近所のおばあさんのお話・・・

近所のおばあさんの話です。

母がとてもよくしていただいている方です。
しかし癌の悪化により、
次の入院をしたら家には二度と帰れないそうです。
それが翌週に迫りました。

ここ数日間、体力が落ち散歩をすることもできなくなり、
買い物にも出られません。
母が、頼まれて買い物をします。
ずっと自分ひとりだけの家のなかを身辺整理しています。
飼い猫がいるのですが、
その様子がただならないと感じて近寄ることもない。

今日、母とおばあさんは大井町の区民ホール「きゅりあん」にいきました。
品川区主催の敬老成人式の招待で演歌のコンサートがあったためです。
品川区は現在70歳以上の方が3000人以上。
そして1000人収容できるきゅりあんの大会場がほぼ満員だったそうです。
母は「とても楽しかった」、そういって喜んでいました。
きっとおばあさんもそうであったと思います。
帰りには大井町阪急で二人で買い物をして、
活きのいいイカを5杯買ってきました。

入院後は、外出をすることは難しい状態になるそうです。
だから今日はすばらしい思い出が母もいただけたのだと思います。

来週の月曜、入院が決まっています。
医師から今回退院の許可が出たのは、
身辺整理をするためです。

母は繰り返し言います。
「おばあさんは信仰心が厚いので、死ぬことも怖くないのでしょう」

信仰心が厚いのはそのとおりです。
おばあさん自身もおっしゃいます。
「死ぬことは怖くないです」

でも母がこのおばあさんの冷静で強いことを称えるのは、
そうしなければせつな過ぎるからでしょう。
その気持ちが伝わってきます。

常に髪をキレイに染めていたおばあさんでしたが、
今は真っ白になっています。
ぎりぎりの体力の限界近くでがんばっています。

おばあさんの猫の餌とお水の交換は
とりあえず母に頼んで入院されます。
なかなか飼い主意外にはなつかない猫ですが、
母に少しだけ愛想をします。
勘のいい猫で何かを感じ取っているようです。

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自分が死の宣告をされたとき、
おばあさんのように冷静で気丈でいられるでしょうか。
自信ありません。

誰もがいつかは死を迎えます。
遅いか早いかの問題です。
だがその時間のリミットを知ったとき、
「精一杯生きたからいいよ」といえる自信がまだもてません。

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信仰心の強さがおばあさんを支えています。
がんばってほしい。