人体には奥行がある

施術を習い始めたとき。
施術を学び深めていこうとするとき。


ひとつ、
見えなければならないところがあります。


ただこれは最初からわかるようなものではないかもしれない。


太極拳を練習するときには、
まずは套路の流れを追って身につけます。
その後に分解して型の意味の詳説を聴く。
ですから、施術の技の型通りを身につけて、
そののちに気をつけていこうというものかもしれません。



そんな、ちょっとだけ専門的な視点のひとつとは。。。


筋肉のダメージがある箇所の層は、どこ?

です。



これは一般書レベルのマッサージの本では、
ベーシックなマッサージ手技はこの部分をこんな感じで揉めばOKと書かれていそうだ。
施術をしてお金をいただくなら向上心を持って、そこの上を行くようにしていきたい。



内部を触覚や観察眼や様々な情報を集め、
自分の脳に見える化できているかどうか?


筋肉部分の凝りが深層にあるとするなら
扱う部分を直接触れることはできません。


皮膚や脂肪層等を間に挟んで、
それ越しに『圧』という作用をさせていくのです。


その圧をかけるのには、
適切さが求められます。


問題部分の形状や硬さ、筋繊維の流れ、暖かさ、血管やリンパ管の位置など。
他様々な情報が見えているから、、、。
しこりを解く順番が決まります。
圧の方向が決まります。
圧の量が決まります。
圧の質が決まります。



しこりになっている部分とは。
浮島のように海面から外に顔を出しているものですが、
海底ですべての陸地とつながっているものなのです。
他の部位と明瞭に分析していかなければならない。
感覚を投入して臨場感を持って関連性を観ていく。
そうやってなかに潜んでいるものを探り出します。


他の体のユニットや血管等組織と隔絶されて感じているとき。


普段からは施術者同志で練習するときは、
徹底して適量厚めの圧をかけていきます。
圧をかけることで見えない部分にどのような危険が及ぶか。
そのことを知ることも勉強になります。
それは身内に実験台になっていただく。


自信がつくまではお客様に対しては圧のかける量は少なめに調整していくことです。



体内状態を観察するならば。


通常は探りながら解き進め、
状態をさらに明らかにして、
そこからさらに解き進める。


施術技術を利用して解くことができれば、
本質といえるような硬化ブロックとなる
問題箇所を暴き出すことができる。
強力なツールが施術だといえます。



他業についていた方が、転職なさり施術を始めたころ。
余裕をもって深層まで肉体内部を把握するのは難しいでしょう。
見えたと感じたとしても、
多くの場合は、誤解や錯覚や誤認が入っていて見誤っています。


そこを信じきってアプローチしても成果が出ないのは、
鍵穴にあった鍵を差し込むような鍵穴の形状がわかっていない。
鍵穴がしっかり把握できているならば、劇的なことがおきます。
多くの場合は、そうなるものでしょう。


私自身、未だに誤解や錯覚を修正しながら体を見ているのです。
日毎に研究が進むにつれ、人体の内部状態へフォーカスがあう。
だがまだ焦点が完璧に合ってはいないのです。
ですが少しずつ見えてくるものもあって、
それに比例し成果はでていっております。


もしフォーカスをピシャリと合わせることができるならば、
どんなに施術の技を繰り出すときに、
気分がいいことでしょう。


フォーカスが甘いと感じているため、
過剰な作用を与えて壊すような事故がないようにと考えて、
圧をかけつつ様子をみて力を加減していきます。
または圧を強く一回で済ますようなことは諦め、
回数を複数に分けることで、お客様の体を壊さないように、
緊張しながらしこりの状態に意識を当てて様子を観ていく。


要するに私が考える精密レベルまでの状態がわからないため、
探りをいれて、慎重に時間をかけてリリースをしていきます。


そのようにすることで、今回のリリース深度と私が定めた量、
安全に解き進めていくこととなります。


ただもしも問題部分とそれを取り囲む周辺の関連部位まで冴えて見えるならば、
最小の回数で最適な圧をかけることで成果を、今まで通りだせることでしょう。
そうできたら、
なんとさっぱり。
気持ちがいいものだろう。


つい、想像してしまいます。


それができるようになれば、
一日の施術人数を増やすこともできるでしょう。


またはそれができるようになれば、
施術方法を楽しく人に伝えるという方向へと転業を考えたいですね。
そのところまで人間の体を感じられるなら、人に施術を伝えられる適役だと思います。
指導するというのは、指導者の技量がそのまま良かれ悪しかれ送り込まれるものです。



人体の奥行きを捉える学習方法として。
実際には人体解剖をすることをお勧めする先生もおられます。
ただ私の現状はそのようなところへ方向性が向いておらず、
コンピュータグラフィックスや粘土で人体を作り出したり。
またはレントゲンやCT、MRIなどの写真を見るなど。
それらで学習しているところに留まります。


筋肉を横断面や縦断面などの輪切り図をプロメテウス解剖学の本などで確認したりして、
一般的な筋肉等の分布図を頭に入れていたとします。
それは必須行為ですが、臨床をしていくならば、
ひとそれぞれの体の内側の様子は一般化できないことをつくづく感じてしまうでしょう。
実は、多くの人の体を解くこと。
それも繰り返し解かせて頂いて、
前回、前々回等との変化を見る。
そのことほど個性を持った体を
余すところなく観察して読み取る目を育てるものはないと思います。


ただ事前にある解剖学的な知識を持たずに手探りで筋肉を感じ取って、
自ら初めてさわり気づいた筋肉に命名をするより、
そういったものは迷わず先人の残した知識を吸収したほうが効率的。
そう考えて、地道に参考書をノルマを決めて読み進めたほうが賢い。 ^ー^



私も、施術をはじめの頃は、
体の表層しか見えていなかったと思います。


そして今も、
深層へとアクセスするための精度を上げることの大切さを感じ、
追求しようとしている。


キーが深層部に埋まっているのは本能的に察知している。
だが硬い扉に閉ざされた光のない部分にそれがあります。
目的のものが見えず、いらいらして暗中模索。


ですが、私は考えるのですが、、、
そんな状態で不安にあえぐほうが有望だろう。


「わかった」と思った瞬間はうれしいものだ。
だがよりいい関係性を読み解きたいという欲求が、
間髪をいれずして襲ってくる。
それが普通だろう。



好奇心や探究心が次に繋がる手段です。
人体の奥行きや関連性などを認識する。


それは宇宙の縮尺図を見るかのようだ。



そののちに施術に関して必然的に、
素晴らしい成果が出せるはずです。



それができた自分を想像してみてください。


お客様に施術者として信頼していただける。
その喜びが増していくわけですから。
うれしいですよね。

皮膚の下にフォーカスして、ブレイクスルー.png



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