根本から動き出せば末端はそれに倣う

江戸時代の庶民の立ち姿を観察する。
そうしますと興味深い点がみつかる。


たいていの男性は、
つま先が外側に開いている。
そして同時に膝頭も外側に開く。


私には凛としたすばらしい立ち方に見えます。
なんて日本人はすばらしかったのだろう!!



ただし現代の一般の人に、
「ちょっとつま先を外にむけてください」
といいますと、つま先だけが外側に向けられる。
膝頭はつま先の向く方向にベクトルがあわない。


そうなると骨で地面をとらまえる感覚が鈍ります。
すると、凛として腰部を立てられないのです。



中国武術などをなさられている方々には、
身体の尖んがっている部分を同一方向へ
しっかりと揃うようにしておくのが常識。


そうしなければ下腹部に胆力がみなぎらず、
身体の重心が一定せずにふらついてしまう。
なので膝とつま先、肘と指先などを揃える。


太ももの根本部分からしっかりと外にむけてねじるか、
つま先という足の末端部分に気を取られてそこだけ外に向けるか。


実は太ももの根本の内側に内転筋があるんですが、
この部分の付け根から重要な神経が骨盤内側から
足先へ伸びているのです。
だからできるだけこの部分を通る神経を圧迫させたくない。


すると上述した江戸の庶民がしているような立ち方が理想。
足を太ももの付け根あたりからしっかりと外側にねじりまして、
その力で膝も外へ、つま先も外へというように自然に向けられる。
そうすると胴体から足へとの境目の神経が抜けるルートが開いて、
足裏の鋭敏なセンサーが地面から膨大な情報を吸い上げたものを
ダイレクトに脳までビビビッと送り届けることができます。


それにこの神経の隣あたりに動脈が流れているので、
こちらにとっても理想的な流れを確保できてしまう。


なんて、すばらしいことでしょう。