体は深部まで治りたがっている

自分に見つけられない痛みを見つけてもらうことは
うれしいこと?
うれしくないこと?


そんな疑問をもたれる人もいるでしょう。


こないだメールで問い合わせをしていただいた方に
書いた自分の文章を大部分、修正しつつ転載します。


”「体は治りたがっている」から、
痛みや不快感や体調不良という手で
自身に改善をしてくださいと訴えているのです”



施術者の仕事はお客様がご自身では見つけられない
体の中に隠れているものを見つけていくことが大事。
それは今後の進行する問題兆候を抑制させてくれます。
私はそのような隠れた痛みや不快感がある部位を、
体の深部へ徐々にわけいってアプローチをしつつ
発見していきます。


お客様自身、当初私どものところにお見えになられたときの
不快感を感じていた主訴を解いて欲しいと考えるのが自然です。


「腰が痛くてきたら腰痛がある腰部が患部だろう。
だからそこを解いて欲しいんです。
他は悪く無いから余計なところをみなくてもいいでしょう」


というだけでよいとすれば、
対処的に主訴関連部位をリリースすればいいだけですから、
カウンターストレインやトリガーポイントのリリースなど、
問題箇所を緩めるようなことをしていけばいい。
そしてもう少し深いところを見つめてギックリ腰なら
大腰筋の硬化や臀部の梨状筋や中殿筋をとき仙腸関節をリリースして、
などの腰部から離れた部分もついでに解いておけばいいでしょう。
きっとそのようにすればただ安静にしてギックリ腰の痛みを堪えるより
ずっと早く体が楽になることがあるでしょう。
それで喜ばれるはずです。


緊急避難的な急性の炎症が起きているようなときには、
このような対応を優先させていくことは大切です。


ですが急性の炎症とは呼べない、
以前から慢性的な炎症が体内に隠れていたとすれば。


体は常に治りたがっているのですからそのような隠れたネガティブな部分は好みません。


つまり炎症がおきている組織等は、
その組織自体に無理な負担がかかっているか、
栄養素がその部位に必要最低限程度しか届いていないか。
そんな弱化した組織に当たるのです。


そのようなものを体内に潜ませていたらどうなるでしょう。
問題の部分に関連した循環器、呼吸器、消化器、神経等の機能は抑制される。
だがそのような部分が機能抑制された状態に慣れて親しんでいれば、
案外にその状態でも不都合を感じないものなのです。



体の奥底に潜んで隠れている慢性的な炎症。
主訴ではないが、これこそプロの目で日頃の経験からどこに
どのような問題点が潜んでいるかをチェックしておくことで
どこにそのような慢性的な炎症があるかを見分ける目は大切。


炎症が起きているのに痛みがすでに麻痺している部分であるから、
たまたまお客様自身が主訴としてその部位の問題を指摘できなかった。
そういう部位があるのです。


そこをリリースすることは、
無意味なことか、
有益なことか。


その結果は私にお通いいただいているお客様が教えてくれています。
有益なところがちゃんとあるんですよ、と。


それを触れずに、
主訴を解いて施術を終了させることは、
私としては想定外なことなのです。


先生ごとに施術の最終的なゴールというものの設定が異なるので、
あくまでも私個人の考えたゴールということをご理解ください。


時間がかかるのはその人の今までの蓄積してきた、
靭帯や腱などの軟部組織のみではなく内臓も含めた
そのようなしこり化した問題箇所を解くからです。


そちらがどれほどの量、
体内に潜んでいるか。


お客様にしてみれば、
あとから自分の内側から何らかの
問題が見つけられて掘り出される。
特に体調の問題が深刻な人は思ったよりも時間がかかるのです。


それで「なかなか終わらないよな」と思われることがあるのです。
ただ、確かに麻痺した炎症箇所に血液を通せば痛みがしっかりと感じられるようになる。
だから「あぁ、なんだか炎症しているところがあるんだな」とわかります。


私として、
どうすればこのような深部に渡る問題箇所を、
手早く解いていくことができるか。
そのことについての研究が必要だと考えています。


でも、まだまだもっとどうにかして要領をよくしなければと奮闘しています。


ここが私が一番の私らしい視点と、
対応の仕方なのでしょう。