カイゼンを積み重ねていく末の、ステップアップ

山田 日登志氏著書の『現場の変革、最強の経営 ムダとり』という本を観ると、


「ムダとりは、向上心である。
自分が毎日向上しようと思っていないとムダは見えない。
ムダが見えなければ、改善のしようがない。」


という語録。


トヨタの生産ライン上の強みは、
どれだけムダを見つけてカイゼンするか。
カイゼンには、
1500万円かかっていた作業工程を50万円の自作機器をこさえることで、
容易に置き換えられるようなことも含まれるといいます。
その場でムダを発見し、見つければその場でカイゼンを。
現場主義が貫かれスピード感がある仕事をしていく。


結果的に、
他工場では出せない生産コストの低下につながる。
生産コストに利益を足して価格転化するのですから、
よい物を作り出すためにかける費用を抑えることで、
価格帯が下げられるならばお客様には質のよい商品を安価で手に入れることができる。


手を抜くことで質を悪くしてコストカットをすることはしやすい対策の打ち方ですが、
それではいずれ、悪評が立って、人気が落ち、ジリ貧になっていくことは明らかです。


施術をするときに、
私は日頃、施術中にムダを見つけて、その瞬間に改善案を発案。
それの繰り返しをしています。
そのような臨床の中から、多くの発見をしてノウハウをためていきました。


たとえば、
そのなかのひとつとして
人の体へと圧をかけるとき。


木は年輪のような木目があるのです。
大工が木を切るときに木目をまたがずに切ればとても刃の通りがよく切れやすいし、
木材も強度が落ちにくいものになると知っていますから。
まずは木材の木目を読んでどのようにその木材を切ればいいのか、考えます。


実は筋肉にも深層・中層・浅層などの層があり筋繊維の流れがあります。
それらを読み取ればどのように圧をかけるときの刃筋を立てればいいか。
そこには大工の木の加工と変わらない揺るぎなきルールがありますから、
それをまずは則り考える。
それから、個体差を観察しつつ、
どうすれば痛みを最小限に抑えられるか、
どうすれば最大量スムースに筋膜層を剥がせるかという課題を勘案しつつ解いていきます。
その要領をわからずに強い圧をかけても治るどころか壊すだけですから。
施術をしていて同じような動作をしているように外見上見えても、
明らかに手つきが筋の目を読んでいての一手かどうか、
しっかり日頃考えているものならば他者のそれを見ぬくことができます。
細かいことのように見えますが、
こんなところにも施術で成績のよい仕上がりをだせるかどうかの違いが生まれるかどうか。
そのような多数ある基本のひとつなんですね。



人それぞれの、お体の状態の現状の差異は大きいため、
ルールはあるもののそれに当てはまらないものも多数でてきますから。
そうなると臨機応変に課題をとらえて対応していく工夫が必要になります。


そのような個体差をあまり深く捉えずに通り一遍等のことで施術の技をかけるならば、
定形の施術を一定のことで施すだけでも相当なメリットはあるものの、
「カチッ」と極々微妙な留め金のズレを微調整してはめるようなことはできません。


施術をしていくときに最後の微調整で仕上げることができるかどうかで、
施術後の状態の良好な感じがキープできるかどうかが変わっていくものです。
その差がどれほど大きいものか、わかれば驚くほどのものなのです。



施術で日々ムダに気づいてカイゼンにつなげる知恵を絞っていく。
そのようなカイゼンの積み重ねをしていくことでセンスを磨いて、
日頃に蓄積していた新たな概念が見事に結実していくことになる。



そのような地味なことの繰り返しです。



そこにかける時間を惜しんで技術の表面を他からハックしていっても、
その技術を開発したものと比べれば深みに欠けるものとなりますから。


他者の素晴らしい技術を見てしまうと、
一足飛びにいきたい気持ちになります。


それらを取り込むことは幅を広げることになるのでよいのですが、
あくまでも軸足は自分の日頃の施術上でのカイゼンをしていく向上心に置き続ける。
そこを捨てずに育てていくことで、独自性を活かしたものを積み上げていくことで、
容易に真似できない差別化された技術が、
適価で高品質マークのサービスが提供できるようになる。


どのようにしてスピード感がある状態で、
数年の期間目標での立ち位置を見据えて
そのようなサービス提供を適えられるか。


ミサイルを打ち込むにもターゲットを定めて、
そこに狙い撃ちできなければ届かないのです。


そしてそのベースには、
方向性の決定をして資源の集中投下をする。
一歩踏み間違えると転落する危うさを感じ、
決断をしていかなければなりません。


施術者同士で、どこに自分の軸足を置くか、
話し合うときもあるのですが、
あるものは施術用のグッズを開発したりグッズを販売する代理店業に軸を増やしたり、
施術の技術を一般にわかりやすい映像へと落とし込めないかと映像化で飯を食えないか検討したり、
自分のほんとうにやりたかった胸の内を探るうちに軸足を広げることもあります。
そうして自分の能力が最大限発揮でき、自分の居場所を素早くものにすることは、
カイゼンというレベルを超えた自分の常識を打ち破るような苦悩の末の決断です。


今のように同業他社の競い合う施術業界は甘くはない。
多方面的なセルフ・ブランディングが必要な時代です。


たとえばあいつはあの技術は最高なんだと印象付けるまでのものに仕上げること。
そこに他の人ならば絶対にそこまではしないよ!と呆れられるほどのことをして、
初めて少しくらいの評価が受けられるし差別化も生まれてきます。


そして結果的に、それが適価でお客様に高品質なサービス提供を、
という姿勢の一環として自力を歯を食いしばって伸ばしたいだけ。



今以上に、自分を成長させることを目論んで賭けをしていくのも、
お客様の顔が、いずれ今以上に喜んでいただけている姿に変わることを想像してのことです。


おそらくそのようなモチベーションがあるうちは、がんばっていけるのでしょうね。。。