしていくのか?


まっすぐに立つ感覚を感じ取るためには、
骨格の並びが理想の位置に再配列していくことが必要と感じます。


たとえば家を建てる時に柱は垂直に立ち並びます。
そして床や天井は水平に。
もし柱が斜めっていたり、床や天井も斜めっていたりすれば、
ちょっとした地震の揺れで崩壊するでしょうし、
それ以前にそのような斜めに傾斜した部屋の床の上では
体を休めることなんかできませんよね。
傾斜がきつければ必死に滑り落ちないように頑張らねばなりませんから。


体の内側にも脊椎という垂直に立てるための柱がありますし、
床や天井のような水平となる隔膜という組織が幾つかあります。
隔膜には横隔膜が知られているところですが、
骨盤隔膜、足底筋膜、胸隔膜、その他などいくつかの隔膜があります。


体の中を通る垂直である組織は垂直に、
水平の隔膜は水平に設置しておく。


五重塔のプラモデルをつくってみたりすると
当然そうすべきだと思えることなのです。
各層の部屋ごとに仕切りがあって、
どれも歪みなく水平と垂直が整っている。
これで建築物としての構造がととのえられ居住空間が確保できる。



私はお客様の体を観察するときに
応用筋肉学的な複雑な体全体の係り受けもチェックしますが、
人体もこのような垂直と水平の構造に一致するところがありますので。
体の中の骨盤部分の部屋とか胸郭の部屋とか、
各ブロックが垂直に積まれているか、
水平の狂いはないだろうかと観ます。


このようなシンプルな大きな概要を正しく整えていかねば、
ディテールを整える意味がなくなります。


もし体の構造の水平や垂直の狂いがあれば、
腰椎や肩こり首こりなどの脊椎部分の詰まりが出ているでしょうし、
傾斜した体を支え続けて立てている状態だからエネルギーをロスする。


傾斜している体は筋肉を硬直させて脊椎が倒れこんでいるのを
支えようとするわけですから、
武術をしている人ならば倒れやすい方向がある。
多少の外圧に屈してしまうような安定していない状態です。
バレエ等の体の垂直性を重要だとする高い身体能力を必要とするものでも
このようなところは重視されるべきでしょう。


ただ体の内部構造の垂直や水平が、
長年にわたり問題がある状態であれば、
主観的に自分を見ても問題ある状態なのにそれが不思議と見えてこない。
問題ある状態でも長年親しんだ姿勢は
かけがえのない可愛いもののように感じられるのかもしれません。


そのような状態に改善の手を加えるには。


人間の体が持っているシンプルで機能的な骨格構造を理解して、
体の中に創られている水平や垂直に体を仕切らせることも大切。
そしてその理想状態で楽だと思えなくするような
筋肉部分の癒着による緊張感覚の問題点や筋肉の萎縮などを
適宜リセットしていくことも大切なのだろうと思います。
その上で今までの体の使い方の延長線上では体に負担を強いていたと気付く。
そしてそのような垂直や水平を狂わせて使う体の使い方の悪癖があると
少しずつ気づいていき改善を促していくこと。


その手間を惜しむと、
何度でも体は以前の歪んだ構造状況に戻ろうとします。
小脳の運動手続きを無意識に再現する適応性能力が、
悪癖を持つ体の使い方を強力に再現してしまうので。
ここに改善の余地があると見つけることができれば賢明です。