内臓の下垂と内転筋群の玉の関係

内臓下垂があると気になりますよね。


食事をする会話のなかで、
「私、胃下垂なの・・・」という言葉をきいたり。


レントゲンやMRIなどで腹部を観察すると、
胃もそうですし、大腸や小腸、それに子宮などが
骨盤側の方へ理想位置よりも下垂していることがあります。
遊走腎のように、
腎臓の位置が規定位置からどちらかにずれることもあるようです。



胃下垂ならば、
ご飯をたくさん食べると下腹部が膨らんできますし、
下垂した胃の部分は伸びた胃の中の血管が細くなり
血液が循環しづらくなるため『冷えた胃』になる。
そのような胃は接触した臓器の熱を奪うことになり、
子宮に乗ればもともと妊娠時や生理のとき等以外は
血液流入量が制限されている臓器なのでもともと冷えがちですが、
冷えた胃が子宮に接触すればより辛くなるように冷やしてしまう。
女性には、特に胃下垂がやっかいなものとなってくるのでしょう。


大腸の下垂があれば、
大腸の蠕動運動が弱まって便秘になりがちでガスも貯まりやすく憩室などが出来やすくもなる。
ちなみに大腸のガスが多く出される側の肋軟骨がシャクレ上がります。
多くは左側の肋軟骨がしゃくれ上がることになりますので、
左右の肋骨形状の均等を崩す問題になります。
それに横隔膜の皮の張りを弱めて腹式呼吸を効率悪くさせる。


子宮ならば、
前屈したり後屈したりとお辞儀をしてしまい、
お辞儀をした腰のカーブ部分の血管が細くなり血行不良になります。
それに子宮は左右屈曲もありえますから、
右に屈曲すれば左の卵巣から排卵するときに卵管が細くなって出しづらくなります。
過剰にまで必死に押し出そうとする作用が排卵痛を生じさせて辛くなったりします。


つまり、あんまり内臓が下垂してみて、
いいことはなさそうです。



胃下垂などは、胃が左腹部の横隔膜直下から、
おへその位置にある癒着に吸い付けられたり、
鼠径部や左側内転筋の硬化により吸い付けられる。
また腸腰筋の硬化とそれへの癒着が問題になることもありますね。



エクササイズで不自然なまで内転筋を酷使し硬くしたダンサーが
驚くほど大きく内臓下垂を起こしていることに気づいていました。
本当ならば腹腔の形状を思いのまま変えることで、
重心の位置を上げたり下げたり左右にずらしたり、
自在にここを使いこなしてコアが生かせますねと。
それが内転筋群が固まってしまっていれば、
なかなかそういったイメージ通りには働きづらくなります。


気がつけば子宮が下垂し後屈したりするため子宮への血行不良が増してる人もいました。


だから内転筋は鍛えないといけないところですが、
鍛え方を間違えると内臓に負担を強いて怖い影響を出すなという印象があります。
プロのバレエダンサーをしている知り合いも、
20代後半で子宮の摘出手術を受けざるを得なくなりました。
内転筋は内臓に対してどこよりも強烈な下垂させる原因筋になってしまうのです。


ただダンサーのように内転筋群トレーニングをしなくても、
姿勢からくる足の左右の脚長差があれば内転筋にこわばりが強くなりますから、
特別にその部位を鍛えるエクササイズをせずともしこり化させる人がいます。


なので日頃から、
内転筋群(鼠径部含め恥骨の脇も含め)をお客様に痛いとか激痛だと言われても、
ここを解かないデメリットがわかっているので、
「ここは痛いんですよね、ちょっとだけがんばりましょう」とごまかしつつ解く。



先日、延命学という施術法があると教えていただいて、
ネットで検索した程度しか知識はないのですが、
そちらでは太ももの内側に玉という結び目が造られて
それが原因で内臓下垂にも影響をだすんですよと解説。


非常に興味深い内臓部の問題の起こり方の説明をする。


「なるほど、なるほど!」とうなづける。



内転筋群の癒着を緩めておくことも大切ですし、
内転筋群が異常な硬さがあるというならば
特に利き足側の大腿直筋や外側広筋、腸脛靭帯・小殿筋や大殿筋・中殿筋・梨状筋が過剰に硬い。
これも含めてリリースしておくようにします。
あとは骨盤底筋のしこり化があると尾骨が曲がり坐骨や恥骨にある骨盤底筋群の付着点がしこり化。
ここも想像以上に強烈な内臓を下垂させるための影響があるところだと思われます。
ただなかなかこのところは本人は気づかない人が多いのです。




また内臓下垂を他の視点から観てみると、


大腸や子宮を肩辺りから延びたロープのようなもので釣り上げるしくみがあります。
ですが姿勢が悪かったり座りっぱなしで腰に負担がかかると、
釣り上げるロープがたるんで大腸や子宮が下垂。
そんなようなところも観ていく必要があります。


横隔膜の動きが弱くなることで内臓を上に引き上げる作用が弱化しますから、
この点も改善させるようなエクササイズが必要になるのかもしれません。


その他にも内臓下垂を起こす影響が出そうな条件が複数あります。




でもそんななかでも内転筋群は、
「ここが柔軟であれば若さが保てている証拠だ」と耳にしたことがあります。


内転筋群を柔軟性に富んだ状態でキープするのは、
内臓を下垂させず内臓機能を活性化させるに大切なのでしょうね。


延命学の理論を知りまして深く共感でき、
心から、そう思えるようになりました。