「ずり圧」を補完し、筋膜リリースのバリエーションを増やすシリコンカッピングによる「吸引圧」

まずはじめに、
シリコンカッピングの教材DVD。

「医道の日本」という出版社から出ていたんですね。


Amazonでいうと以下の通り。

CIANA シリコーンカッピング (カッピング+DVDセット)
価格: ¥13,200 通常配送無料

スライドカッピングを使ったやり方も、解説してあるようです。


医道の日本のサイトから購入すると、だいぶ安くなるんですね。

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シリコンカッピングの吸引圧のことを、
英語で言うと「バキューム・プレッシャー」だったり「ネガティブな圧」といわれたりします。

ところで、、、
「なぜこの吸引圧がホットストーンに加えられるとすばらしい筋膜を緩める効果があるのか?」

 

 

実は押し込むような圧やずり圧のような圧をかける時に、苦手な部分が人体にはあるんです。

 


ひとまず、前提知識として、
深層筋を解くときに、ずり圧を使ってどのような仕組みでリリースを起こそうとしているのか。
そこを知っていると、うなづけるところが出てまいります。

 


ずり圧をアイロンがけをするときをイメージとしてたとえるため、
アイロンがけをしやすいアイロン台とは?を考察してみましょう。

アイロンがけ.jpg

アイロンをかけるときにアイロン台をつかいます。

アイロン台は、通常は背板のような硬い板の上に、中綿が詰まったマットがあります。
それがいちばん、アイロンをきれいにかけられる仕様ですね。

(1) もしもそのアイロン台が、液体のようにぽちゃぽちゃしてれば押し付けて均等にアイロンの熱を加えられませんね。
  アイロンをかけようとしても、アイロンがけをしようとする衣類等は逃げてしまいます。

(2) もしもそのアイロン台が、デコボコだったとしてもうまくアイロンがけはできません。
   凸の部分だけはアイロンの熱がかかりますが凹はアイロンがかからないからです。

(3) もしもそのアイロン台が、「硬い板だけ」で中綿のクッション部分がないと熱がうまくとおりません。
    アイロンがけをするときのアイロンの操作が難しいものになりますし、
    ときいは熱が急激にかかってしまい衣類等が焦げてしまう。

 

私たちが「ずり圧」という圧をかけて、
お客様の筋膜の癒着をごっそりと解けるのも、
ちょうどいいアイロン台がそこに用意してあるとき。

たとえば、背中の起立筋の筋肉部位に癒着部を見つけてずり圧をかけるとき。
その筋膜の癒着部の下に位置する、よりしっかりした硬さがある部位があるかを調べています。
それは解こうと狙いをつけた下にある「さらに強い癒着した凝り」や、「骨」であったりです。
その硬い板を利用してアイロンがけをするかのようにずり圧をかけるときの摩擦熱を生じさせ、
それで筋膜の層を分離させておいて、
一体に癒着してにっちもさっちも正常な動きができなくなった筋肉同士を引き離すわけです。

それはたとえば、皮膚から何センチとか何ミリ下にどのような筋肉と筋肉がくっついて動けなくなっている部位があるか。
そして、それらの筋肉はどのような本来の機能・動きの方向を持っているのかを考えて、
それらの筋膜をはがすときにはがすのに適した方向を考察の上選んでいきます。
そのリリースの方向を探るにも試行錯誤は必要ですから、即見つかることはまれですが、
そこが見つかれば、そのキーになる部分をほどいた瞬間に周囲の関連する部分が見事に筋膜の緊張が緩んでほどけるのです。

そのようなことをするときにはビジュアルで患部やそれに関連する部位を脳裏に描き出していき、
そちらの絵を詳細に描き切れた瞬間にどのような手を打てばいいかの回答がみつかるようです。
効果的なリリースのための一手は、だから人それぞれのカラダの状態により違ってくるのです。
徹底した観察から意図的な一手を打つかどうかで、筋膜リリースの効率や安全性も変わります。

 

ただし人体には、アイロン台の板がない中綿を押すだけしかできないような部位もあります。

たとえば「みぞおち」です。

みぞおちは、多くの呼吸器等に問題がある方には、
決まってしつこい癒着が見られます。
みぞおちは肋軟骨と横隔膜とが癒着が進んで皮膚表層部を緊張癒着させた状態になると、
季肋部の動きを制限させて呼吸代謝を制限させ、
心臓に与えるべき胸骨の前後動によるマッサージも受けられなくなるものです。
そして免疫組織として重要な胸腺の刺激が低減させられますから、
花粉症等の免疫力不足により過剰に外部から来た物質に反応するアレルギーなどの症状も引き起こします。

 

ですがみぞおちに私が手を当てて押し込んでみても、その先は胃や大腸など柔らかい臓器があるのです。
そのためみぞおちにずり圧をかけても(1)の液状のアイロン台でアイロンがけをするようなものです。
ほぼほぼ思ったように解けることはないんですね。

アレルギー等の状態が強かったり、みぞおちの硬さが強すぎることで問題が起きている確認が取れると、
そのときにはどうするか、、、。
しかたがない、みぞおちの皮膚をパツパツになるくらい奥の奥まで押し込んで解こうとアプローチをします。
(実際はみぞおちの筋緊張が強いため、それほどは奥に押し込めていない)


だが、、、幾分か、リリースができる。


おもに肋軟骨に付着が癒着した部位が緩むのです。
ただし、これがまたずいぶんとやられてみると苦しいんです。。。

もちろん、みぞおち部分のゆちゃくがなければ、押されても痛くもかゆくもないんですよ。

でも癒着している人は、あまりおおぅ!と感嘆できるほど解けないにも関わらず痛いんです。
ただそれを人によって2~3回、または5~6回していかないとみぞおちが理想へと近づかないんです。

 

ですがここでホットストーンで筋膜の癒着部を緩くなるよう温める下準備ののちにカッピングを用いてスライドカッピングをすると!

