腕には肩甲骨、足には腸骨を利かせるといい動きになる

バレエを習い始めると、
手の使い方のアドバイスがあります。


指先への意識の流れも大事です。
ただ腕を支える根っ子になる肩甲骨を自在に操る感覚が持てなければ、
腕の動きはまったく生きません。


肩甲骨を取り巻くしっかりとしたボリューミーな筋肉群が強力に肩甲骨の上げ下げをする。
その上げ下げの作用が、
車のワイパーのように円弧を描いて立ち上り立ち降りる踏切の遮断機のポールの原理に通じているのです。
ポールの根本には重いおもりが括りつけられていて、
そのおもりを上下させることでポールが動くしくみ。


腕も肩甲骨周囲にある筋肉が働き肩甲骨とそれらの背部筋が協調し
腕を上げ下げするような動きを作り出すように作用しているのです。
つまり背部筋や肩甲骨という強力なパワーを秘めた部位を動かして
腕にその力を伝えるからこそ軽々と腕が使えるし、
それだけでなく空中の一点に浮かべ留めるアイソレーションが可能。


だから腕を小手先で持ちあげようという意識をしているのなら、
どんなに練習しても自分が本来身のうちに備え持つ力とはめぐり逢えません。


肩甲骨が腕振りの命なんです。


では足はどの骨を肩甲骨のような存在として持っているのか?
となると、答えは腸骨です。


ちょっと見で見ていただくと肩甲骨と腸骨は、
両者ともとんがった頂点が下向きの三角形でできていることがわかるでしょう。


ハイハイ.png


構造上、ハイハイをしているときの肩甲骨と腸骨は、
肩甲骨は腕の骨の上端の天井の役目となり、
腸骨は足の骨の上端の天井になっています。


つまりこの肩甲骨と腸骨は似た働きがある。



先ほど腕の動きの中枢が肩甲骨と申し上げました。


とするならば足の動きの中枢が腸骨だというのは、
イメージするのはたやすいことでしょう。



肩甲骨は、
くるくると回転したり上に持ち上がったり下へ行ったり、
内側によったり外側に移動したり、
様々な動きができるように作られています。
肩甲骨の構造上、
関節は肩鎖関節の一点だけが他の骨との接触がある部位で、
他は筋肉でそこに位置を固定されるような仕組みですから、
動きの自由度が非常に高い。


腸骨は、
背部では仙骨仙腸関節で接しています。
前面では恥骨結合を挟んで恥骨同士であう。



主な骨盤周囲の骨と関節.png


肩甲骨と比べると、
仙腸関節も恥骨結合部分も、
かなりしっかりとした関節面であり、
動きがそれほど大きくならないので、
あたかも動かずに固定されているように思えてしまいます。


仙骨と腸骨の位置.png




ただ、そこが盲点で、誤解なんです。


私の家には、
小さな骨盤と腸骨と大腿骨の上部一部と腰椎部分といった骨盤部分の骨格模型があります。
それらの骨と骨の間は隙間が合いており関節部分が容易に動く仕組みになっていますから。
簡単な関節のモーションはこれで再現できるのです。 ^-^


この模型の左右の座骨部分を右手と左手でそれぞれ持ち、
座骨部分で歩くかのように前後に動かしてあげるときの動き。
その動きを与えると恥骨結合部分が分かれ目になっていることや、
仙腸関節面の動きがどのようになっているかなどが観察できます。


仙腸関節と恥骨結合面を、割って使えれば上等。
ときにはこれらの関節があることに気づかずに、
それらの関節を生かせなくて腰部の椎間板を狭窄させたり前彎させたり側弯させたりねじってみたり。
そうやって本来の仙腸関節という体の中で最大級に大きな関節面を無視したことによる負担の代償が
腰部や股関節、膝、首、等々の他様々な部位に問題を生じさせているのです。


ここ、大事です。


仙腸関節という部分の動きを、一旦、整体などでつけたとしても、
歩き方の改善指導がなければ、仙腸関節に自ら動きを与えて仙骨と腸骨の間の関節を活かして生きられない。
それでは腰痛が施術で一時的に改善したように見えても、
やがてかまたは即効で仙腸関節を固めた付けがたまるので事態の改善の体感は遅々として進みません。


関節があるという事実を頭でわかっただけではなく、
関節があるのならばそこで骨を割って使わねばと思うようにしてみましょう。
そうでなければ関節の存在意識がいまだ足らないのだと考えてみてください。


そしてもし、そこに関節があるのならば割って使えばいいと気づいてくれて、
「なるほど、こうやってうごくものなのね」と、
手で持ってコントロールすると直感的に理解できた。


決して大腿骨部分だけが動きの対象とはなりません。


むしろ腸骨が前後に動くことで
大腿骨はその腸骨の動きにノッて動くものなのです。


そんなことが手先で動かせる模型で簡易シュミレーションしてわかれば、
それが自分の骨盤の動きなんだとオーバーラップさせてほしいのですね。


ハイハイして歩くときに観察していただければわかりますが、
肩甲骨の動きと腸骨の動きが対角でリンクし動いていきます。


そのようなところからも、
肩甲骨と腸骨の機能の類似性がわかるでしょう。



このようなことで、
肩甲骨が腕を使うときに重要だといわれるのと同様に、
腸骨が足を使うときには重要だとも言えるのですね。