改善の「即効性と遅効性」

ときどき整体院の先生が書かれた書籍で目にする言葉。

「わずか数回で改善した」

それは【即効性】をうたった表現。
もちろんそういうケースもあるでしょう。

治療系の民間療法では、
比較的【即効性】をうたったPRが多いようです。
確かに今苦しい腰痛があってというときに、
その即効性はありがたいものです。

【即効性】のあるものとは、
どのような対応であるかを考えます。
(ケースバイケースで、
よく練られた表現でないことを先にお詫びしておきます。)

例えば次のような場合。

現時点の患部が癒されることで、
急性の炎症が引いて痛みが減少または消失した。
だがなぜその患部が生じたのか?
そのことについて原因を追究し、
今後の生活上で改善すべき配慮を行うまでにはいたらなかった。
その場合には【即効性】があるもので、
少ない回数で施術が終了したとして安心できた。
すると同じことが繰り返される。
『点』的なアプローチです。

それに対して、
フェルデンクライスメソッドなど
体を捕らえなおす、分析する、気づきを深めるものは遅効性傾向があります。
即効性があると報告されることも多々聞きます。
それは各人の感覚や経験に依存します。
ですが一様にそれは経験とともに「より深まる」ものです。
継続のうちに体の仕組みを知り、
自ら「なぜ患部が生じたのか」を考え付くことがあります。
これはじわじわっと中に染み入ってくるような変化です。
『線』的なアプローチです。

「人は物事の300の小さな改良をすれば、
すると27の改善が生まれます。
そして3つの変革が起こる。」そうです。

はっとひらめきが生まれ、がらっと視点が変わる。
考え方も変容します。
目的(=ゴール)が明確であれば、
些細な改良を続ければ誰もが高みに上れるでしょう。
線的なアプローチには、
このプロセスを楽しめる才能が必要となります。

ここで述べました、整体等の即効性とエクササイズの遅効性は、
捕らえる軸が異質なので並べてはいけないかもしれません。

ですが即効性をうたう先生方が多くなれば、
その反動で遅効性を追求したくなる。
人は振り子のように行きすぎを自ら是正します。
急がずゆっくりと自分の体に向き合う経験は、
より深い感性と幸福をもたらします。

自分の体に今必要なのは、
即効性あるものか遅効性のあるものか、
考えることも大切です。
両方をワンセットにするのが、
私の理想ではありますが。。。