 

スライドカッピングには、別に押し付けてアイロンがけをするようなアイロン台が必要ないんですよ!

 

そうなると、いままではこんなに苦心しながらずり圧を用いてみぞおちをリリースして、
お客様にも「痛いよね~、ほんと苦しくてごめんなさい!でもこれで呼吸機能が、ちょっとずつよくなるから、がんばろうね」
というか、
お客様の痛みをごまかすために、まったく別の話題を振って話し続けるか。
かなり苦労してきたものでした。

それがいままでのずり圧の数倍のリリースができます。


痛いか痛くないかでいえば、現状の私のやり方では痛いんですが、
そのリリースのしかたは工夫次第で軽減できるでしょう。
そればかりか、、、
お客様自身が、自身のみぞおちや肋軟骨の変位部分に、
日頃から痛すぎない程度にシリコンカッピング等をなされば、
それだけでもずいぶん状態が改善できてしまいますよ。

手軽に自分でみぞおちを解けるんです。
意外に、こういう痛みがあるところは、
他人に触られるといやな危険な感じがして恐怖心から痛みが増すんですね。
ですが自分で自分へカッピングをするなら吸引圧をたやすく調整できるので、
他人に解かれるときの緊張もおきずに解けるんです。

すばらしいじゃないですか!! ^-^


それは実は、みぞおちが硬い人の特徴として、肋軟骨部の変位が強く出ている人がほとんどです。
肋軟骨が持つ、本来の柔軟性が失われてしまった状態ですから、しなやかさがなくなっています。
ということは、カンタンにカウンターの力が入れば、それは骨折する状態を意味していますから、
施術者は息をこらえて骨折させないように慎重の上に慎重にリリースの作業をするわけです。

施術者の心身にかかるダメージは、一歩間違えればがけから落ちるところを歩くようなものです。

先生の中には、そのような骨折させるリスクをお客様に負わせるのはいかがなものかというので、
あまりその部分を解こうとなさらない方もいますが。
私は、いままで肋軟骨の変位が強い方も、少しずつ改善するごとにかつての状態から抜け出る姿をみてきたので。
できることなら、どなたにもそうなってほしいと願って、慎重に頑張るというようにしてきました。

 

それが、、、スライドカッピングであれば、骨折しやすい肋軟骨の変位した部分へ圧を加え押し付ける操作ではない。

そしてずり圧等の、外部から体の芯へ向けて与える押す力に対しては皮膚抵抗がかなりかかるんで、
圧の多く(時には過半数の圧が皮膚部分で抵抗にあって減じられます)はお客様のその生理的な現象で消し飛んでしまうのです。

それが吸引圧については皮膚抵抗は、ほぼ起きないものだと聞いております。
自然界では、外界から圧せられて攻撃を体内に与えられるときには身を守ろうとするというシステムを構築しましたが、
皮膚を吸引されたら吸引圧をちゃらにしようというめったにないことまではエネルギーを多大に使って対抗システムは作っていないのですね。
それは、当然といえば当然なのです。


そうなるとスライドカッピングの、ずり圧と比べると数分の1もあるかどうかでも、
筋が筋膜ごと体から遠位へと引き上げられ、それが「筋膜をはがす力」となります。


だからリリース効率が、いい。


理論上はそうなるだろう。
そのように予想して、トライしたものの、想像していた以上の成果がでたときもあって、喜んでいます。

特に事前に筋膜部のはがれやすい部分を見つけておいたり、一部作って置いてからやってみるといいようです。
ここは一般の方では見つけたり、筋膜の硬化をはがしやすい部分を作るなどはやりづらいところでしょう。
ですがそういった工夫を施術者が適切にしていけば、いい。

またはおそらくこのような施術を繰り返している先生や方々は、
観察からどうやると緩ませるに効果的かを見つけているかもしれませんね。

 

そしてみぞおち以外にも、
押し付けて解くずり圧をかけづらい部分がいくつも人体にはあるのです。

胸郭全体を含む肋骨もそうですし、首も、仙骨の上も、その他も。。。

 

吸引圧をかけてもちあげて、それからずり圧にして解けば、
さらにエフェクティブなリリースがかなうようなところも。
そこが私のこれからの研究課題となると思います。


そうやって考察していけば、いままでの私の施術スタイルがさらに進化への変化を期待できるでしょう。

 

ただしあらたなたものを取り入れると、手間暇時間が加算されるため、
そこを臨床で無駄・ムリ・ダブりなどを見つけ出していきたいのです。

ひとりで部屋で座学研究では、手詰まりですが。
来るときの準備をしっかりしていこうと思います。