上部肋骨の上方変位による影響

首の頚椎や頭蓋骨と上部肋骨(肋骨1~2)の付着点をもつ筋肉。
{広く観れば僧帽筋のような中部肋骨まで影響する筋肉からの影響も加味すべき}

そういった首の筋肉といえば斜角筋がありますが、
その深部が緊張萎縮の状態が続けば、
恒常的な首の状態の短縮固定された影響から次のような影響が現れます。


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・頚椎の椎間板を圧迫して縮めたため、
(これが進行すれば頚椎の前弯がきつくなります。次のステップでストレートネックへ変化します)


・肋骨上部が恒常的に釣り上げられて、そこで鎖骨下筋などと癒着が進み肋骨部の異常固定が進行します
(肩ごと上方に挙上したまま固定されています)


・肩甲骨が恒常的に外転した状態がつづき、肩甲骨の骨の上に位置する(棘上筋)に影響する。
(棘上筋は脳への影響が懸念され筋肉で、不安感、情緒的緊張、精神的疲労が生じます)


ほかは、
・呼吸が浅くなる、
・肋骨全体の形状が理想とは離れる、
・その他諸々

意外とこうした状態は本人には気づきづらくて、
いつのまにか状態の悪化が進行していきくのです。
私もそういったことがあることは理解していたのですが、
極度にこれらの首の深層筋が萎縮して頸部や肋骨に変位を受けた人のリリースを
安全性を担保しながらおこなう方法が見つけることができませんでした。



首を長くさせることは緊張し短縮した首の筋群に一時的にスラストなどのさらなる緊張を強いる刺激をくわえれば、
一瞬芸的にその首は緩むんですよね。
ですが、これを繰り返しても首の筋の深層が変わるのではなく、表層と中層が一時的に強制的に虚脱弛緩しただけ。
時間が経てば歪んで傾斜した頭部を支えるための理由で元通りの硬さに戻ってしまいます。
そんなときに首への矯正が、頭部と頚部と背部のつながりを観ておらず下手な見立てでなされれば、
さらに首の筋の緊張が増すことで状態悪化がさらに上乗りになるでしょう。
失敗したらきつい頸部のむち打ちです。


それが大胸筋鎖骨部と小胸筋を芯までリリースを進めることと
頸部の筋硬化による萎縮した筋を緩めることを同時進行させることで、
上部肋骨の上方変位へ改善の糸口を見つけることができるようになってきました。
まだ試行錯誤を加え完成度を上げている過程ですが、
ただ鎖骨に隠された位置にある上部肋骨は、
鎖骨下筋も異常な緊張で短縮状態が見受けられることが散見され、
こちらのリリースを先行して、
鎖骨の下にある上部肋骨へのアプローチの道を用意する準備段階があります。
すでにこの前胸部の胸郭を構成する骨組みの変位が進行している場合、
首の上方から前胸部に向けて覆われる広頚筋の鎖骨部への癒着が強く現れて、
この部位のリリースに解かれる方の負担が大きくのしかかります。
そうした負担が少なくなるように先行して腋窩のスーパーボールやゴルフボールほどの硬さになった肩関節下のしこりをほどき、
大胸筋鎖骨部・肋骨部や小胸筋までリリースをする準備があれば、
どうにかリリースを加えることができるまでの鎖骨上の表層筋群の軟化をもたらすことができます。
もっとも痛覚神経が発達した部分が表層筋群ですから、そこの筋緊張を事前にほどく作業をするのです。
そうすることでほぼほぼ痛みがなく、快適な状況でリリースできる人もでてきます。
それでも、、、痛みがなく解けるというまではいかない人がいますから、
そのときは、そのお客様への負担の様子をじーっと観察してぎりぎりの線を見つけ、
解けるところまでの極限をしっかりといて次に繋げるようにしていくのです。

そしてここ数回のセッションでは、はたと、、、
前胸部と後胸部の肋骨癒着部のリリースを促進させるには、
ヤムナボール、使えるんじゃない?と思いつき、
それを組み合わせてダマダマなくきれいに肋骨部の癒着をアプローチできる箇所は解くことができるように工夫を加えています。
ただ問題として、ヤムナボールでの肋骨上部の筋の癒着がクリーニングされて解けることで、
いままで入ってこなかった上方の肺の部分の呼吸が行われるようになる変化が起き出す様子がみられます。
こうした場合の呼吸の質の変化量の大きさは強いもののため、
施術後にいつもなら大丈夫なお客様がくらくらした感じがする場合があらわれます。
それが強く現れるのも問題を含みますから、どこまでのリリースで止めるかを探るよう考えているところです。


ただ・・・ここの作業は、施術中に見えない筋繊維の一本ごとや硬化したまとまりなどを脳内でビジュアル化して、
どこにどのようなバランスが作られていて解く手順を見つけ出しながらとなります。
そこは各人の状態がまったく異なると言えるほど個性的なため勝手な決めつけができないため、
慎重かつ大胆に観ていきます。
各器官や気管や血管に強すぎる癒着があれば触れれば地雷ですので、
触ってはならない組織は触らずに。
硬化が進んだ筋膜の癒着部は骨より硬度が高い状態に陥っているといったときも人によって見受けられ、
緻密さも必須ですが、それに大胆さが合わさらなければ、それらの硬化筋が一生解けることはないでしょう。。。
そういった兼ね合いを考えながらリリースをするには、
対応できるお客様の人数は少なくするしかないため、
いろいろと、そうしたところでの難題もあるのですが。

施術により対応できる側面の深さが増すことができて、私にとって興味が尽きないところです。